1927年(昭和2)に岩波文庫創刊、と以前のブログで書いていて、ある一人の小説家を思い出しました。小説家の名前は芥川龍之介。90年前の今日、満35歳でこの世を去りました。岩波文庫からも新刊で『芥川追想』が刊行されていますね。
一時期、芥川の小説はずいぶん読みました。『鼻』、『芋粥』、『藪の中』、『地獄変』、『煙草と悪魔』、『河童』など。まじめな小説ばかり書くのかと思いきや『桃太郎』や『猿蟹合戦』などの変な小説もあって。私が特に読んでいたのは『歯車』、『ある阿呆の一生』でした。芥川の最晩年であまり精神状態がよろしくない時期に書かれた2作。当時私自身がなんとなく世の中につまらなさや生きにくさを感じていて、そんな部分と共鳴したところがあったのかもしれません。
今は芥川の小説をほとんど読まなくなってしまったけれど、手元には以前神田神保町で買い求めた単行本が一冊だけ残っています。『大道寺信輔の半生』(岩波書店)で、小穴隆一装幀、芥川の亡き後の1930年(昭和5)に刊行されたものです。小説を読んでいると、その作家と対話しているような気がする、という思いはほとんどしたことがないのですが、この本だけは読んでいると芥川の精神に触れているような気がするのです。本が辿ってきた歴史の重みもあるのかも。
90年後も読み続けられる小説を書いた芥川龍之介。今日は改めて芥川の冥福を祈ることにしましょう。
一時期、芥川の小説はずいぶん読みました。『鼻』、『芋粥』、『藪の中』、『地獄変』、『煙草と悪魔』、『河童』など。まじめな小説ばかり書くのかと思いきや『桃太郎』や『猿蟹合戦』などの変な小説もあって。私が特に読んでいたのは『歯車』、『ある阿呆の一生』でした。芥川の最晩年であまり精神状態がよろしくない時期に書かれた2作。当時私自身がなんとなく世の中につまらなさや生きにくさを感じていて、そんな部分と共鳴したところがあったのかもしれません。
今は芥川の小説をほとんど読まなくなってしまったけれど、手元には以前神田神保町で買い求めた単行本が一冊だけ残っています。『大道寺信輔の半生』(岩波書店)で、小穴隆一装幀、芥川の亡き後の1930年(昭和5)に刊行されたものです。小説を読んでいると、その作家と対話しているような気がする、という思いはほとんどしたことがないのですが、この本だけは読んでいると芥川の精神に触れているような気がするのです。本が辿ってきた歴史の重みもあるのかも。
90年後も読み続けられる小説を書いた芥川龍之介。今日は改めて芥川の冥福を祈ることにしましょう。