老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

突然、「今日、退院します」

2020-09-25 05:29:26 | 老いの光影 第6章 「老い」と「生い」

1691 突然、「今日、退院します」


2020.9.5のブログ『仙骨骨折』に登場した95歳の老女の話
その続きです


☎が鳴った
受話器をとると南陸奥病院の医療相談室からであった。
「三森さんが、家族の希望で今日退院されます。あとよろしくお願いいたします」
「わかりました」、と答えたものの
隠居宅でひとり暮らしの婆さんを今日からどう生活していくのか・・・・

いきなり、今日(令和2年9月24日)退院と、言われても
なにも退院後の支援体制ができていないまま
荒波の海の中に放り投げこまれた心境であり
頭のなかは絡まった糸の状態であり、先が見えない。

入院前に利用していた訪問介護事業所に電話を入れたものの
9月の訪問介護は難しい、とにべもなく断られた。

三森婆さんは同敷地内母屋にひとりで住む男孫の車に乗り
15時過ぎ帰宅。
私は16時過ぎに彼女が棲む隠居宅に伺った。

藤椅子に腰かけていた三森婆さん(95歳、要介護3)は、
居間から歩いてトイレまでは行けるが
立って調理することはできない
本人は「お風呂に入れる」(危なく一人では入れない)
(さあ、困った・・・・)

使える年金は月6万円(生活費)のなかでやりくりせねばならない
介護サービスに仕えるお金は限られてくる

本人は「特別養護老人ホームには行きたくない」
いまは稲刈りの農繁期にあたりどこも「ショートは満杯」
週2回デイサービスと夕方の生活援助を組み合わせのサービスしか浮かばない
男孫と嫁にでた女孫の協力をどこまで得られるのか、あてにはできないがあてにせねば??

長男は東京に暮らし、ときどきふと帰省する
何もしない癖に介護保険課にクレームの電話をする 「介護サービスはどうなっているのか」
何もしない家族ほど文句が多い
三女は埼玉で夫婦共々公務員の仕事についているが
入院と聞いても駆けつけることもなく、親子の糸は脆弱

今日(9月25日)10時 再び三森婆さん家を訪れる
ヘルパー事業所管理者も見え、男孫も同席(運よく仕事休み)で
これからどうするか、再び相談をすることになった。

それにしても
夕暮れ時の介護相談は、蚊が忙しく飛びまわる
刺されやすい私の躰にまとわりつき
追い払うも手の届かない場所にチクリ
この上痒いことしきり
蚊も問題であった