(1)GMナタネの自生調査は、2005年に始まった。今年で10年目。
全国で多くの市民が自主的に調査し続けてきた。正確な参加者数は不明だが、毎年1,000人超と推定される。
ことほど左様に大規模な、市民による科学的調査は他にはないだろう。その原動力に、GM食品は食べたくない、という消費者の強い思いがある。
(2)日本の食卓に乗るナタネ油などに用いられるキャノーラは、ほとんどをカナダに依存している。
カナダにおけるGMナタネの割合は、97.5%(2012年)に達した。
いまや、ナタネのほとんどはGMナタネになってしまった。
ナタネは種子だから、こぼれ落ちると自生し、花が咲くと花粉が飛散して次の世代をつくってきた。
市民は調査とともに抜き取りも行ってきたが、汚染の拡大に追いつかない。
(3)この10年間で、汚染の範囲は輸入港や油工場の周辺、その間の輸送経路に限定されず、市街地などにも広がっている。
寒いカナダで栽培されるキャノーラは、温暖な日本では越年し、本来1年草なのだが、多年草化する現象も見られた。
汚染の拡大とともに交雑が繰り返され、世代交代も起きている。キャノーラ間だけでなく、カラシナ、在来のナタネ、ブロッコリー、ハタザオガラシといった雑草との交雑種と見られるものも見つかるようになった。
このまま汚染が拡大すれば、農家の畑にまで汚染がおよび、食品に入ってくる可能性も強まってきた。
(4)検査は、
(a)一次検査・・・・簡易キットを用いて行う。
(b)二次検査・・・・念のためにDNA鑑定などに用いるPCR法で行う。
(c)2014年には、新たに群馬県と新潟県で見つかった。これまで(a)でGMナタネが見つかった都道府県は26に達した。日本の全都道府県の半数以上の自治体で見つかったことになる。
(d)2014年の調査の特徴は、(a)の簡易キットの反応が複雑化していることだ。次の①~③のようなものを「隠れGMナタネ」と呼び、高木基金の助成を得て本格的な調査に乗り出したが、原因はまだよくわかっていない。
①最初の頃は、検査キットでの反応は陽性か陰性か、明確だった。しかし、最近はあいまいなものが増えている。
②大坂での調査で、その場で行った検査では陰性と判定されたが、そのまま一晩置いておいたとこおr、陽性反応が出ていた。この場合、たまたま一晩置いておいたために分かったが、通常はそんなことはしない。
③(a)で陰性だが、(b)で陽性と判定されるものも増えている。
(e)(d)-①~③のほか、(a)の簡易キットの反応で、判別がつかないくらい薄かったり、あいまいなものが増えている。それらは、(b)を行うと、ほとんどが陽性反応だ。これは、世代交代を繰り返しているような汚染の激しいところで顕著だ。キット反応の変化は、世代交代が関係していると推定される。
(5)GM作物の輸入が始まって18年たつ。
日本では栽培されていないものの、こぼれオチによる汚染によって、これほどの変化が見られるのだ。
栽培国では、さらに深刻な問題が起きていることが、容易に想像できる。
□天笠啓佑(ジャーナリスト)「10年におよぶ調査でわかったGMナタネ自生の広がり」(「週刊金曜日」2014年7月11日号)
↓クリック、プリーズ。↓
【参考】
「【食】サプリメントの機能性表示規制強化に向かう米国」
「【食】遺伝子組み換え作物規制で住民が相次ぎ勝利 ~米国市民の底力~」
「【原発】【食】健康食品「青汁」の回収 ~放射能照射食品~」
「【食】来年から始まる弁当の健康認証マーク ~コンビニ弁当も健康?~」
「【食】消費者庁が健康食品の機能性表示案を提示」
「【食】遺伝子組み換え食品、農薬まみれ食品 ~TPPで規制撤廃(2)~」
「【食】米国産「危険食品」が大量流入 ~TPPで規制撤廃~」
「【食】アジア市場が狙われている ~GM稲の商業栽培~」
「【食】バングラデシュで遺伝子組み換えナスの栽培始まる ~GM食品の拡大~」
「【食】農薬類は微量・低濃度でも安全とはいえない」
「【中国】現地取材で痛感 やっぱり危ない中国産食品」
「【中国】実録・猛毒食品「僕らだって怖い!」 ~中国人は語る~」
「【食】添加物の危険性 ~煮付け油揚げ~」
「【食】危険な除草剤の増加 ~除草剤耐性GM作物~」
「【食】イオンの産地偽装 ~中国猛毒米~」【食】農薬が添加物扱い ~バナナに使われるポストハーベト~
「【中国】汚染大国 ~PM2.5、農薬、重金属まみれの野菜~」
「【食】中国における食品汚染事件 ~悪質ケース50(抄)~」
「【食】「危ない中国産」を見破る法 ~ジュース・菓子~」
「【食】中国産ウナギ肝から国際基準の1.5倍のカドニウム」
「【食】外食、どのメニューに中国産が入っているか ~中国食品を見破れ(3)~」
「【食】安いものにはウラがある ~成型肉の添加物~」
「【食】中国産から身を守るためのQ&A ~中国食品を見破れ(2)~」
「【食】中国食品を見破れ ~スーパー・外食~」
「【食】中国猛毒食品(2) ~アサリ・エビ・ピーナッツ・漬物・ウナギ~」
「【食】中国猛毒食品 ~絶対に食べてはいけない遺伝子組み換え米~」
「【中国】影の銀行つぶし ~アベノミクスの行方を左右する中国の政策~」
「【中国】凄まじい貧富の格差」
「【中国】政経一体システム ~今後どうビジネスを展開するか~」
「【中国】政府から独立している軍隊 ~尖閣をめぐる軍事的問題~」
「【中国】外交と国内問題との関係 ~今後の展望~」
「【中国】改善されない環境問題 ~大気汚染・水質汚染・食品汚染~」
「【中国】恐るべき階級社会 ~農村戸籍と都市戸籍~」
「【中国】5大リスク ~不衛生・格差・バブル崩壊・少子高齢化・軍の暴走~」
「【食】中国産鶏肉の危険(2) ~有機塩素・残留ホルモン~」
「【食】日本マクドナルドが輸入する中国産鶏肉の危険 ~抗生物質~」
「【食】中国産食材は大丈夫か? 日本の外食産業は?」
「【食】【TPP】原産地表示の抜け道 ~食のグローバル化~」
「【食】中国食品の有害物質混入、表示偽装 ~黒心食品~」
「【食】中国産薬漬け・病気鶏肉を輸入する日本マクドナルド・その後」
「【食】中国産薬漬け・病気鶏肉を輸入する日本マクドナルド」
全国で多くの市民が自主的に調査し続けてきた。正確な参加者数は不明だが、毎年1,000人超と推定される。
ことほど左様に大規模な、市民による科学的調査は他にはないだろう。その原動力に、GM食品は食べたくない、という消費者の強い思いがある。
(2)日本の食卓に乗るナタネ油などに用いられるキャノーラは、ほとんどをカナダに依存している。
カナダにおけるGMナタネの割合は、97.5%(2012年)に達した。
いまや、ナタネのほとんどはGMナタネになってしまった。
ナタネは種子だから、こぼれ落ちると自生し、花が咲くと花粉が飛散して次の世代をつくってきた。
市民は調査とともに抜き取りも行ってきたが、汚染の拡大に追いつかない。
(3)この10年間で、汚染の範囲は輸入港や油工場の周辺、その間の輸送経路に限定されず、市街地などにも広がっている。
寒いカナダで栽培されるキャノーラは、温暖な日本では越年し、本来1年草なのだが、多年草化する現象も見られた。
汚染の拡大とともに交雑が繰り返され、世代交代も起きている。キャノーラ間だけでなく、カラシナ、在来のナタネ、ブロッコリー、ハタザオガラシといった雑草との交雑種と見られるものも見つかるようになった。
このまま汚染が拡大すれば、農家の畑にまで汚染がおよび、食品に入ってくる可能性も強まってきた。
(4)検査は、
(a)一次検査・・・・簡易キットを用いて行う。
(b)二次検査・・・・念のためにDNA鑑定などに用いるPCR法で行う。
(c)2014年には、新たに群馬県と新潟県で見つかった。これまで(a)でGMナタネが見つかった都道府県は26に達した。日本の全都道府県の半数以上の自治体で見つかったことになる。
(d)2014年の調査の特徴は、(a)の簡易キットの反応が複雑化していることだ。次の①~③のようなものを「隠れGMナタネ」と呼び、高木基金の助成を得て本格的な調査に乗り出したが、原因はまだよくわかっていない。
①最初の頃は、検査キットでの反応は陽性か陰性か、明確だった。しかし、最近はあいまいなものが増えている。
②大坂での調査で、その場で行った検査では陰性と判定されたが、そのまま一晩置いておいたとこおr、陽性反応が出ていた。この場合、たまたま一晩置いておいたために分かったが、通常はそんなことはしない。
③(a)で陰性だが、(b)で陽性と判定されるものも増えている。
(e)(d)-①~③のほか、(a)の簡易キットの反応で、判別がつかないくらい薄かったり、あいまいなものが増えている。それらは、(b)を行うと、ほとんどが陽性反応だ。これは、世代交代を繰り返しているような汚染の激しいところで顕著だ。キット反応の変化は、世代交代が関係していると推定される。
(5)GM作物の輸入が始まって18年たつ。
日本では栽培されていないものの、こぼれオチによる汚染によって、これほどの変化が見られるのだ。
栽培国では、さらに深刻な問題が起きていることが、容易に想像できる。
□天笠啓佑(ジャーナリスト)「10年におよぶ調査でわかったGMナタネ自生の広がり」(「週刊金曜日」2014年7月11日号)
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【参考】
「【食】サプリメントの機能性表示規制強化に向かう米国」
「【食】遺伝子組み換え作物規制で住民が相次ぎ勝利 ~米国市民の底力~」
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「【食】消費者庁が健康食品の機能性表示案を提示」
「【食】遺伝子組み換え食品、農薬まみれ食品 ~TPPで規制撤廃(2)~」
「【食】米国産「危険食品」が大量流入 ~TPPで規制撤廃~」
「【食】アジア市場が狙われている ~GM稲の商業栽培~」
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