王様の耳はロバの耳

横浜在住の偏屈爺が世の出来事、時折の事件、日々の話、読書や映画等に感想をもらし心の憂さを晴らす場所です

「江戸の老人力」を読む

2007-02-17 07:23:19 | 本を読む
細谷正充氏 編 「江戸の老人力」を読みました
著でなくてなんで編なの? と思いましたがこれは巻末の細谷氏の解説を引用するのが宜しいようです
解説:
本書は、老人が主人公、もしくは重要な役割を果たす作品を集めた、時代小説アンソロジーである。 中略  ---アンソロジーを編んだ。 後略

はえ、さてアンソロジーとは何じゃいな? と思いググル
アンソロジー:一定の主題・形式などによる、文学作品の選集。また、抜粋集。佳句集。詞華集。
なるほど、江戸時代劇「老人力」選集という事である

そして「老人力」については赤瀬川原平氏のベストセラー「老人力」から借用と紹介している
寄り道ついでに赤瀬川原平氏の「老人力」をググル
物忘れ、繰り言、ため息、ボケ、耄碌などなど従来は年寄りの証をされ忌避される様な言動を「老人力が着いてきた」と前向きに捉え軽妙洒脱元気良く生きる力と見立てる事らしい
そういえば爺なんかも凄く「老人力が着いている」

さて本書では12編の個別の作家による短編が選ばれている
巻頭の話は池波正太郎氏の「夢の茶屋」である
江戸期は老中松平白河の守様の頃、表向き勝手元よろず倹約が建前、浅草の奥山にある茶屋「玉の尾」 茶屋といっても今風にいえば「ラブホテル」兼「相手の娘も斡旋する」所である
そんな場所を秘密めかして「夢の茶屋」等と称して結構な金を取っているのである

奥御祐筆組頭(おくごゆうひつくみがしら)飯沼新右衛門が遊びに来て、そこを「玉の尾」の若い衆で顔見知りの仁三郎に見られ100両をゆすられる
万事堅い事が筋目の松平様の下では「女遊びのスキャンダル」は軽くて役職ご免、まかり間違えば切腹もの 役目柄100両や200両の金に困る身分ではない

そこで「玉の尾」を取り持ってくれた出入りの道具屋「山城屋」を呼んで善後策を講じる
山城屋も奥山界隈を取り仕切っている「聖天の元締」を呼び出し事の始末を相談する 昔は人殺しもなんて噂もあったが今は腰が低く丁寧で穏やかな人柄で慕われている
「玉の尾」は聖天の元締の片腕才兵衛が切り盛りしている そんな事で聖天の元締は仁三郎の始末を請け負う
翌日仁三郎は姿を消し、ゆすりの種の飯沼のキセルも無事取り戻される

山城屋は殺しの相場25両を10両にまけさせ「聖天の元締」に払うと、返す足で飯沼家によりキセルと交換に200両の仕事賃を新右衛門より勿体を付け懐に入れた

さて3月ほどのちの夏過ぎ、山城屋は同業者の寄り合いの席の手洗いで心の臓を一突きされ即死 犯人は上がらなかった ここら辺りは藤枝梅安風です
さてさてこの後はネタばれ無しでご自分でお読みください

他の編の老人達もしなやか・したたか・軽妙・ひょうひょうとても爺の及ぶ所でありませんが「老人力」も良いものですよ 自信を持ちました


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