◎今日の一枚 481◎
Bill Evans
Trio '64
道の駅「大谷海岸」がオープンしたというのでちょっと行ってみた。思っていたよりも、ずっといい施設だった(→こちら)。この商業施設は、震災前は「日本一、海水浴場に近い駅」として知られいた大谷海岸駅に隣接する施設だったが、あの大津波で壊滅的な打撃、というより木っ端微塵に破壊されてしまった。今度はちょっと高台に、周辺の道路も大幅にかさ上げし、BRT大谷海岸駅と一体化した形で再建されたのだ。三陸道に完全に隣接しているとはいえないが、大谷海岸ICからは比較的近く、やり方によっては意外にヒットするかもしれない。
私の住む街の復興は被災地の中では進んでいる方だと思うが、例えば隣町の岩手県陸前高田市に比べると、ちょっと負けている感がある。メディアに露出し、町が一体的に再構成され、まとまり感じる陸前高田市に対して、私の住む街は大きすぎるのだ。リアス式海岸特有の地形のため、観光地が細切れに分断され、ひとつひとつの観光地がスケール感に欠けるものとなってしまっている。また、魚市場をもたない陸前高田市が資金を集中的に投入できるのに対して、魚市場をもつ私の町はそれに予算を取られるというハンディキャップもある。三陸道ができても、私の町はスルーされ、陸前高田市が賑わうという筋書きもありうるのだ。三陸道や気仙沼大島大橋、気仙沼湾横断橋をどのように活用し、点在する施設をどのように結び付け、それらをどのように運営するか。震災前に存在したいくつかの箱物施設には、ほとんど機能せず閑古鳥状態だったものも多かった。今度はそうならないことを期待したい。
今日の一枚は、ビル・エヴァンスの1963年録音盤『トリオ'64』である。発表されたのが1964年だから『トリオ'64』なのだろう。パーソネルは。ビル・エヴァンス(p)、ゲイリー・ピーコック(b)、ポール・モチアン(ds)である。そういえば、昨年、ゲイリー・ピーコックが亡くなってしまった。好きなベーシストの一人だった。このアルバムでは、若き日のゲイリー・ピーコックのプレイを聴くことができる。若き日のゲイリー・ピーコックは、天才スコット・ラファロの追随者だったといわれ、その片鱗を垣間見ることもできるが、演奏された曲の曲調もあって、何だか微笑ましく思えてしまう。
ゲイリー・ピーコックが亡くなったのは、2020年9月4日、85歳だった。