人生チャレンジ20000km~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

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こんなにおかしい!ニッポンの鉄道政策
私たちは根室線をなくしてはならないと考えます
国は今こそ貨物列車迂回対策を!

北海道交通政策総合指針(案)に対し、当研究会が提出した意見が盛り込まれました

2018-04-01 23:36:44 | 鉄道・公共交通/交通政策
2018年3月31日付「北海道新聞」は、「維持困難2線区に新役割 道が交通政策指針」と題する記事(サムネイル画像になっている場合はクリックで拡大します)を掲載。今年2月に取りまとめた「指針」の中で『JRが「単独では維持困難」とした路線のうち、根室本線の富良野-新得と室蘭線の沼ノ端-岩見沢の2線区は、災害時や貨物列車の代替路の役割があるとの内容を盛り込んだ』と、指針の一部修正が行われる見通しであることを伝えている。

この「指針」とは、2018年2月、北海道運輸交通審議会の答申を基に北海道が策定した「北海道交通政策総合指針(案)」のことだ。いったんこの指針の案が公表後、2月末にパブリック・コメント手続が行われた。JR北海道が「維持困難」とした10路線13線区の全路線維持を明確に打ち出さず、重要度別に5段階に区分するなど「指針」の内容がきわめて不十分であったことから、当研究会は道に対し、14項目の意見を提出していた。事実上、今回の修正で「指針」に反映されたと思われる2つの意見を、念のためここでも紹介しておこう。

『根室線(富良野~新得間)について、「他の交通機関との……代替、……」としていることは不適当である。石勝線が開通するまで、この区間は札幌~釧路間における貨物輸送に使われていた実績がある。現在、この区間での貨物輸送は行われていないが、石勝線が不通となった場合における貨物輸送の迂回ルートとして「維持」を明確にすべきである。』

『室蘭線(沼ノ端~岩見沢間)については、石炭輸送の名残で複線区間を有するなど恵まれた環境にある。「代替ルートとなりうる千歳線の厳しい線路容量等を考慮する」のであれば、これらの環境を活かした貨物輸送の迂回ルートとしての利用などを積極的に検討すべきである。』

各路線の実情を踏まえた当研究会の重要な意見が指針に盛り込まれる方向になったことは、この2路線の振興に向け大きな前進であるとともに、特に根室本線(富良野~新得間)については、「バス転換を含む地元協議」を求めていたJR北海道の方針を転換させる重要な転換点になることは間違いない。災害などの非常事態に備え、貨物輸送の代替ルートを確保することの重要性をたびたび訴えてきた当研究会の活動が実ったともいえよう。

なお、当研究会が提出した意見の全文を急遽、安全問題研究会サイトに掲載(PDFのみ)。『指針』に反映されたと思われる部分を赤字で示した。また、当研究会が訴えてきた、災害などの非常時に貨物輸送の代替ルートを確保することの重要性に関しては、当研究会が2017年11月24日に北海道日高町で行った講演資料「こうしたら日高門別まで運行再開できる~日高線復旧後に描く夢」の32~35ページで詳しく述べている。また、当研究会が作成し、山本太郎議員に提出を託した「鉄道事業法における鉄道事業の許可と列車運行義務及び被災した鉄道の復旧に関する質問主意書」でも、災害時の貨物代替輸送ルートの必要性を指摘しているので、ぜひ参考にしてほしい。

パブリック・コメントについて、当研究会はこれまで、行政が市民の意見を聴いたように装うためのアリバイ作りで、市民の不満の「ガス抜き」に過ぎないと考え、重視してこなかった。実際、原発問題などをめぐるパブコメで国の政策を変えることができた例はほとんどない。だが、地方自治体レベルでのパブリック・コメントは必ずしもそのように悲観的に考える必要はないことを実感した。北海道新聞の記事では、道議会自民党からも「全道的な見地や物流網の視点が不十分だ」との指摘があったと伝えられている。安保や原発政策のような与野党対決的な政策と異なり、公共交通の維持のような合意争点型の政策をめぐっては、地域経済の維持発展などの共通の利害関係を基に自民党とも歩調を合わせることができる場合がある。政権交代がめったに起きない日本で自分の望む政策を実現させるため、自民党にも理解してもらえるような政策の提案方法を考えていくことは今後に向け重要な課題である。今後も北海道の鉄道維持に向け、当研究会は積極的な提言をしていきたい。

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