WATERCOLORS ~非哲学的断章~

ジャズ・ロック・時評・追憶

「モーニン」というタイトルじゃなかったのですね

2012年08月15日 | 今日の一枚(A-B)

☆今日の一枚 323☆

Art Blakey and The Jazz Messengers

Blue Note 4003

Scan10020

 人間ドックでいくつかの項目がひっかって再検査を勧告されたのだが、たまたまオフだった今日、地元の市立病院がお盆にもかかわらずやっているというので、人間ドック医師の分厚い紹介状を持参して病院に行ってみた。さっそく、いくつかの検査を行われ、24時間心電図装置を装着されてしまった。じめじめして暑いというのに、ああ、わずらわしい・・・・。暑いときには、熱い音楽をと思って取り出したのがこの一枚だ。

 アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズの1958年録音作品、『モーニン』。ジャズ入門書には必ずとっいいいほど登場する、ジャズファンを自称する者としては、好きですなどというのが気恥ずかしくなるほどの超有名盤である。けれども近年の私は、聴くたびに、ああやはりこういうのは好きなのだなと再確認させられてしまう。黒っぽい、ブルージーでファンキーなサウンドが好ましいのはもちろんなのだが、よく聴いていると、リー・モーガンとベニー・ゴルソンの2管フロント隊が音色に絶妙の変化をつけ、意外にデリケートな演奏をしているところがいいじゃないか。若いころはこの作品が好きだなどとはまったく感じなかったのだが、最近そう思うのは「老化」なのだろうか、「成熟」なのだろうか。

 ところで、中山康樹氏の『ジャズの名盤』(講談社現代新書2005)によって気づかされたのだが、このアルバムのタイトルは『モーニン』ではなかったのですね。確かに、ジャケットのどこを見ても『モーニン』とは書かれておらず、ただ≪Art Blakey and The Jazz Messengers Blue Note 4003≫とあるのみである。このアルバムが『モーニン』と呼ばれるのは、もちろん、1曲目に配置された「モーニン」がそれだけインパクトのある曲であり、世界的なヒットをしたという事情によるものだろうが、恥ずかしながら私は、中山氏のこの本を読むまでこのことに気づきもしなかった。

 なお、中山氏はこの著書の中で、マイルス・デイヴィスの「ソー・ホワット」が、この「モーニン」をヒントに書かれたのではないかと推測しているが、改めて聴いてみると確かに似ている。そういえば、中学生のジャズ好きの二男も似ている旨を指摘したことがあったような・・・・。なるほど、と考え込ませられるのみである。