年度末を目前に控え、続々と各地から桜の開花が伝えられている。東京の桜は早く、ソメイヨシノが満開を迎えているらしい。学生の頃二年ほど北区にアパート暮らしをしたことがあり、王子公園の桜を見に行ったことがある。もう25年以上前のことだ。桜よりも花見の宴後でどうしょうもない酒のにおいをかいだことを覚えている。 朝にはつぼみだった皿尾城の桜も夕方過ぎには開花し、二分咲きといった具合だ。
弥生の終わりは別れの季節。明日には学校の先生の異動の知らせも出るのだろうか。春休みの学校職員室は遅くまで明かりがともっていた。
習字やそろばん、塾や音楽、学習塾に限らず習い事を続けている子供は多い。少子化にあたり、一人当たりの子供に掛ける費用は増加傾向だから、いろいろなことに挑戦させることも多いだろう。何事もそうだが始めるより続けることの方が難しい。ましてやどこまで続けるかの判断はなかなか区切りもつけずらい。
小学四年生の息子は水泳を始めてすでに五年。幼稚園から同じスクールへ通っている。送迎も自家用車だけに週二回の練習は時間もかかり、なかなかの負担だ。近年では個人競技、種目が流行りで昔の様に皆野球やサッカーばかりではなくなって久しい。
記録が伸びれば伸びるほど、技術も磨かなくてはならずより速く泳ぐにはしっかりとしたフォームを身につけることが重要だ。ただがむしゃらに泳いでいても結果はついてこない。
スクールも級取得制度をとっていて、最上級一級を取得すればスイミングキャップも青から白に変えてくれる。キャップには「First
Class」と刺繡も入る。四年生の内に白帽子を被ろうとこの一年頑張ってきた。
進級テストは今週が最後で、チャンスは今日を含めてあと二回。種目は平泳ぎで50mを50秒で泳げば合格。私が見に来れるのは今日が最後だった。
結果は49秒63で見事合格。念願の1級取得だった。
うれしかったのは本人が得意の平泳ぎで後半も伸びのある泳ぎを見せてくれたこと。いつもは結果が出てもおとなしくしている彼が、コーチに詰め寄ってまで結果を聞きに行ったこと。そして何より四年生の息子より一回りも二回りも体の大きい中学生くらいの1級の先輩が、息子の1級合格を知って自分のことの様に喜び、握手を求め、何度も何度も背中を叩いて祝福してくれたこと。
プールサイドで同じ1級の子供たちが、一際体の小さい息子の合格を喜んでくれたこと。
個人競技でも同じプールで泳ぐ仲間と技術を磨きながら、その泳ぎを認められ、嬉しそうにしていた彼の姿に大きな成長を感じた一日だった。
ファーストクラスの白キャップを被り、大きく飛躍することを期待するとともに、これからも多くの仲間を大事にしてほしいと願っている。