エルマー50mm F2.8
いまさらながらですが、ライカ様がえらいのは大正時代からの歴史の記録者としての実績というところでしょう。
そして標準レンズエルマー様の高性能がその位置を不動のものにしたのだと思います。
戦前から桑原甲子雄さんが2.26事件戒厳令下の皇居前を撮影されていたり
木村伊兵衛さんも海軍ポスター用の陸奥を撮ったり・・・。
歴史上有名な写真もエルマーで撮影されたものが無数にあるであろうことは、よりエルマーを使う楽しさを倍増してくれます。
今回はそのエルマーの中でも新しい?タイプのF2.8のバージョンです。
エルマーの特徴であるレンズのすぐ後ろにある絞りが目をひきますが、なんと16枚もの羽が!
見かけはまったくゲゲゲの鬼太郎の目玉親父ですねえ(^^)。
5枚や6枚の絞り羽でも充分仕事はできるのになんともすごいこだわりです。
ほとんどパラノイアな真円へのこだわりですが、エルマーというレンズのキャラクターからして
少し絞った時のボケ味云々・・ではない気がしますけどね(^^;)。
ライカM3 エルマー50mm F2.8 開放 1/30 ベルビア50
まずは「エルマーの開放描写」をみたくてがんばって撮影してみました。なかなか油絵みたいな不思議な写真になりました。
ピントは真ん中の枝で合わせてます。実際見た目はもっと暗く、本来よりオーバー目の露出のはずなんですけど・・・
普通の露出になっちゃいました。これがうわさのエルマーマジックでなのでしょうか(^^)。
ライカM3 エルマー50mm F2.8 F11 1/60 ベルビア50
開放でもへもふした描写はクラシックライカレンズの定番で、いくらでも紹介されていますので
絞り込んでパンフォーカス狙いの撮影もしてみました。もともとテッサータイプですから被写界深度は深いのです。
手前の岩から海峡を通過する自動車運搬船までを写しこんでやろうという欲張り構図です(^^;)。
私はあまり部分拡大してほにゃらら・・と言うのは好きではないのですが、今回はエルマー様を讃えたくて
記事にしてみます。真ん中の自動車運搬船をスキャン取り込みの原寸表示してみました。
なんとフネの横に書かれた「WALLENIUS WILHELMSEN」の字が読めちゃいますね!。
明石海峡大橋の上のワイヤーや照明も解像してるであります(^^)。
これがピントは無限大ではなく手前の岩に合わせての結果ですから、エルマー様の被写界深度の深さと解像感が
いかに素晴らしいかがわかろうというものです。エルマーの作例は、開放でのもへもふした街撮りなんかが多いのですが
風景写真や山岳写真にも素敵な描写をしてくれそうですね。
かつてのライカのコンセプトであった「小さなネガから大きなプリント」を実現するための
初期のエルマーには引き伸ばしレンズとしての用途も加味されていたことも考えると絞り羽の多さや
まったく省略感のない描写にも納得です。道具としての素晴らしい完成度を持つエルマー様にはぜひこれからも
活躍し続けていただかねばなりませんね(^^)。
2,8のは若干厳しい評価が下りている印象でしたが,なかなかどうして素晴らしいレンズですね.
紅葉写真で塀の前ボケは確かに滲みを感じますが,このサイズでは合焦面は繊細に見えます.
絞った遠景は見事なものです.船体の文字は読めるような読めないような...
M3にはf3.5より押し出しが強く,f2より沈胴が徹底しているf2.8の方が似合いますね.
f2はCLで沈銅出来るんで,最近メインボディはCLになってます...
代わりにM3はもっと焦点精度を要するレンズ専門に.
lensmaniaさま
コメントありがとうございます。
おっしゃるとおりF3.5のほうが人気のようですね。
私はモノクロはF3.5カラーはF2.8のほうが
得意かな~という感じで使いまわしています(^^)。
M3はずしっとヘビーなので実は私もついつい
稼働率が低くなりがちです。M3を活躍させるのには
やっぱり初期の固定ズミクロンなど入手せねば(^^;)。