はなこのアンテナ@無知の知

たびたび映画、ときどき美術館、たまに旅行の私的記録

『あと1センチの恋』(原題:LOVE,ROSIE、独、英、2014)

2014年12月21日 | 映画(今年公開の映画を中心に)


 本作は是非オススメ、と言う類の映画ではないけれど、見ていていろいろ思うところがあったので、率直な感想を綴ろうと思う。ちょっとネタバレとも取れる発言もあるので、これから見る気満々の人は、その点にご注意!

 雑ぱくに言うと、幼なじみとして強い絆で結ばれた二人が、運命のいたずら(二人の優柔不断さ?、若さゆえの放縦さ?)で、傍をヤキモキさせるようなすれ違いを繰り返す物語だ。若い二人の恋の顛末を描いていることから、若い世代向けの作品と言えなくもない。

 その為、親世代の目線で見ると、なんともEASY GOINGな展開に納得が行かないと言うか、呆れる部分もある。

 あまりにもあっけない初体験。そこから狂う人生設計。周りもヒロインの安易さを窘(たしな)めるでもなく、ヒロインはある意味、お定まりの人生コースを歩んで行く。本人はそれで良いの?親は我が子が不本意な形で夢を諦めることに納得が行くの?カトリックって、そんなに寛容なの?

 若気の至りと言ってしまえば、それまでだけれど、対するヒーローも彼女への恋心を自覚しながら別のガールフレンドを取っ替え引っ替え、これまた無責任極まりない。その優柔不断さが結局、人の心を傷つけていることに気付かない鈍感さは罪である。

 原作は小説らしい。にしても、主人公の若さゆえの過ちや、その未熟さが及ぼす周りへの影響をすべて肯定して、安易な展開を見せるのは、何だか時代の趨勢、"10代の<本当は>笑えない現実"に阿(おもね)っているだけで、時代への斬り込みと言うか、作家なりの見識が見えて来ない。

 こうして書いていると怒りモード全開oni、と言った感じに捉えられるかもしれないけれど、実際のところ、あまりのユルさに本作で描かれるエピソードがコメディにも見えて、見ながら何度もクスクス笑っていた。「オイオイ、そんなのアリかよ?」とツッコミを入れながら見る楽しさniko

 テレビ番組『王様のブランチ』のインタビュー映像で、ヒロインを演じたリリー・コリンズの受け答えを見た限りでは、彼女自身はシッカリした考えの持ち主で、自立した大人の女性という印象である。そんな彼女は、行き当たりばったりの人生(そう、NO PLANな人生hekomi)を歩むヒロインを、本心ではどんな思いで演じていたのだろう?

 それにしても『白雪姫と鏡の女王』(2012)以来のリリー・コリンズ。わずか2年で、まだ幼さの残る少女から、あのトレード・マークだったゲジゲジ眉毛も整えられて、すっかり大人の女性へと変貌を見せた。超オススメ!とは言わないまでも、彼女目当てで見ても損はない作品だと思う。

 舞台は、作中で特に言及はないけれど、宗教的バックボーンや、海辺の風景等から推察するに、アイルランドなのかな?

 


 【参考写真】『白雪姫と鏡の女王』より。白雪姫役のリリー・コリンズ 




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