老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

石のぬくもり

2020-09-08 15:16:33 | 老い楽の詩

1667 石のぬくもり(再掲 2017/07/14 )

左手は握り拳の如く曲がったまま拘縮
両膝は「く」の字に曲がり脚を伸ばせない
ひとりで寝返りも行えず
染みついた天井を一日中眺めている

拘縮した左手の指を解(ほど)き解し
掌を握り 言葉のかわりに握り返す
老人のぬくもりが微かに伝わってくる

老いた妻は仕事に出かけ
老人はベッド上で留守番
黒電話は鳴ることもなく
ヘルパーが来るのを待っている

路傍の石も動くこともできず
ジッと地面と空を見つめている
小石を掌にのせ
小石を握ってみた
小石にもぬくもりが伝わっていった

ジッと寝ている
老人の体と心は寂しく
石のように冷たい
温かいタオルで体を拭きながら
言葉をかけていく
老人にもぬくもりが伝わっていった

路傍に咲いていたマーガレットを一輪
老人の枕元に飾ってきた

犬と猫の話

2020-09-08 04:34:54 | 阿呆者

再び登場 ”beagle genki” 猫を見ても追いかけない僕

1666 犬と猫の話

人間様は
忙しいときは「猫の手も借りたい」という
忙しいときは「犬も手を貸してあげるよ」

よくお店に手招き猫を飾っているけど
手招き犬は見ないな

猫可愛がりとよく言われるが
犬可愛がりの言葉は聞かれない

猫は犬に追いかけられ木に登る
犬は木に登れず下で吠えるだけ

猫は怖い物を見ると尻尾を逆毛に立つ
犬は怖い物を見ると尻尾を垂れ下がる

犬は群れで暮らす動物であり飼い主に忠実
猫は孤独を好む自由な動物でマイペース

人間様にお願い
人間の勝手な都合で犬猫を簡単に捨てないで欲しい
犬猫は生ゴミ捨てじゃない
犬猫も人間と同じ赤い血が流れている生き物なのだ