人生チャレンジ20000km~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

公共交通と原発を中心に社会を幅広く考える。連帯を求めて孤立を恐れず、理想に近づくため毎日をより良く生きる。

倶知安町・文字一志町長への辞任勧告

2024-11-29 22:34:15 | 鉄道・公共交通/交通政策
倶知安町長の最近の態度には腹が立ち、もはや我慢も限界だ。以下の文章は知人に書き送ったものである。以下の2つの理由により、私は倶知安町長に「辞職勧告」する。
 
理由1:函館本線(小樽~余市~長万部)のバス転換が不可能とわかっているのに、倶知安町長だけ頑なに「廃線バス転換」を変えないこと
 
北海道新幹線札幌延伸は、建設主体の鉄道・運輸機構ですら「2030年開業は不可能」と白旗を揚げている。2035年に開業できるかどうかも厳しく「2040年くらいになるんじゃないの?」と冗談のつもりで言っていたのが本当になりそうな状況だ。私の生きているうちに札幌開業を見られるかどうかすら怪しくなっている(ついでに言えば、リニア中央新幹線も、北陸新幹線の敦賀から先=関西までの延伸も総崩れ状態で、下手をすると、新幹線の路線図が現在(2024年)から私の生きているうちはまったく変わらないままの可能性すら出てきた)。
 
バス転換協議会にバス会社を呼ぶという基本的なことすらしないまま勝手に転換を決めた道庁に、北海道中央バスなど転換バスを押しつけられる予定のバス会社が猛反発し「既存の路線を維持するだけでも精一杯。どんどん運転手が辞めているのに函館本線の転換バスなど出せない」という状況だ。こうした状況を知って、沿線自治体はバス転換協議を中断。余市町の斉藤啓輔町長に至っては「このままならバス転換協議からは離脱する」とまで言っている。
 
こうした状況なのに、1人で函館本線の廃線バス転換の旗を下ろさないのが倶知安町の文字町長である。「新幹線倶知安駅を建設するのに既存の在来線駅が邪魔だから」という身勝手きわまりない理由だ。
 
しかも、倶知安町ホームページ「町長室」に、文字氏はこのように書いている。『我が町に「比羅夫」という字名、JRの駅名がありますが、実は阿倍比羅夫の蝦夷遠征伝説に由来するものです。』
 
町内にあるJRの駅名をさんざん観光アピールに使っておきながら、代替交通機関の協議もできない状態なのに廃線を主張する。ご都合主義にもほどがある。
 
理由2:道が2026年度から導入予定の「観光税」にも倶知安町だけが反対している
 
道新の最近の報道によると、道は2026年度から「観光税」を導入するため、道議会に関連条例を提出するという。ホテルの宿泊料金に課税し、それを予算の穴埋めに使う。観光税については賛否両論あると思うが、私は、道民と違って住民税を落としてくれるわけでもなく、北海道に数日間来て「いいとこ取り」だけして帰って行く観光客にも応分の負担を求めることは、道民合意の上であれば、観光地の自治体として1つのアイデアだと考える。
 
倶知安町は、道に先行してすでに観光税を導入しているが、定率制(ホテル代×○%という方式)だ。これに対し、道の観光税は定額制(一律○円方式)を予定しており、二重課税になる上、定率制と定額制が混在するのは観光施設が混乱するというのが反対理由である。
 
自分たちが道より先に観光税を導入した倶知安町としては「時代を読む目があった」との自負もあろう。道が似たような税制を導入するなら、それに一本化するのも1つの手法だと思う。倶知安町は「二重課税になる上、定率制と定額制が混在するのは観光施設が混乱する」を表向きの反対理由にしているが、「先に制度を作った私たちがなぜ後発の道庁ごときに手柄も税収も横取りされなければならないのか」が隠れた本音であることは容易に想像できる。
 
道新の報道によれば、道内ホテル宿泊者の25%(4人に1人)が「観光税を道内交通の整備に使ってほしい」と回答している。ホテルや観光施設がピカピカに整備されても「そこに行くまでの足がない」道内の貧弱な交通事情が「よそ者」ゆえに道民よりもよく見えているのだと思う。道外からの観光客がそのように思っているのであれば、それこそJR北海道が白旗を揚げかけている鉄道の維持強化に観光税を使えばいい。
 
●「全体の奉仕者」公務員のあるべき姿とは
 
古い話になるが、私は2008年、新潟県十日町市を訪れたことがある。JR東日本は、十日町市内の信濃川に自前のダムを持っており、首都圏の電車を動かすための電力の一部を水力発電で賄っている。そこで2008年頃から、信濃川がほとんど涸れてしまうという出来事が起きた。
 
原因はJR東日本による超過取水だった。国交省から許可されているよりはるかに多くの水を信濃川から取ったため、涸れるはずのない「日本一の大河」が涸れてしまったのだ。しかもJR東日本は、国交省から許可された範囲の量しか取水していないように装うため、水量計が許可された数値を超えないように「改ざん」まで行っていた。このことが発覚し、JR東日本は国交省北陸地方整備局から「取水禁止」の処分を受ける。
 
東京で、「不当解雇の国鉄労働者1047名」の支援をしていた労働組合・市民の間で「JR東日本許すまじ」の声が高まり、JR東日本が不正取水をした現場を見に行こうとツアーが組まれた。十日町市を訪れたのはこれがきっかけだ。訪問当日、十日町市役所幹部との懇談がセッティングされた。
 
東京から「どんな過激な活動家が押しかけてくるのか」と身構えているのではないかと思っていた私たちの心配は杞憂に終わった。応対してくれた十日町市役所総務課課長補佐・G氏の言葉を、私は今も忘れない。
 
「JRがそんなファッショ的な体質だとは思っていませんでした。そのような事実があるなら、正していかなければなりません。私は、十日町市役所で働く公務員ですが、自分の市とその市民だけが幸せになればいいとは思っていません。市内にダムがあることを誇りに思っており、首都圏のみなさんの交通機関のために電力を供給していくこと、それを通じて我が市だけでなく、東京のみなさんに幸せになっていただくことも、十日町市役所職員として当然の責務だと思っています」
 
私は、「国民全体の奉仕者」のひとつの理想をG氏の姿勢の中に見た。公務員かくあるべしと思った。「自分の町さえ良ければそれでいい」「自分に投票してくれる支持者の声さえ聴いていればいい」という首長・役人ばかりのこのご時世にあって、「自分に投票しなかった住民を含め全体を代表し、全体の利益のために行動する」--これこそが国民全体の奉仕者、"Public Servant"でなければならない。
 
●翻って、倶知安町長は……?
 
この高潔なG氏の姿勢と比べて、倶知安町長はどうだろうか。「新幹線の駅を作るのに在来線の駅が邪魔だから函館本線など廃線でいい。他の町やその住民がどうなろうが知ったことではない」「先に観光税制度を作ったのは我々なのに、なぜ後発の道庁ごときに手柄も税収も横取りされなければならないのか」--倶知安町長の姿勢からは全体の奉仕者としての姿勢がかけらも感じられない。自分さえ良ければいい、他の町のことなど知ったことではないという態度むき出しで、およそ「公僕」にはふさわしくない。
 
以上の理由から、私は倶知安町長、文字一志氏に対し辞任を求める。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 裏金問題と生活苦が招いた自... | トップ |   

鉄道・公共交通/交通政策」カテゴリの最新記事