☆今日の一枚317☆
Pat Metheny Group
Letter From Home
この夏は車で古いパット・メセニーを聴いて過ごそうと決めた。1か月ほど前、なぜだかわからないが(天の啓示のようにだ)、パット・メセニーを聴いていた懐かしい20代の頃の情景が思い出され、そう決めてしまったのだ。パット・メセニーのサウンドとともにの、スライドショーのように様様な場面が思い出され、アスファルトに反射する太陽の暑さや、汗のじめじめした感じや、風の涼しさなどの皮膚感覚さえよみがえってくる。不毛な日々だったが、私にとってはやはり、かけがえのない時間だった。
今日の一枚は、パット・メセニー・グループ(PMG)の1989年録音作品、『レター・フロム・ホーム』だ。同時代に聴いた作品だ。私は27歳だったことになる。PMGとしては快作『スティル・ライフ』(1987)の 次に来る作品なのだが、私はずっとカセットテープで聴いていて、曲名をきちんとチェックしなかったこともあり、私の中では『スティル・ライフ』と『レター・フロム・ホーム』がごちゃごちゃになっている。傾向の類似した両作であるが、今回CDで聴きかえしてみて、『レター・フロム・ホーム』のほうが溌剌とした明快なサウンドだという印象を受けた。サウンドの陰影感という点では一歩譲るが、本当に元気で明快なサウンドである。柔らかいが低く存在感のあるベースが好ましい。印象的な① Have You Heardももちろんいいが、やはり私は、メロディーの美しい⑧ Dream of The Return、⑪ Slip Away、⑫ Letter From Home、あたりがお気に入りである。あまりの美しさに、感動の余韻が細胞のひとつひとつにゆっくりと沁み込んでくるようだ。