WATERCOLORS ~非哲学的断章~

ジャズ・ロック・時評・追憶

ソング・フォー・マイ・ファザー

2012年08月12日 | 今日の一枚(G-H)

☆今日の一枚 321☆

Horace Silver

Song For My Father

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 ホレス・シルヴァーの1963年録音作品『ソング・フォー・マイ・ファザー』。ホレス・シルヴァーを聴くようになったのはここ10年ぐらいなのだけれど、こういうのは結構好きだ。若いころのように、熱狂的に聴きまくり、ハマったわけではないのだけれど、知らず知らずのうちにCDやLPが少しずつ増えている始末だ。

 たまたま手元にある、ちょっと古い雑誌の村上春樹のインタビュー記事が、どうということのない内容なのだけれど、妙に記憶に残っている。(『Sound & Life』2005年6月25日発行)

 当時、レコードは貴重品でしたから、食べるものも食べないでお小遣いを貯めてやっと一枚買う。ブルーノート・レーベルのホレス・シルヴァー「ソング・フォー・マイ・ファザー」なんて、2800円も出してオリジナル盤を買いました。40年前の2800円っていったら高校生にとってはとんでもない大金です。だから買ったレコードは実によく聴いた。レコードって大事に扱えば長持ちしますよね。いまでもそのころに買ったレコードをよくターンテーブルに載せますよ。

 ジャズ・ファンなら(あるいはロックやクラッシックファンでも)、多かれ少なかれ同じような経験や思いがあることと思う。予定調和的な感想ではあるが、まったく共感するのみだ。村上氏はこのインタビュー記事で次のようなこともいっている。

さっきもいったように、2800円のブルーノートのレコードって高校生の僕にとってはものすごく大きな出費だったんだけど、だからこそ大事に丁寧に聴いたし、音楽の隅々まで覚えてしまったし、そのことは僕にとっての知的財産みたいになっています。無理して買ったけど、それだけの値打ちはあったなあと。活字がない時代、昔の人が写本してまで本を読んだように、音楽が聴きたくて聴きたくて苦労してレコードを買った、あるいはコンサートに行った。そうしたら人は文字通り全身を耳にして音楽を聴きますよね。そうやって得られた感動ってとくべつなんです。

 私とはひとまわりも歳の違う村上氏だが、まったく同じような思いである。


畠山美由紀の無料LIVEに行ってきました。

2012年08月12日 | 音楽

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 数日前の記事で取り上げた畠山美由紀の無料LIVEに行ってきました。会場の小さなジャズ喫茶は超満員で中に入れず、入口前の路上でのテレビモニター観覧かと思いきや、LIVEが始まって数分、興味がなかったのでしょうか、会場から出てきた人が10人ほどおり、後ろからの立ち見ではありましたが、何とか中に入って演奏を聴くことができました。角度が悪くて、ピアノとギターは見れなかったけど・・・・。

 当日はお祭りのため、すぐそばの仮設商店街の広場で打ち囃子をやっていたり、熊谷育美らの無料野外LIVEがあったりで、その音が聴こえてあまりいい条件ではありませんでした。Liveは途中、親友の音楽教室の先生や、弟さんの友達だという男性が飛び入り出演して、自作のカラオケトラックをバックに「守ってあげたい」を歌ったりするなど、全体的にアットホームなものでした。

 感想は・・・・、「普通」でした。演奏は悪くないし、歌はやはりうまいのだろうなと思うのですが、全体のトーンに変化が乏しく、正直いえば、やや冗長で退屈に感じたのも事実です。まあ、無料なのでがたがたいうのも失礼というもの・・・・。

 今度は、お金を払ってもいいから、集中力のあるLIVEを見てみたい。是非また来てほしいものです。