甘樫丘の東麓を走る道路を歩いていると飛鳥川と交わる。川には飛鳥橋と呼ばれるさほど大きくない橋が架けられており、その脇には、小さなポケットパークがある。
このポケットパークの周りには、コスモス畑があり、ちょうどこの場所を訪れた時は、コスモスの花が満開であった。
そしてポケットパークには、柿本人麻呂の歌を記した万葉歌碑が、ポツンとひっそりと立っている。
そして、その歌碑には、「明日香川 しがらみ渡し 塞がませば 渡るる水も のどにかあらまし」と記されている。
歌の大意は、その横のもう一つの小さな碑に刻まれている。
明日香川にしがらみをかけ渡して、堰止めでもしていたら、流れる水もゆったりとあっただろうという意味である。この歌は、万葉集の第2巻に納めれられていて、明日香皇女を城上の殯宮の時に、柿本人麻呂が作る歌があり、その反歌として収録されている。
この歌の中に、しがらみというのが出てくる。しがらみというのは現在ではネガティブな言葉として使われてるが、もともとは、水流をせき止めるために、川の中にくいを打ち並べて、それに木の枝や竹などを横に結びつけたものであるらしい。
ただ、そういう言葉が万葉集に収録されているのがちょっと不思議な気持ちである。
この地を訪れた時は、9月の後半、コスモスの花が満開であった。
こうやって空いた土地にコスモスを植えて育てているなどは最近の観光地の傾向なのだろうか。そういえば、真神原にもコスモス畑があった。
明日香川を見れば、ゆったりと川の水は流れている。こういう風景は、なんとなくなごんでしまう。最近の自分の気分がちょっと荒んでいるからかもしれないな。
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