近頃、書店へ行くと美術作品の見方、あるいは楽しみ方といった本を見かけるほか、わたしの仕事柄、どんな風に絵を見たら楽しめるのかとお客様から質問を受けることが多々あります。それだけ、社会的な関心が高まっているのでしょう。わたし自身、誰かから美術作品の見方について教わったことはありませんので、それが正しい見方なのかわかりませんが、次の3点を意識して見ています、
➀その美術作品は何を下敷きに制作されたのか。
➁その作品が社会、美術史の流れの中でどう位置付けられるのか。
➂その作品はなぜその媒体や支持体で制作されなければならなかったのか。
今日は➀について。どの作家の作品も過去の美術作品を吸収して新しい作品を創造します。例えば、歌川国芳や葛飾北斎は西洋版画を吸収しましたし、岸田劉生は北方ルネッサンスから学びました。現代の作家でも山口晃さんは伝統的な日本美術の特徴を捉えたスタイルを持っていますね。このように、美術作品というのはリレーと同じで過去から現在へバトンをつなぐように関わり合っています。目の前にある美術作品の背後には何があるのか、そう考えながら、いつもわたしは絵を見ています。ただ、こうした絵の見方をするためにはそれなりにいろいろな美術作品を知っている必要があります。でも、今はネットで調べれば、ある程度のことがわかってくることでしょう。展覧会に出かけるときには面倒でもちょっとだけ予習をして行くと良いかもしれません。慣れてくると、この絵は◯◯に似ているな…とカンが働くようになります。研究者でなければ、それが当たり外れなんて気にすることなく楽しめますし、そういう発想自体が感覚的でない、知識を踏まえた上での美術作品の見方をしていると思います。明日は➁について、書いてみましょう。
➀その美術作品は何を下敷きに制作されたのか。
➁その作品が社会、美術史の流れの中でどう位置付けられるのか。
➂その作品はなぜその媒体や支持体で制作されなければならなかったのか。
今日は➀について。どの作家の作品も過去の美術作品を吸収して新しい作品を創造します。例えば、歌川国芳や葛飾北斎は西洋版画を吸収しましたし、岸田劉生は北方ルネッサンスから学びました。現代の作家でも山口晃さんは伝統的な日本美術の特徴を捉えたスタイルを持っていますね。このように、美術作品というのはリレーと同じで過去から現在へバトンをつなぐように関わり合っています。目の前にある美術作品の背後には何があるのか、そう考えながら、いつもわたしは絵を見ています。ただ、こうした絵の見方をするためにはそれなりにいろいろな美術作品を知っている必要があります。でも、今はネットで調べれば、ある程度のことがわかってくることでしょう。展覧会に出かけるときには面倒でもちょっとだけ予習をして行くと良いかもしれません。慣れてくると、この絵は◯◯に似ているな…とカンが働くようになります。研究者でなければ、それが当たり外れなんて気にすることなく楽しめますし、そういう発想自体が感覚的でない、知識を踏まえた上での美術作品の見方をしていると思います。明日は➁について、書いてみましょう。