学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

自画像に喝を入れられた話

2007-11-08 22:23:08 | 仕事
来年度の展覧会開催に伴い、作品調査へ行ってきました。

5年ほど前に亡くなられた女流作家なのですが、静物画、風景画を数多く描いた方で、当市の文化・芸術面に多大な影響を及ぼしました。中学校の教師として働き、若くして亡くなった父の代わりに一家の家計を支えて、働きながらの絵画制作であったそうです。大変温和な人柄だったそうで、周りの若い画家たちからよく慕われて、アトリエの二階で芸術とはどうあるべきかをお互い語り合ったこともあったとのこと。

遺族の方に大変貴重なお話をお伺いすることができ、実際に作品も見せていただいたのですが、その中の一点に《自画像》がありました。制作年は1941年。画面全体は黄土色に包まれていて、丸い眼鏡、後ろでまとめた髪にはリボンを、黄色いジャケットを着ています。目は凛としており、これから大いに絵画を描いてやろうという決意表明のような印象も与えます。

ただ、私はその絵をじっと見ているうちに、「あなたはこんなことで負けてはならない!」と言われているような不思議な気持ちになりました。と、いいますのも、私はどうもこの頃、疲労感が取れなくて、少しバテ気味なのでした。そんな体調で見ていたせいか、その作家の自画像からしっかりしなさい!と言われたようで、しっかりしようと思った次第なのです(笑)

明日から、他の散らばってしまった作家の作品調査を開始です。忙しくなりそうですが、また自画像から喝を入れられないように、しっかり気合を入れて頑張ります!