5日早朝のオンライン記事です。米軍のインド・太平洋方面の司令官が「中国による台湾進攻は5年以内」発言し、そうすると世界のICチップの半分を受託生産している台湾積体電路製造(TSMC)に問題が起き世界のサプライチェーンに混乱が起きます。事はそんな先の話でなく台湾では昨年以来の水不足で、直近のICチップの生産に懸念が出ているようです。日本でもルネサス那珂工場が先月19日の火災で自動車向けICチップに供給減の問題が起きているとか?
多分本当の心配は5ナノとか3ナノとか微細なICチップの生産に障害が出れば大問題なのだろうと思います。軍事用とか高度の科学技術向け技術には必要欠くべからざる部品なのは間違えありません。TSMCは多数の給水車を手配済みと「懸念の打ち消し」に掛かっているそうですが、半導体と雨ごいを期待する気持ちと微妙な取り合わせに驚いています。将来的には「水製造プラントを設立」する必要があるかも知れませんね。
写真:TSMC創業者の張忠謀前会長 ©共同通信社
文春オンライン:
昨年から雨に恵まれなかった台湾が、数十年ぶりの渇水に見舞われている。民進党の蔡英文政権は4月から給水制限に踏み切る構えだが、心配されるのが、大量の工業用水を必要とする半導体産業への影響だ。
台湾には世界の半導体受託製造(ファウンドリー)の半分以上を供給する台湾積体電路製造(TSMC)がある。同社は多数の給水車を手配済みとして「水不足がただちに生産に影響を与えることはない」と火消しのコメントを出した。もし減産となれば世界の製造業が大ダメージを受けかねず、台湾の降雨を世界が祈願する状況に陥っている。
コロナ禍によるゲーム機やパソコンなどの需要増で世界的に半導体不足への懸念が広がる。自動車から戦闘機まで半導体抜きには動かない。その半導体製造で、サムスンやインテルを抑えて世界の先頭を行くのがTSMCなのである。
同社は米中対立の争点にもなっており、争奪戦が激しい。米国はトランプ政権時代にアリゾナ州へ5ナノの製造工場の誘致を発表。日本もつくばに研究拠点を置くことになった。各国から半導体供給への協力打診が相次ぎ、台湾政府もTSMCに増産を求めたが、反応は冷たかった。「増産の余地は当分ありません」。注文は数年後まで一杯だからだ。
なにしろアップル、クアルコム、ソニーなど世界の大手が供給枠の確保を頼み込んでいる。TSMCの半導体を搭載できるかどうかで製品のクオリティが大きく左右されるためである。
1987年創業の同社は半導体生産の設計と製造を分離する垂直分業の流れに乗って規模を拡大し、技術を磨いた。現在主流の7ナノメートル半導体で優勢を確立しただけでなく、巨額の資金を研究開発につぎ込み、今後の主流になる5ナノ、10年後の主流とみられる3ナノ・2ナノでも開発競争をリード。まさに台湾の至宝だ。
(以下省略)