今年は東京駅の開業百周年らしい
僕が初めて東京駅に降り立ったのは30数年前の20歳の時だった
とある学校を受験するために上京したんだが
新大阪から初めて乗った新幹線が大きな東京のビル群が林立する谷間を入って行く
東京
大阪とは違う何を感じた
何か得体の知れないものが待ち構えていて
自分自身が宇宙に投げ出されたちっぽけな埃のようで
東京駅を降りると自分以外の人間は皆、異邦人の様な気がした
先に上京して中央線の国立で大学生活を送っていた友人のアパートに向かった
「とりあえず赤い電車に乗れ」
と教えられた
東京駅に夢と希望を描いて降り立ち
挫折と屈辱感に苛まれながら東京を去る人も多いだろう
自分の場合
夢も希望も無かったし
そもそも東京に出ようなんて少しも思っていなかった
しかしいろんな状況が東京に向かわせた
先に上京していた高校の同級生たちが新宿で歓迎会を開いてくれた
5~6人だったと思うが
あか抜けた奴と田舎っぺそのままの奴がいた
現在、30数年前に歓迎会を開いてくれた面々のほとんどが東京を去った
自分だけが一人残された
四畳半フォークの頃と違って世がバブルを迎えた頃だったんで
上京した時期は良かった
まさしく東京駅を舞台にしたシンデレラエキスプレスのCMの時期が恋愛適齢期だった
こちらで家庭を持った
今、月に一度ほど東京駅を出て皇居ランをする
昔、自分を圧倒したビル群にも慣れた
自分以外、異邦人に見えた東京の人間が
今は自分と同様の田舎者に見える
だがふと立ち止まった時
「なんで俺はこんなところにおるんやろ?」
とか思う事がある