●今日の一枚 178●
Julie London
Lonely Girl
ジュリー・ロンドンを聴くのは初めてだった。ジャズ決定盤1500シリーズのキャンペーンで、CDを数枚もらった中の一枚だ。大正解だった。その魅惑的なジャケットゆえ、ジュリー・ロンドンには以前から興味はあったのだが、なぜか今日まで聴く機会に恵まれなかったのだ。
ジュリー・ロンドンの1956年録音作品、『ロンリー・ガール』。アル・ヴィオラのギターのみをバックにジュリーが切々とした女心を歌い上げるといった趣向だ。いい作品だ。歌い上げるというより、ささやくといった方が適切だろうか。ジュリーはちょっぴりかすれた声で胸いっぱいの想いを込めて歌っていく。まるで、自身の胸のうちをうちあけるかのようにだ。ギターとボーカルというシンプルな構成ゆえ、ひっそりとした静けさとともに、歌の臨場感がダイレクトに伝わってくる。ジュリー・ロンドンという歌手を今まで聴いてこなかったことが実に悔やまれる。今後、ジュリー・ロンドンを探究することになりそうだ。
1926年生まれのジュリー・ロンドンは、はじめ映画女優としてデビュー、いくつかの作品に出演するが幸運には恵まれなかったようだ。その後結婚して二人の子をもうけるも離婚、1950年代に歌手に転向し、50年代から60年代に華々しく活躍した歌手だ。活躍の陰には、後に夫となるジャズ・ピアニストのボビー・トゥループとの出会いがあったようだ。ボビーの指導を受け、本格的なジャズシンガーとなったわけだ。ジュリーは、前年に亡くなった夫ボビーの後を追うかのように、2000年10月18日に亡くなっている。