学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

鶴岡の加茂水族館

2017-07-10 22:18:26 | その他
休日を利用して、山形県鶴岡市の加茂水族館へ行ってきました。場所は海に面していて、照り付ける太陽の日差しは強かったけれど、海風が冷たくて気持ちの良い日でした。



なぜ、クラゲのモニュメントなのか? この水族館はクラゲの研究と展示で有名なのです。




ミズクラゲの水槽。クラゲの展示室は「クラネタリウム」と呼ばれ、50種くらいのクラゲが展示されていました。常時、ボランティアの方もいらっしゃって、ポイントでわかりやすく解説をして下さいます。クラゲのふわりふわりと漂う姿にとても心が癒されます。




こちらもミズクラゲですが、水槽の大きさは直径6メートルほどあります。幻想的に演出されていて、水槽が地球のように見えました。




展示されているのはクラゲだけではありません。こちらはショーを終えて、一休み中のアシカ。




ウミネコの餌付け体験にも参加しました。係員から小さな魚を一匹いただき、自分の真上に高く投げる。そうすると、ウミネコが魚をさらっていくのです。


こうして、加茂水族館を舞台とした一日はあっという間に過ぎ、とても楽しい時間を過ごすことができました。前評判どおり、様々な種類のクラゲを見ることができて大満足!もちろん、食のほうでもクラゲソフトクリーム、クラゲラーメンをしっかりと食べてきました(笑)

この水族館がクラゲがウリ、であることは間違いないのですが、私が素晴らしいと感じたのは海と庄内藩あるいは地域の人々との歴史的な関わりがしっかり紹介してあること。私はこれまでいろいろな水族館に行きましたが、海と人々との関わりを古文書や写真資料などからひも解いて展示しているところはついぞお目にかかったことがありません。こうした歴史を紹介したうえで、庄内の海に住む魚の展示へと導線が進んでいく。とても独特な方法で、歴史資料を扱う博物館のような側面を持った水族館です。

水族館の近くは浅瀬の海。たくさんの人たちが海でわいわい遊んでいました。水族館もさることながら、その周辺の環境も良くて、また行って見たい水族館のひとつとなりました。



個展のご案内

2017-07-07 20:32:07 | 仕事
美術館の仕事をしていると、知り合った作家さんから個展のご案内(封書やハガキ)をいただくことがあります。郵送代がかかるにも関わらず、ご案内を送って下さることに、感謝の気持ちでいっぱいに気持ちになります。スケジュールの都合上、ご案内いただいた個展のすべてに行くことはできないのですが、なるべく足を運び、作品を見ること、そして作家さんと近況について話をすることを意識しています。

作家さんの個展は、主に画廊やギャラリーが会場になります。美術館と一番違うのは、その場で作品が買えること。私もときどき作品を買い、家に飾ってゆっくりと眺めて楽しんでいます。エッカーマンの『ゲーテとの対話』のなかで、ゲーテが自身でコレクションした銅版画を眺めて楽しむ様子がたびたび出てきたように記憶しているのですが、誰に気兼ねすることもなくいつでも自由に作品を見られるのはこの上もなく贅沢な時間ですよね。

もうひとつは作家さんと直接話のできる機会があるということ。作品そのものを見て楽しむこともいいけれど、作家さんから創作の意図や技法(世間話なども含めて)などを直接伺うと、作家さんとの親交も深まりますし、作品の見方がまた変わってきます。それになによりとても勉強になります。ですので、私は作家さんに勉強をさせていただく気持ちで個展に伺う場合が多いのです。作品に関するポイントを、あとで手帳にメモをして置き、次に作品を見るときの参考にすると、作家さんの作品を継続的に追って考えるときに非常に役に立ちます。

みなさんも、お気に入りの作家さんの作品を探しに画廊、ギャラリー巡りをしてみてはいかがでしょうか。とても楽しいですよ!

和合亮一さんの『詩の礫』

2017-07-06 21:59:07 | その他
私は以前、萩原朔太郎や堀口大學の詩をよく暗唱したものだけれど、結婚してからはめっきりなくなり(暗唱していると妻に冷やかされる)、今は彼らの詩集が飾りもののように本棚に置かれています。かつて吉田健一は酒を飲みながら、おつまみを食べるようにヨーロッパの詩を暗唱して楽しんだそうだけれど、私がビールを飲みながら萩原朔太郎の詩を暗唱したところで、到底おつまみにはならなそう…。

さて、私の本棚には東日本大震災関係の本も並んでいて、そのなかに雑誌が1冊だけ含まれています。雑誌の名前は『現代詩手帖』2011年5月号。震災からまもなく出版され、特集も「東日本大震災と向き合うために」です。このなかに福島県出身の詩人、和合亮一さんの『詩の礫』が掲載されています。同年3月16日から4月9日に和合さんが発表した詩を構成したもので、震災時の和合さん、そして周辺で起こる人間の死や余震、放射能などをあらゆる言葉で紡ぎだしています。映像や写真はどこか客観的な感じがするけれど、言葉による表現は人間の内面にぐいぐい迫るものがあって、今読んでも非常に緊迫した状況であったことがひしひしと伝わってきます。初めて読んだときの、言葉のインパクトが未だに忘れられません。

このたび、この作品のフランス語版がフランスの文学賞「ニュンク・レビュー・ポエトリー賞」を受賞したそうです。震災から6年が経過。上手くは言えないけれど、『詩と礫』を再読するたびに、6年の時間の経過が信じられなくて、言葉がまだまだ生きているような(古くなっていない)感覚があります。国際的な評価を受けたことで、この詩集がより多くの人たちに広まっていくことでしょう。私は和合さんと同じく被災した立場から詩集を読んでいますが、そうでない立場から読むとどんな印象を受けるのか、興味のあるところです。

疲れたときには

2017-07-05 21:59:47 | その他
忙しくてクタクタに疲れた一日。展覧会の準備をやりながら、いろいろな事務仕事を同時並行でこなし、てんやわんやでした。こんな疲れた日、私はキンキンに冷えたコーラを飲むのが好き!喉元をすぎる炭酸が爽快だし、仕事で使い切った糖分も補える気がするのです。

かつて、太平洋戦争中に連日のように空へ舞い上がった旧日本軍の戦闘機乗りたちは糖分を補給するためにサイダーを飲んでいたそう。コクピットにはサイダーの空き瓶がよく転がっていた、と何かの本で読んだことがありました。この話が真実だとすれば…やはり疲れたときには炭酸飲料を飲むのはいいのかも!

季節柄、疲れを慰労して、喉元を潤すならビール!という人もいらっしゃるでしょう。人それぞれ、疲れたときの回復方法を持っておくといいのかもしれません。明日も大忙しの予感ですが、コーラを飲んで頑張ります(笑)

今の時代に求められるもの

2017-07-04 21:59:34 | 読書感想
高校時代、私は文武両道をモットーに勉強も部活もベストを尽くしたつもりではあったけれど、ちょっと後悔していることがあります。それは、その2つしかしてこなかったということ。要するに狭い世界のなかで学生生活を過ごしてきたので、世間知らずのままに卒業してしまったのです。あの時代に小さな旅にでも出ていたら、いろいろな趣味を見つけられていたら、年の離れた友人や大人と出会っていたら、などと、今さら「たられば」と考えることがあって、それらが経験できていれば、もっと深みのある人間になれたのではないかと後悔するのでした。

先日、書店で気になる本を買ってきました。『岩波メソッド 学校にはない教科書』(岩波邦明、押田あゆみ著 2015年 岩波ジュニア新書)です。初めに言っておくと、この本は読者として高校生を想定しています。ですから、大人が読むとすでにスキルを身につけていたり、経験していることなどが書かれている場合があります。けれど、それを差し引いても面白い。本の内容は、学校の授業では学べないこと、具体的にはIF力、冒険力、ロマン力、体験力など25項目が挙げられ、高校生のうちにそれらを経験しておけば、人生はずっと豊かになるだろう、というもの。この本、ビジネス書と言ってもいいのではないかと思うくらい、今の時代に求められるものについて述べられており、どうすればそれらのスキルが磨かれるかも書かれてあります。まさに高校生のときに出会いたかった!(笑)

私が気に入ったのは「1択力」。これから浅く広い知識では通用しない。どんな分野でもいいから1つ、自分の専門分野と呼べるものを持て、というもの。そのためには、専門分野の本を1冊買い、それを愛読書にして読みこなすことが勧められています。なるほど、と思ったとともに、私もそうして勉強してきました。私の愛読書と呼べるものは辻惟雄先生の『日本美術の見方』(1992年 岩波書店)。大学時代の指導教授から勧められ、今に至るまで私の愛読書。特に調査・研究で行き詰ったときに、美術史の基本へ立ち返る本として今でも重宝しています。

そういう意味では、『岩波メソッド 学校にはない教科書』はなかなか的確なところを書いた本なのではないでしょうか。また、高校生に限らず、大学生が読んでもいいと思いますし、人生の立ち位置を確認したい社会人にも適当な本となりうると思います。お勧めの1冊です。

ストラックアウトに挑戦3

2017-07-03 20:00:34 | その他
先週あたりから挑戦しているストラックアウト。前回は腕をまっすぐに振り下ろす、スピードよりもコントロールを重視する、の2つを念頭に置き、ストラックアウトに挑戦した結果、的の4つを当てることができました。今日はさらに磨きをかけるべく、足の筋肉痛(あじさいまつりの山登りが効いたのかも)をおして再挑戦です。

精神を集中させ、足の筋肉痛は無視して投げ続ける。結果…前回と変わらずに的4つに当てることができました。今回はど真ん中と低めの横3列。結果だけみれば、前回と変わらなかったのですが、自分のなかではなかなか収穫があって、というのは変な方向へボールが飛んで行かなくなりました。実は外した球は的めがけて飛んで行ったものの、的の周りのフレームではじかれるケースがほとんどだったのです。微妙なコントロールの差でゲットできなかったものの、感触は前回よりも上々で大満足!(笑)

次回の反省点は、まず筋肉痛のときには踏ん張りがなかなか利かないので投げないこと(当然ですね)、高めの的を落とすのが苦手なので力加減の調整を実験的にやってみること、この2点を課題として取り組んでみたいと思います。それらを踏まえて、次回は5つ、ゲットしたいですね!

涸沼のあじさいまつりへ行く

2017-07-02 20:41:24 | その他
休日を利用して、茨城県茨城町の涸沼自然公園で開催されている「涸沼あじさいまつり」に行ってきました。あじさいを見に、大勢の人が訪れていて、とても熱気のあるまつりでした。




見ごろにはあと一週間ほどかかりそうですが、それでも素敵なあじさいがたくさん咲いていました。











あじさいの葉の陰には大きなカタツムリも。季節を感じますね。




こちらは番外編。木の根元に居たカニです。ベンケイガニでしょうか。まさか山の上でカニを見かけるとは思いませんでした。

公園をぶらりと散策しながらあじさい巡り。贅沢な時間を過ごすことができました♪

私と新聞の付き合い方

2017-07-01 21:56:49 | その他
世の中の情報を得たいと思ったのなら、テレビ、ラジオ、新聞、本、雑誌、そしてインターネットと様々な手段が考えられます。私の場合は、主に新聞や本がメイン。特に本の場合は、著者のプロフィールや参考文献を確認してから買うケースが多いですね。それと、インターネットは速報が早いので、災害があったときに重宝します。けれど、基本はやはり紙媒体でしょうか。情報の中身を読むことも楽しいですし、インクの匂いや紙の手触りが大好き(笑)

今日は新聞について。私はよく日本経済新聞を読みます。毎日、文化一面で文学、美術、歴史、民俗などの様々なジャンル(時には相当マニアックな)の記事が載りますし、学芸員の寄稿文、文化記者の展覧会批評などが掲載されています。また、日曜日には「NIKKEI THE STYLE」で美術、工芸、音楽などの文化に関する特集記事が組まれて読み応えのある内容。もちろん、メインの経済記事も目にしますが、文化への力の入れ方が強いと感じています。

このほか、コンビニに立ち寄った時には適当な新聞1紙を買ってきます。朝日(書評を横尾忠則さんが担当してます!)だったり、産経だったり、地元紙だったり。同じニュースでも、新聞ごとに切り込み方が違っていて、それが読んでいて面白かったりします。あと、出張や旅行で遠くへ出かけたときには、そこの地元紙を買うのも楽しみ。特に驚いたのは長野県。長野日報、信濃毎日新聞、岡谷市民新聞と地方紙が3紙あってビックリしました。なかなかの激戦区ですよね。

近頃はインターネットの普及で新聞離れが進んでいるようですが、私は毎日の楽しみのひとつが新聞を読むことです。毎日、100円ちょっとで楽しみが買えるのだから、私にとってこんな幸せなことはない(笑)さて、明日はどんな記事が読めるのか。明日を楽しみにして、今夜は休むことにしましょう。