「漱石を読みなおす」
小森 陽一著 ちくま新書
最近、齢のせいか、小さい字が読みにくい。ふと夏目漱石が読みたくなって、昔、買った「吾輩は猫である」を読み始めたのだが、字が小さくて小さくて、朝はいいとして、夜になると何故かいっそう見にくくなってしまい、ついに途中で断念してしまった。そんなこんなで、漱石について何か読みたいという欲求にかなえるべく読み始めたのが本書である。
本書の内容は、以下の . . . 本文を読む
「シェイクスピアを楽しむために」
阿刀田 高著 新潮文庫
ご存知阿刀田高の教養エッセイの一冊である。僕自身、このシリーズを読むのは、「ギリシャ神話を知っていますか」「ホメロスを楽しむために」についで3冊目になる。
これまで、シェイクスピアについては、意外と読んだことがなく、かかわりといえば、高校の文化祭のクラスの出し物で「ハムレット」で父王の幽霊役をやらされたぐらいである。正直、自分のアイ . . . 本文を読む
「父が消えた」
尾辻 克彦著 河出文庫
画家であり、作家であった赤瀬川原平氏が、尾辻克彦という別名で発表し、第84回芥川賞を受賞した同名の作品を含んだ短編小説集である。
なお、収録されている作品は、以下の5篇である。
「父が消えた」
「星に触る」
「猫が近づく」
「自宅の蠢き」
「お湯の音」
すべての作品が、日常の生活を、芸術家の独特な視点、あるいは観察力を持って描いてい . . . 本文を読む
ハーメルンの笛吹き男 ~伝説とその世界~
阿部謹也著 ちくま文庫
この本が出版されたのは、1988年である。ちょうど僕が学生の頃である。この本を買ったきっかけは、当時、同和教育の講義(当時、立命館は、「同和教育」に熱心であった。)を受け持っておられた中村福治先生が、講義の中で阿部謹也さんのは「ハーメルンの笛吹き男」について内容は覚えていないのだけど言及されていた。その頃、世の中は社会史ブー . . . 本文を読む
「百舌鳥古墳群をあるく」~巨大古墳・全案内~
久世 仁士著 創元社
最近、世間は古墳ブームだそうで、古墳をテーマにした雑誌等が書店の店頭に並んでいる。特に、古墳を実際に歩いて見て回ろうというのがテーマになっているようだ。その古墳ブームのきっかけの一つが、百舌鳥・古市古墳群の世界遺産登録運動であろう。
実際、世の中、職場で古墳とか見て回るの好きですよとカミングアウトしちゃうのは結構勇気のい . . . 本文を読む
「虚人たち」
筒井 康隆著 中公文庫
最近、筒井康隆づいている。「心狸学・社怪学」から始まり「アルファルファ作戦」や「くたばれPTA」など立て続けだ。きっかけは、団地について、書いた小説を急に読みたくなり、それが「心狸学・社怪学」に収録されている「優越感」という一編。そこから、読み続いているという訳。そして、その流れの中で今回の「虚人たち」である。
思えば、中高生の時は、北杜夫に続いて、 . . . 本文を読む
「日本の風景を歩く 京都」~紀行文学コレクション~
水上勉著 河出書房新社
最近、紀行文学にはまりつつある。自分が歩いてきた街を作家がどんな風に描いているのだろうか、あるいは、自分のありきたりな視点ではない、もっと違う見方があるのではないのかという想いからいくつか読んでみたりしている。このブログでも取り上げて、歩いている堀辰雄「大和路」などもそうである。せっかく奈良や京都に日帰りで行けると . . . 本文を読む
章説・トキワ荘・春
石ノ森 章太郎著 風塵社
ちょっと前になるけど、大阪歴史博物館で「マンガの力」という展覧会を見てから、マンガの黎明期に、手塚治虫をはじめ、本書の著者である石ノ森章太郎や赤塚不二夫、藤子不二雄などがキラ星の如くマンガ家が集まってきたトキワ荘に興味を覚え、古書店を回って手に入れたのが本書である。
本書は、「トキワ荘の青春」という書名で講談社文庫として出版された回想録に、マ . . . 本文を読む
マンボウ夢遊郷 ~中南米を行く~
北杜夫著 文春文庫
最近、さる事情があり、ラテンアメリカについて調べたいと思って、本棚を探していたところ、20数年ぶりに読み直した本である。奥付をみると、1984年9月出版となっている。まだまだ、ラテンアメリカと言えば、秘境というイメージが我々の中に残っている時代であり、本書を読んでいても所々にそういったイメージが現れている。
ピラニアなんぞはその代表的 . . . 本文を読む
考古学つれづれ草
佐原 真著 小学館
佐原真氏の考古学エッセイである。著者のいう考古学の成果をわかりやすく伝えようと言うエッセイ集である。
内容は、大きく7つの章に分けられている。
「考古学への誘い」
「考古学つれづれ草」
「身の回りの考古学」
「大昔の美に学ぶ」
「対談 世界のまじない文化」(大林太良氏との対談)
「講演 戦争について考える」
「佐原真を語る」
読ん . . . 本文を読む
「二人のガスコン」
佐藤賢一著 講談社文庫
本書は、フランスの有名小説「三銃士」主人公の一人ダルタニャンが、アトス・ボルトス・アラミスの三銃士と一緒にリシュリュー枢機卿の陰謀を打ち破った「三銃士」物語の後、著名な作家であるシラノ・ド・ベルジュラックとコンビを組んで活躍する歴史小説である。上、中、下の3巻本であり、昨年の12月に上巻を読了してから、やっとこさ全3巻を読了した。最近、どうも西洋史 . . . 本文を読む
「新トロイア物語」
阿刀田高著 講談社文庫
立て続けになるが、阿刀田高を取り上げる。本書も、西洋の古典古代を描いた小説になる。今回も650頁を越える大長編、これを一気に2日で読み終えてしまった。内容もさることながら、分厚い本を読む体力が少し戻ってきた気がする。
この間は、ギリシャ世界と東洋を結びつけるヘレニズム文化を生み出す契機となる大遠征を行ったアレクサンドロス大王を主人公とした小説だ . . . 本文を読む
「花のれん」
山崎豊子著 新潮文庫
ちょうど読書日記で取り上げた本の数が、100冊になった。このブログを始めてから実際に読んだ本はもっとあるのだが、なんとなく書く気になってブツクサと書いたものが100になったということか。
山崎豊子さんの直木賞受賞作である。大阪の商人を描いた、それも女一代で大阪の寄席をいくつも買い、果ては通天閣まで買った商売人の生涯を描いた小説である。この小説の主人公のモ . . . 本文を読む
「大河ドラマ入門」
小谷野 敦著 光文社新書
国民的ドラマNHKの大河ドラマについて、大河ドラママニアによる入門書である。著者は1962年生まれ、「国盗り物語」から大河ドラマを見始めているとのこと。ちなみに著者よりも少し後に生まれた私が最初に見たのは、たぶん「草燃ゆる」からだったと思う。僕の場合は自発的に見たというよりは、父親が大河ドラマのファンだったので、一家で見させられていた。(基本的 . . . 本文を読む
「獅子王アレクサンドロス」
阿刀田高 著 講談社文庫
紀元前3世紀、東方社会を席巻したマケドニアのアレクサンドロス大王(僕が高校生の時はアレキサンダー大王と習ったなあ。)の生涯を描いた長編歴史小説です。総ページ約700頁に及ぶ大作ということで、読みごたえは十分。むしろ意外とすっと読めたかなという感じ。
アレクサンドロス大王の生きた時代は、紀元前4世紀になる。日本で言えば、ちょうど弥生時代 . . . 本文を読む