私がボランティアを務めている美術館でのボランティアの位置づけは、美術館が行う教育普及事業のサポートスタッフとでも言いましょうか。通常、私たちボランティアは、主に小・中・高生を対象としたスクール・ギャラリートークを平日に、6~10歳の子供のいる家族を対象にワークショップを年に2回の割合で土曜日に実施(*1)しています。
スクール・ギャラリートークは参加者を学校単位で受け入れ、米国のある美術館スタッフの発案で始まった「対話型トーク」という形式で行われます。ボランティアスタッフ1人当たり6~10人程度の児童生徒を担当し、約30分かけて彫刻1作品、絵画2作品を一緒に見て回るハイライトツアーです(*2)。「対話型トーク」ではスタッフが一方的に作品解説をするのではなく、児童生徒にも作品を見ながら感じたこと、気づいたことを率直に発言してもらいます。実際に作品を目の前にしてのスタッフとのやりとり、児童生徒間のやりとりを通して、単に作品についての知識を得るだけでなく、児童生徒個人がじっくり作品を観察し、作品と向き合うことを促すものです(発語があれば嬉しいですが、なくてもその心の内には何らかの思いが沸き上がっていると想像します。通常はトークの後20~30分自由鑑賞の時間を設ける学校が殆どです)。
これは「芸術作品は”頭で理解する”というより”心で感じるもの”」と言う前提で作品を鑑賞する形式と言えるでしょうか?特に美術鑑賞が初めてで、その術を知らない子供達にとって、美術作品への最初のアプローチとしては最適な手法だと私は思います。実際、スクールギャラリートークを利用せずに美術館を訪問されている児童生徒さんの姿も多く見かけるのですが、その場合、作品を一瞥するだけで通り過ぎる児童生徒さんが少なくありません。どうも作品とのキャッチボールが成立していないように見受けられ、せっかく美術館まで足を運んでくれたのにもったいないですね。既にスクールギャラリートークは数十校以上の受け入れ実績があり、一度利用された学校のリピート率も高く、口コミで年々利用者も増えていますが、さらにより多くの学校に利用していただきたいですね。
(*1)本来は40分かけて彫刻1作品、絵画3作品を見て回るのですが、現在は新館が工事の為閉館中なので、短縮バージョンで行っています。
(*2)ひとつのプログラムを2ヶ月間に渡って計12回程度実施します。1回につき2時間程度のプログラムです。事前申し込み制です。
先日、美術館の無料開放日に実施する一般成人を対象としたトークに向けての研修がありました。これはスクールギャラリートークと違い、一般の美術館で行われている学芸員(研究者)によるトークに近い形式の解説型トークです。以下はその時のメモ。
【一般成人向けトークにおけるポイント~絵画の場合】
《導入》
・作品名、作家名、制作年
・作家の美術史上及び活動期の画壇での位置づけ
《作家の来歴》
・生年、主な活動の場所
・修行時代~どこで、誰から学んだか?
・当時の画家を取り巻く環境
・身分、職場の形態(工房?)
・自由度(主題の選択など)
・時代背景(政治、宗教、経済、社会全般の状況など)
《作品について》…まずじっくり見ることを促す(それから作品解説を始める)
主題について
・どのような主題か?
・物語画ならば、その元となった物語のどの場面を描いたものか?
・主な登場人物について
細部の観察
・(あれば)アトリビュートの指摘
・作品の描かれた時代を反映したものが描かれている
or
物語世界の世界観が反映されている
・構図について
・作品の位置づけ
・同時代の作品との比較(図版を用意)
・異時代の同主題作品との比較(図版を用意)
《まとめ》
・簡単な質疑応答
これは美術館スタッフが手本に模擬トークを行ってくれた際のメモで、トーカーの手の内を明かすようですが、聴き手にとっても予め知っておけば、作品への理解がより深まるポイントだと思います。あいにく今回、私は(当日美術館に行けない為)このトークを実施する機会はありませんが、次回の為に勉強のつもりで聴講しました。
スクール・ギャラリートークは参加者を学校単位で受け入れ、米国のある美術館スタッフの発案で始まった「対話型トーク」という形式で行われます。ボランティアスタッフ1人当たり6~10人程度の児童生徒を担当し、約30分かけて彫刻1作品、絵画2作品を一緒に見て回るハイライトツアーです(*2)。「対話型トーク」ではスタッフが一方的に作品解説をするのではなく、児童生徒にも作品を見ながら感じたこと、気づいたことを率直に発言してもらいます。実際に作品を目の前にしてのスタッフとのやりとり、児童生徒間のやりとりを通して、単に作品についての知識を得るだけでなく、児童生徒個人がじっくり作品を観察し、作品と向き合うことを促すものです(発語があれば嬉しいですが、なくてもその心の内には何らかの思いが沸き上がっていると想像します。通常はトークの後20~30分自由鑑賞の時間を設ける学校が殆どです)。
これは「芸術作品は”頭で理解する”というより”心で感じるもの”」と言う前提で作品を鑑賞する形式と言えるでしょうか?特に美術鑑賞が初めてで、その術を知らない子供達にとって、美術作品への最初のアプローチとしては最適な手法だと私は思います。実際、スクールギャラリートークを利用せずに美術館を訪問されている児童生徒さんの姿も多く見かけるのですが、その場合、作品を一瞥するだけで通り過ぎる児童生徒さんが少なくありません。どうも作品とのキャッチボールが成立していないように見受けられ、せっかく美術館まで足を運んでくれたのにもったいないですね。既にスクールギャラリートークは数十校以上の受け入れ実績があり、一度利用された学校のリピート率も高く、口コミで年々利用者も増えていますが、さらにより多くの学校に利用していただきたいですね。
(*1)本来は40分かけて彫刻1作品、絵画3作品を見て回るのですが、現在は新館が工事の為閉館中なので、短縮バージョンで行っています。
(*2)ひとつのプログラムを2ヶ月間に渡って計12回程度実施します。1回につき2時間程度のプログラムです。事前申し込み制です。
先日、美術館の無料開放日に実施する一般成人を対象としたトークに向けての研修がありました。これはスクールギャラリートークと違い、一般の美術館で行われている学芸員(研究者)によるトークに近い形式の解説型トークです。以下はその時のメモ。
【一般成人向けトークにおけるポイント~絵画の場合】
《導入》
・作品名、作家名、制作年
・作家の美術史上及び活動期の画壇での位置づけ
《作家の来歴》
・生年、主な活動の場所
・修行時代~どこで、誰から学んだか?
・当時の画家を取り巻く環境
・身分、職場の形態(工房?)
・自由度(主題の選択など)
・時代背景(政治、宗教、経済、社会全般の状況など)
《作品について》…まずじっくり見ることを促す(それから作品解説を始める)
主題について
・どのような主題か?
・物語画ならば、その元となった物語のどの場面を描いたものか?
・主な登場人物について
細部の観察
・(あれば)アトリビュートの指摘
・作品の描かれた時代を反映したものが描かれている
or
物語世界の世界観が反映されている
・構図について
・作品の位置づけ
・同時代の作品との比較(図版を用意)
・異時代の同主題作品との比較(図版を用意)
《まとめ》
・簡単な質疑応答
これは美術館スタッフが手本に模擬トークを行ってくれた際のメモで、トーカーの手の内を明かすようですが、聴き手にとっても予め知っておけば、作品への理解がより深まるポイントだと思います。あいにく今回、私は(当日美術館に行けない為)このトークを実施する機会はありませんが、次回の為に勉強のつもりで聴講しました。