1677 遺 骨
窪美澄さんの文庫本『すみなれたからだで』のなかに
老父を東京都の山奥にある特別養護老人ホームに
棄てに行く話がある(「父を山に棄てに行く」)。
(現代版楢山節考なのかな)
その老父が老人ホームでなくなり
兄弟で葬式をあげ火葬を行う話に続く(「インフルエンザの左岸から」)。
「係の人に、大きな骨は隆と俺がそれぞれ長い箸で一緒に持ち、
骨壺の中に入れるように言われる。いくつかの骨を入れていくうちに、
骨同士がぶつかる乾いた音がした。細かい骨や粉はのようになった骨の屑を、
係の人がちりとりのようなものでかき集めて骨壺に入れる。
あっけないもんだ。」(43頁)
火葬場は遺族にとり深い悲しみに襲われながらも
焼かれ出てきた骨を骨壺の中に入れていく様子に
人間の生死の「あっけなさ」を感じたことは
自分にもあった。
それだけに人間は、死の対極で、生きていることの意味を問い思うのかもしれない。
隆の兄は「(自分が亡くなったときでも、あるいは棺に入ったときでも)額に触れてくれる
誰かの手のひらだけが欲しいと強く思った」(49頁)
無縁仏のように独り寂しく亡くなりたくない。
亡くなる寸前まで人の温もりを、誰しも求めている。
窪美澄さんの文庫本『すみなれたからだで』のなかに
老父を東京都の山奥にある特別養護老人ホームに
棄てに行く話がある(「父を山に棄てに行く」)。
(現代版楢山節考なのかな)
その老父が老人ホームでなくなり
兄弟で葬式をあげ火葬を行う話に続く(「インフルエンザの左岸から」)。
「係の人に、大きな骨は隆と俺がそれぞれ長い箸で一緒に持ち、
骨壺の中に入れるように言われる。いくつかの骨を入れていくうちに、
骨同士がぶつかる乾いた音がした。細かい骨や粉はのようになった骨の屑を、
係の人がちりとりのようなものでかき集めて骨壺に入れる。
あっけないもんだ。」(43頁)
火葬場は遺族にとり深い悲しみに襲われながらも
焼かれ出てきた骨を骨壺の中に入れていく様子に
人間の生死の「あっけなさ」を感じたことは
自分にもあった。
それだけに人間は、死の対極で、生きていることの意味を問い思うのかもしれない。
隆の兄は「(自分が亡くなったときでも、あるいは棺に入ったときでも)額に触れてくれる
誰かの手のひらだけが欲しいと強く思った」(49頁)
無縁仏のように独り寂しく亡くなりたくない。
亡くなる寸前まで人の温もりを、誰しも求めている。