老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

1390;「吾亦紅」(すぎもとまさと)から母を想う

2020-02-07 17:48:16 | 老いの光影 第6章 「老い」と「生い」

「吾亦紅」 すぎもとまさと
作詞:ちあき哲也、作曲:杉本真人、唄:すぎもとまさと

白髪混じりの親不孝息子は
ふと母親が眠る故郷へ帰り
墓参りをする

マッチを擦れば風が吹き
線香がやけに つき難い

吾亦紅を見ると母を思い出す

盆の休みに 帰れなかった
俺の杜撰(ずさん)さ 嘆いているか
あなたに あなたに 謝りたくて
仕事に名を借りた ご無沙汰
あなたに あなたに 謝りたくて
山裾の秋 ひとり会いにきた
ただ あなたに 謝りたくて…… 


自分も 仕事に名を借りた ご無沙汰ばかりして
十数年も北海道へ帰らなかった

小さな町に 嫁いで生きて
ここしか知らない 人だった……
それでも母を 生ききった

令和2年1月から2月初めにかけ
3人の老母が亡くなった
自分の母も含め
母たちは 
小さな町に 嫁いで生きて
ここしか知らない 人だった……

東京 ディズニーランドも知らなかった
それでも母は 小さな町で生ききった

あなたは あなたは 家族も遠く
気強く寂しさを 堪(こら)えた
あなたの あなたの 見せない疵(きず)が
身に沁みていく やっと手が届く


いまは 小さな町に 独り住む老母もいれば
同じ屋根に下で息子夫婦と住む老母もいる
どちらの老母も
気強く寂しさを 堪(こら)えてきた

老い初めてきた息子に疎まれ傷つけられても
老母は寂しさを堪えてきた
寝たきりになっても 認知症になっても
子を想う老母の気持ちは変わらない

母と同じ年に生まれた老女に出会うたび
母が生きていたら今年で93歳になる

老母にできなかった優しさ
そのできなかった優しさを
3人の老女に
どれだけかかわりあいを持ったのか
線香をあげながら振り返る

髪に白髪が 混じり始めても
俺 死ぬまで あなたの子供…


小さな町で生ききった
3人の老母に
自分の母に
「おつかれさま」「ありがとう」の言葉を呟き
「俺 死ぬまで あなたの子供」で幸せでした

1389;深夜に電話とlineの音が鳴る

2020-02-07 05:57:51 | 老いの光影 第6章 「老い」と「生い」
深夜に電話とlineの音が鳴る

食と水を摂ることができず
絶食のような状態ながらも
生きてきた93歳のお婆ちゃんが
深夜に息を引き取った。
(ご冥福をお祈り申し上げます、合掌)

長男と訪問看護師から
電話とlineが入る。

それから起きだし
零時半過ぎキャンバスを運転し
彼女が眠る家に向かう。

紺色と白色を基調とした踊りの浴衣を着
安らかな顔で眠られていた。

93年の人生お疲れ様
50代のときにご主人に先に逝かれ
ご苦労された、と思います。