京極夏彦『ヒトでなし』新潮文庫
あるがままの自分を受け入れる
3月4日に『ヒトでなし』を手にし
3月18日にようやく読み終えた
仕事も家も妻子も、全てを失った男の話
“ニンゲンの屑”と言われ
全てを捨て いまの地に移り棲んだ
それだけに“ヒトでなし”のタイトルに魅かれ手にした
760頁余りの厚い文庫本
自分の本質(性格)は
そう簡単に変わるものでない、ことを
この『ヒトでなし』を読み
改めて知った。
尾田慎吾は、娘の事故死(殺された)が引き鉄となり
「ヒトでなし」と
もう他人である元妻から言われた
学習したって修行したって、人は変わらんのだ。
「反省すりゃ失敗は減る。
学習すれば成功も増える。
経験積めば効率は良くならァ。
でも、根っこのところはおんなじだ。
伸びた枝葉は刈ることもできるだろうが、根っこは弄(いじ)れねえ。
下手に掘りゃ枯れるよ。
だから解ったってどうすることもできねえのよ。
そうでなくっちゃ後悔なんて言葉はうまれなえだろうが」(544頁)
「どうやら俺は、生きてはいたが、生きてたってだけで、人としての生活はしていなかったーようだ」(124頁)
自分の怠惰な性格は
中学生のときから続いており
いまも変えられずにいる
老いては もう変えることのできない性格
変わらぬ根っこを弄ってみても枯れるだけ
本当にそう思う
いまの自分をあるがままに受け入れる
怠惰、意志薄弱な性格を変えることができなかった、と後悔したところで
今更どうしようもないし、時間は戻らない
「あるものをあるがままに受け入れる、それだけである」(765頁)
本当に生きた、と実感できる日々を
高校生のときに読んだ柴田翔の『されどわれらが日々』(新潮社)
ほろ苦く思い出す
本当に生きた、と実感できる日々がない自分
いったい何をしてきたのか
老境の身にあり残された日々は僅か
いまからでも 本当に生きた、と実感できる日々を
青春に返ったつもりで生きてみる・・・・