●今日の一枚 175●
Rene Urtreger
joue Bud Powell
jazz in paris シリーズの一枚。フランスのピアニスト、ルネ・ユルトルジェの1955年録音盤、ルネの初リーダー作だ。
フランス語とフランスのジャズに無知な私は、この輸入盤CDのタイトルを見てバド・パウエルの作品と勘違いして購入してしまった。早速聴いてみたがなんだかおかしい。確かにバド・パウエルっぽいのだが、何かピンとこない。何というか、軽いのだ。バド特有のうねりというか、ちょっとだけ黒っぽい部分が感じられない。パリに移り住んだバドは、こういうふうに変化したのだななどと勝手に思い込んだりもしていたのだが、フランス移住後のバドを勉強しなおそうとwebで検索していたら、何とこのアルバムはフランスのピアニスト、ルネ・ユルトルジェのバド・パウエル作品集だということがわかった。私は、『死刑台のエレベーター』のピアニストとしてルネ・ユルトルジェの名前は聞いたことがあったが、リーダー作を聴いたことがなかったので、そのスペリングをみても読めなかったわけだ。そもそも、ジャケ裏には明らかにバド・パウエルではない白人の写真があったのであり、本来その時点で気づくべきであったのだが……。
バド・パウエルの作品ではなかったが、軽やかにスウィングするすっきりしたサウンドでなかなかいい。このアルバムは、かつてはピアノ・ファンが最後に捜し求める「超難の幻盤」といわれ、きれいなオリジナルの10インチ番は給料一か月分もするといわれたこともあったらしい。jazz in paris シリーズのこの盤は、オリジナル・ジャケットではないが、ピアノ・ファンが最後に捜し求める「超難の幻盤」などといわれると、それなりに感慨深いものがある。
内容的に超名盤とは思わないが、収録時間の短さも幸いして、非常に聴きやすい作品だ。ここ数日、早起きしてする仕事のBGMとして重宝している。とてもさわやかなスウィング感だ。