こころの文庫(つねじいさんのエッ!日記)

家族を愛してやまぬ平凡な「おじいちゃん」が味わう日々の幸せライフを綴ってみました。

炊飯の方程式

2020年09月05日 02時23分18秒 | つぶやき
炊飯器が故障して、まず困ったのは、その日の夕食。春から勤めを始めた娘は慣れない保育の仕事でくたくたになって帰ってくる。第一声が「おなか減ったよ。今日は何?」若いから食べることが先なのだ。
 夕食を楽しみにしている娘に「今日はご飯抜き」なんて言えるはずがない。さてどうしたものかと頭を捻った。調理場を見回していると目に留まったのがフライパン。少し底が厚くなっていて、鍋代わりに使ってもいる。
 ピンときた。これでご飯を炊いてみよう!
これまで鍋を使った炊飯の経験はなかったが、キャンプなどで飯盒炊飯はよくやっていた。
 思いたったら吉日という。しかも時間は限られていた。コメを二カップ、炊飯器の内釜へ入れて洗米、水の量は炊飯器のメモリを利用した。透明のガラス蓋からフライパンの中を覗きながら炊飯をスタートさせた。水が沸き上がったところで火を緩めた。そして湯になった水が吹き上がるのをジーッと見つめてその時を待った。
フツフツと吹き出る水分が少なくなり、表面にカニの穴を認めると、いったん火を強め水分を飛ばした。炊きあがりに、布巾をかぶせたむあしをして蒸らした。
「ワーッ!おいしい!このごはん」
 娘の喜ぶ様子に(当たり前だ)とどや顔である。むらし上がったご飯の味見はしっかりと済ませている。もちろん、合格、いやそれ以上の出来上がりに自分でも驚いたのだ。
 こそげたおこげは炊飯器では無縁の代物だが、小さい頃土間のかまどで炊きあがったご飯には必ずおこげはできた。そのおこげを獲り合って兄弟げんかをしたのを懐かしく思いだす。おこげに塩を振りかけて食った味はひもじい時代、最高のご馳走だった。その味の復活をかみしめて幸福を感じたものだった。
 以来、我が家のご飯はフライパンで炊き上げる。ふつふつと躍り続けるコメが、満面笑みの娘と重なり、疲れも吹っ飛んでしまう。 
コメント
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