語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【南雲つぐみ】床屋の起源とその役割

2017年10月22日 | 医療・保健・福祉・介護
 「とう(10)はつ(20)」の語呂合わせで、10月20日は頭髪の日。公益社団法人毛髪科学協会が制定した。また、全国理容生活衛生同業組合連合会では、毎月18(トーハツ)日を頭髪の日としている。
 理容室の発祥は江戸時代の髪結い床で、“床屋”という名前もここから来ている。江戸時代の武士や町人は、まげを結っていたから床屋にはひんぱんに通っていた。
 まげを結うのは、聖徳太子の肖像画にもあるように大和時代からあったが、前頭部を半月形にそりこむ月代(さかやき)というスタイルは、中世の武家社会の中で生まれたものだ。戦でかぶとを着用すると頭皮が蒸れるので、頭頂部が当たるところに通気孔を開けてその下の額をそったという。
 戦乱のない江戸時代には、成人男性のマナーとして、また身分を怪しまれないためにもいつもきれいに月代をそり上げておく必要があった。そこで、4、5日に1回は髪結い床に通い、情報交換にもいそしむ。町人文化に欠かせないサロンであると同時に、市中の治安を守る役割もしていたのだ。

□南雲つぐみ(医学ライター)「頭髪の日 ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年10月18日)を引用
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【朝日俳壇抄】短足は校長ひとり運動会 ~10月9日~

2017年10月22日 | 詩歌
【凡例】☆印は共選作。①、②以下丸文字は一席、二席等。

<金子兜太選>
 ①まだ歩くまだまだ歩く敬老日 (嘉麻市)松井春光
 ④短足は校長ひとり運動会 (霧島市)久野茂樹
 ⑤追憶にピリオドのなき夜長かな (多摩市)吉野佳一
 ⑧台風や蝋燭(ろうそく)の灯に父と母 (高松市)島田章平
 【評】松井さん。敬老会主催の歩こう会。何処(どこ)まで歩くのか。人生さながらに。(後略)

<長谷川櫂選>
 ②松茸の傘も広がる日和かな (福岡県鞍手町)松野賢珠
 ③山盧忌(さんろき)や一句一句が杖となる (東京都)今津真作
 【評】(前略)二席。これも秋晴れの句。松茸も気持ちがいいのだ。三席。十月三日は飯田蛇笏の忌。その数々の名句を心の糧にして、俳句の道を歩いてゆく。

<大串章選>
 ①一本の稲穂を母へ柩(ひつぎ)閉づ (川口市)青柳悠
 ②年齢を干支(えと)で答へる敬老日 (横浜市)高野茂
 ④秋刀魚の火荒らぶ昭和の匂ひして (松戸市)茶房人
 ⑥反戦が最後の仕事敬老日 (伊佐市)清水ひさし
 【評】第一句。農作業に励んで一生を終えた母であろう。「一本の稲穂」が胸を打つ。第二句。俺は「うし」私は「ひつじ」と言うだけで年齢がわかる。敬老会での楽しい会話。(後略)

<稲畑汀子選>
 ①さはやかに目覚めて軽き手足かな (八代市)山下しげ人
 ②膝(ひざ)さへも判(わか)らぬ霧の登り道 (芦屋市)酒井湧水
 ③風止んでコスモスつまらなくなりし (高松市)藤岡正子
 ⑦仰臥(ぎょうが)して銀漢を観る一家族 (米子市)中村襄介
 ⑨芒(すすき)原風は遠くへゆく途中 (長野市)鈴木しどみ
 【評】一句目。厳しい夏の暑さに耐えて来た手足。爽やかな空気に目覚め、変化に気づく。二句目。自分の膝さえ判らないことで、霧の登山の怖さに気づいた。三句目。背の高いコスモスが揺れて色が交わる面白さが失せてしまった一瞬。

□「朝日俳壇」(朝日新聞 2017年10月9日)
朝日俳壇
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 【参考】
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【朝日俳壇抄】君以外覚えず高二の文化祭 ~9月18日~
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