衆院選、期日前投票467万人 公示後5日間、前回比17%減(共同)
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総務省は21日、衆院選の小選挙区で公示翌日の16日から20日までの5日間に、有権者の4.48%に当たる計467万1503人が期日前投票を終えたと発表した。前回2021年衆院選の同時期の投票者数は566万6485人で17.56%減となった。
今回の衆院選は石破茂首相の1日の就任から27日の投開票まで、戦後最短の日程で行われる。準備期間が短く、選挙管理委員会から有権者への投票所入場券の発送が遅れるケースがあった。
47都道府県のうち、前回比で最も増加したのは鳥取県で31.32%増。最も減少したのは静岡県で52.01%減となった。
前回選では最終的に2057万9825人(小選挙区)が期日前投票をした。投票者全体に占める割合(利用率)は34.94%だった。
期日前投票は、投票日に投票所に行けない有権者が住所地の市区町村で事前に投票できる制度。大型国政選挙では04年の参院選で初めて導入され、衆院選での実施は今回で7回目となる。
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久しぶりに地殻変動、大乱の予感がする。総選挙公示後5日間という同時点での比較で、期日前投票が前回総選挙より17%も減ったという。これはとてつもない減り方である。
期日前投票制度は、2003年の公選法改正で導入され、2004年参院選から実施された。期日前投票制度と投票率(松林哲也、「選挙研究」33巻2号掲載)によれば、期日前投票利用者は右肩上がりで推移してきた。「よくわかる投票率」(総務省選挙部発行)16ページ掲載資料「■9 期日前投票及び不在者投票の状況」によれば、2021(令和3)年総選挙では期日前投票率が減少に転じているが、このときの選挙はコロナ禍という特殊事情にあった。この減少が一過性のものか、今後も引き続くトレンドとなるかは、今回の選挙である程度わかると思っている。
17%といえば、期日前投票利用者6人に1人に相当する数字であり、2021年の減少幅(2.74%)とは比較にならない。今後、投票日までにこの減少幅を挽回できるようにも見えない。何が起きているのか。
公示から5日以内という早い時期に投票に行くのは、日頃から投票先が決まっている人が多い。支持政党がある人である。特定政党の強固な支持者か、そうでなければいわゆる「組織票」だ。業界団体、労働組合、宗教関係など公示前から投票先が決まっている人たちがこれに当たる。
この組織票が多いのが、組織が強固で結党からの歴史も長い自民党、共産党、公明党であることも、これまでの研究でわかっている。ちなみに、結党は共産党が1922年、自民党が1955年、そして公明党の前身に当たる公明政治連盟が1961年。現在、日本で歴史の長い方からトップ3の政党である。
前回比で、期日前投票の6分の1に当たる票数が、今回、動いていないことを意味する。動いていないのがどのセクターかを予想することが選挙結果を予測する鍵になる。
自民党から「お仕事」をもらっている、いわゆる業界団体票はそれなりに動いている感じを受ける(ここが動いていないなら、減少幅は17%程度では済まないだろう)。共産党と一心同体の関係にある「民主○○」系団体も、高齢化著しいものの、そもそも前回総選挙と比べて動かない理由がないので、やはり動いていると考える(共産党の支持率から考えると、ここが動いていないとした場合、17%は逆に減りすぎである)。
当てはまらないものを消していくと、最後まで消えずに残るものがある。ずばり「宗教票」である。ここが動いていないのではないかというのが、当ブログの現時点での見立てだ。
旧統一教会は、この間さんざん集中砲火を浴びたあげく、宗教法人としての解散命令請求を国に申し立てられた。創価学会は、池田大作名誉会長が死去した。そして保守票を取りまとめてきた「幸福の科学」も、「エル・カンターレ」こと大川隆法総裁が死去して初の国政選挙になる。ここまで、政治的な動きを積極的にしてきた各宗教勢力が、揃いもそろってかつてのような動きができない状況に置かれているのである。
もし、当ブログのこの見立てが正しいなら、17%もの極端な「組織票」の減少がどこを直撃するか。いうまでもなく自民、公明の両党だ。共産党はそもそも「反宗教」の立場なので、ほぼ影響を受けないだろう。安倍政権で政権復帰して以降、盤石だと思っていた自公政権が、まさかこんなところから揺らぐことになるとは夢にも思っていなかった。
もう一度繰り返しておこう。久しぶりに地殻変動、大乱の予感がする。