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アメフト観戦記や読書日記を綴っていましたが、最近は古墳(コフ)ニストとして覚醒中!横穴式石室をもつ古墳にハマっています。

スローカーブをもう一球

2012-08-13 08:21:36 | 読書日記


「スローカーブをもう一球」
 山際 淳司著 角川文庫

 夏休みである。高校に入った次女から、夏休みに読書をしたいので、お勧めの本を選んでおいてと言われ、何冊か選んだ本の一つである。選んだついでに読み返してみた。

 久しぶりに読んで、やっぱり面白かった。
 収録されている小編は、8編。
 「八月のカクテル光線」
 「江夏の21球」
 「たった一人のオリンピック」
 「背番号94」
 「ザ・シティ・ボクサー」
 「ジムナジウムのスーパーマン」
 「スローカーブをもう一球」
 「ボール・ヴォルター」
 
 特に著名なのは、著者のデビュー作、「江夏の21球」である。1979年の日本シリーズ 第7戦 近鉄VS広島 9回の攻防を描いたものである。この時の広島のリリーフエース 江夏の投球を克明に描いたものであり、この短編の題名が、そのままこのシーンにつけられて語り継がれている。
 また、表題作は、群馬にある県立高崎高校の甲子園に出場するまでの話である。どこにでもある公立高校、剛速球を投げる投手がいるわけでも、ホームランを連発する打者がいるわけでもなく、緩急をつけたピッチングが身上であり、とりわけ70キロ台のスローカーブを投げて打者を翻弄する投手を中心に次々と強豪校を破り、甲子園に出てしまう高校を描いたものである。
 これが、表題作になっているところが、著者らしい。
 著者は、比較的無名な選手を描いて、一瞬の場面を効果的に描き出す。
 それが、スポーツというと非常に暑苦しい、根性論に終始するようなものではなく、さわやかな知的なゲームとして描かれる。
 夏の暑い日さじの中に、さわやかな一筋の風が頬をなでていくような気分にさせてくれる。非常に読後感もさわやかな感じがする。

 久しぶりに、山際淳司の作品に接してみて、スポーツのさわやかさを再確認するとともに、こういったノンフィクションを書く作家がいないことに気がついた。
 夏の暑い日に、さわやかな風を運んでくれた著者に感謝したい。
 

 
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