7~8年前のことだが、みやにしたつやさんという方の『おとうさんはウルトラマン』という絵本に出会い、毎日のようにページをめくったことがあった。お父さんとしてのウルトラマンを題材に、お父さんの子どもへの想いをテーマにしたものだが、当時まだ息子たちが小さかった私は、あまりの感動で涙なくしては読めなかった。特別のことではない、普通のおとうさんの普通の親としての想いをただ綴っただけの本だが、万人に共通する想いであるだけに、多くの人の共感を得たのであろう。 実際、この絵本はかなりヒットした作品だったようで、その後、『おとうさんはウルトラセブン』『帰ってきたおとうさんはウルトラマン』『おとうさんはウルトラマン/おとうさんの休日』などのシリーズ本が次々と発表された。私は、それらを次々に買い求め、やはりページをめくるたびに涙、涙であった。
いつしか、私の息子たちも成長し、憎たらしい一面を身につけるにつれ、次第にその絵本をひらくことも少なくなっていった。先日、本棚の整理をしていてその絵本を見つけページをめくってみたが、やはりいい本だと思った。
著者のみやにしたつやさんは、『おとうさんはウルトラマン』の序に次のような言葉を記している。たいへんシンプルであるが、長らく忘れていたものを思い出させるような文章である。
ぼくが小さかったころ、
人は、目に見えるものにとらわれ始め、
それを追いかけるようになっていた。
お金や物や地位や学歴……
人は、無くなっていくものを、
朽ちるものを必死で求めた。
しかし、ウルトラマンはちがった。
ウルトラマンは、目に見えないけれど
確かなものをいつも追いかけていた。
勇気と希望を、優しさや思いやりを、
そして愛を……。
ウルトラマンは決して色あせない、
朽ちることのないものをぼくに見せてくれた。
そしていま、ぼくはお父さんになった。