北朝鮮がミサイル発射に失敗した4月29日早朝、ミサイル発射の報道速報をうけて東京メトロが地下鉄全線、JR西日本が北陸新幹線の運行を短時間であるが停止した。
北朝鮮が発射したミサイルが日本に飛んでくる恐れがある場合、日本政府はJアラート(全国瞬時警報システム)を使うことになっている。鉄道各社はJアラートを受けて、安全が確認されるまで、列車の運行を止めることにしている。
このときJアラートは使われていなかった。
新聞報道によると、JR東日本、JR東海は新幹線、在来線とも運行を続け、朝鮮半島に近い九州の西鉄、福岡市営地下鉄も運転を停止しなかった。
日本の鉄道の慎重ぶりを知ったソウルの新聞は「大げさに振る舞う」(『東亜日報』)と報じた。 ソウルからのニュースでは、38度線のすぐ南に位置する韓国の首都で地下鉄が止まることはなった。
日本の対応が妥当だとすれば韓国のそれは鈍感。韓国の対応が妥当だとすると、日本のそれは過敏ということになる。
さて?
2日後の5月1日、海上自衛隊が保有する最大の護衛艦「いずも」が、安全保障関連法にもとづいて「米艦防護」を実施した。横須賀基地を出港して、東京湾の南でアメリカ海軍の補給艦と合流、四国沖までの護衛を始めた。
米海軍の補給艦を防護したのは「いずも」1隻だけだった。これといって危険が予想される海域ではないから、形ばかりの米艦防護である。ねらいは米艦防護の実績づくりである。「いずも」は米補給艦と別れた後、東南アジア方面に向かうが、その時は護衛艦「さざなみ」が「いづも」を護衛する。
首都東京の地下鉄や新幹線がとまったあと、米艦防護とくれば、少々カンの悪い向きといえども、「なんだかなあ」という筋書きを感じるだろう。
東京の地下鉄がとまり、新幹線もとまった4月29日、日本国首相・安倍晋三氏は訪露・訪英のはるか旅の空にあった。
(2017.5.1 花崎泰雄)
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