震災から1ヶ月が過ぎ、私の周りでも少しずつだが生活が落ち着いてきている。もちろん、家族や家を失った人にとってその現実に何の変わりもないが、全国の善意のおかげで多くの物資が集まり、避難所の生活も物質的には軌道にのっている。我々在宅者も電気・水道が復旧し、日常の生活を取り戻しつつある。ガソリン不足もかなり解消され、自衛隊などのおかげで道路も応急的な復旧がなされている。また、瓦礫が続く風景に変わりはないが、震災直後に比べれば瓦礫の撤去作業が進んできていることがわかる。
地震や津波の惨状をはじめ、被災者たちの生活などについては、多くのマスコミが伝えるとおりであり、その内容自体には大きな誤りはないと思う。ただ、メディアの性質上、報道されにくい現実もある。それは例えば、以前少し触れた災害現場での略奪行為や倒壊家屋等から金品の物色・窃盗行為である。また、災害現場における「悪臭」の問題もそうだ。三陸海岸には多くの漁業の基地があり、そのため冷凍会社も数多くあったが、今回の津波でそれらが破壊され、冷凍していた魚や釣り餌が流出してしまったのである。これらの冷凍物はものすごい量にのぼり、災害現場は魚や釣り餌だらけだ。それらが腐敗して辺りにものすごい悪臭を撒き散らしているわけでだが、その匂いは日増しに強まっている気がする。災害現場はもちろんのこと、災害現場から1km程度の距離にある私の自宅でも、戸外に出るのがつらいほど強烈な匂いであり、これにはホトホトまいっている。吐き気をもよおすほど強烈な悪臭である。
幸い今日はいつもより異臭が弱いようだ。天気も良いので、しばらくぶりに窓をあけ、ビル・エヴァンスを聴きながら家の片づけだ。午後からは時間が空きそうなので、また災害現場の視察にいってみようかと思っている。歴史学を学んだものの一人として、このような事件の教訓はきちんと後世に伝えなければならないと思っている。
これはマグロですかね。