WATERCOLORS ~非哲学的断章~

ジャズ・ロック・時評・追憶

ロリンズのWHAT'S NEW

2011年04月24日 | 今日の一枚(S-T)

●今日の一枚 307●

Sonny Rollins

What's New

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 とにかく楽しいアルバムである。リズムに身体を委ねるだけで、とにかく楽しい気分になれる。ソニー・ロリンズの1962年録音盤『ホワッツ・ニュー』である。アルバムジャケットに、brings to jazz a new rhythm from South America と記されているように、ロリンズがその音楽的ルーツののひとつである「カリプソ」のリズムをジャズに取り入れた作品である。「カリプソ」は、カリブ海に浮かぶ島々、特にトリニダード・トバゴのカーニバルで発達した音楽ジャンルであり、レゲエのルーツの1つともいわれる。リズムは4分の2拍子だ。その「カリプソ」のリズムの中、ロリンズはただ自由奔放にテナーを吹きまくる。その潔さと洪水のように溢れ出るメロディーにはただ脱帽するのみだ。ラテン系のリズムの中で、やはりこれはジャズなのだと思わせるようなテイストを付け加えているのはやはり、ジム・ホールのギターだろう。時に、ロリンズの「ラテン系」にしっかりと付き合いながら、オカズやソロではしっかりジャージーなプレイをする。ジム・ホールのソロでほっとしてしまうのは、やはり私が保守的だということなのだろうか。

 人間は暗く重い状況の中でも身体を動かすことでハッピーな気分になれることがある。もちろん、それで問題が解決するわけではないが、それが生きる《元気》となることはあるだろう。《心》と身体はつながっているのだということを再認識させてくれるような一枚である。