1960年代、フェミニスト運動が盛んだったアメリカ合衆国でmale chauvinist pigという言葉が盛んに使われていた。今も昔も日本はそのような国である。日本人は(特に日本人の男は)そのような認識は薄いかもしれないが、世界の多くの国でそう見られている。
Inter-Parliamentary Union が2012年5月31日付で公表した国会議員の男女比率によると、例えば下院議員(日本では衆議院)の男女比率は、高位の北欧諸国は別にしても、
ドイツ 32.9%
カナダ 24.7
オーストラリア 24.7
イギリス 22.3
米国 16.9
韓国 15.7
日本 10.8
となる。
OECDが2010年にまとめた加盟国のフルタイム労働者の男女賃金格差は、格差の大きい順に、韓国→日本→ドイツ→英国→米国→スウェーデン→フランス→オーストラリアとなった。韓国の女性労働者の賃金は男性のそれより38.85%、日本では30.7%低かった。
ロンドンのDaily Telegraphという新聞は、日本の全国紙程度には信用のおけるブロードシートの日刊紙で、ブロードシートとしては全英最大の発行部数を誇る。ロンドン・オリンピック大会を目前にして、その新聞にLondon 2012 Olympics: sexism row as Japan’s female athletes fly lower classという見出しの記事が掲載された。同紙の東京特派員が書いた記事だ。日本は評判通りの男優先の国だという印象をテレグラフがオリンピック前のロンドンにばらまいた。
もうおわかりだろうと思うが、オリンピックへ派遣された男子サッカーチーム(ワールド・カップ優勝歴なし)はビジネス・クラスの切符を支給され、女子チーム(ワールド・カップ優勝歴あり)は座席ランクが下位のプレミアム・エコノミーの切符をあてがわれた。
JOCは選手に一律エコノミーの航空運賃を用意し、各競技団体が自前で座席グレードアップをしたり、しなかったりする。男女のサッカーチームがJALの同じ便を利用したため、この男女格差が際立った。
景気の良かった昔は、海外青年協力隊の派遣もビジネス席だった。緊縮の今、ビジネス席をもらえる出張者は怨嗟の的だ。
JOCの発表では、ロンドン・オリンピックに行く日本選手団は293人、それに225人の役員がついて行く。ビズネス席を利用できる選手、役員、差額のねん出法など、一覧表を作って報道すると読まれるだろうな。週刊誌の仕事だろうけれど。
(2012.7.19 花崎泰雄)
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