学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

笠間焼の急須

2010-05-18 20:50:23 | その他
生活をデザインする。自分で好きなものを集めて、それを生活に取り入れてゆく生き方。一応、私はそうした生活を心がけて生きているつもりです(笑)

焼物に関して言えば、私は茶碗や湯のみ、盛り付けの皿が欲しくなると、栃木県の益子や茨城県の笠間へ出かけて、ゆっくり選んで買うことにしています。これらの焼物は大量生産ではありませんから、一つ一つ味わいがあって、自分の両手にとって、ぴったりとくるものを選びます。そうして、この皿にどんな料理をのせると良いか想像して見るのです。料理が焼物を引き立ててもいけないし、焼物が料理をひきたてるのでもなく、料理も焼物もどちらもうまく引き立つかのバランスを考える。これはなかなか欲張ったことかもしれませんし、決まった答えはないものですが、自分を信じて選びます。だから、選ぶのにやたらと時間がかかる(笑)




今日ご紹介するのは、笠間焼の急須です。私の笠間焼のイメージは、この急須のような緑。森林の多い笠間を象徴しているような色に感じられます。もう使い込み過ぎて、いつの間にか口が欠けてしまいました。でも、捨てる気にはならず。まだまだ使えます。また、お茶の渋みが染み込んで、中は何とも言えない味わい深い色に変わっています。使えば使うほど、味が出てくるのが、焼物の特徴ですね。

笠間焼の歴史は18世紀後半までさかのぼるのだそうです。残念ながら「民藝」の柳宗悦は、あまり笠間焼については言及していないよう。ちょうど笠間焼が下火の時期だったからかもしれません。現在の笠間は色々なギャラリー、カフェが数多く出来ていますし、陶芸美術館も毎回興味深い展覧会を企画していまして、街全体が明るい調子に感じられます。

皆様もぜひ茨城県の笠間で、好きな焼物を選んでみてはいかがでしょう♪