語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【南雲つぐみ】紅葉の見ごろ ~北穂高、京都、日本三名瀑~

2017年10月29日 | 医療・保健・福祉・介護
 10月中旬、登山が趣味の友人から、北アルプスの北穂高岳からの素晴らしい写真が送られてきた。切り立った山々に囲まれた白い岩肌の谷が、燃えるような赤や鮮やかな黄色に色づいているのだ。白く輝く部分は雪なのだろうか。ここは「涸沢(からさわ)カール」という場所で、氷河の浸食作用によってできた氷河圏谷という広い椀(わん)状の谷である。
 長野県の上高地から1日かけて登るというが、登山家にとっては紅葉の涸沢カールは憧れの景色なのだという。
 これから紅葉は北から南に向かい、標高の高い山からふもとに降りてくる。11月になると、各地の紅葉の名所は観光客でにぎわう。京都では清水寺、高台寺、貴船神社のもみじ灯籠など13カ所で11月中にライトアップが見られるそうだ。
 日本三名瀑(めいばく)の一つである袋田の滝(茨城県大子町)では11月3日ごろから1月末までライトアップされる。鮮やかな紅葉や滝が氷結して「氷瀑」となる様子も見られるそうだ。

□南雲つぐみ(医学ライター)「紅葉の見ごろ ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年10月28日)を引用
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【アジア】度重なる不祥事で日本企業のイメージ失墜 ~アジア商戦にも逆風~

2017年10月29日 | 社会
 (1)神戸製鋼所による検査データ改ざんや日産自動車の不適切検査のニュースは、東南アジアのメディアでも連日大きく取り上げられている。
 今やアジアでも見慣れたお決まりポーズ「平身低頭」の画像とともに、「チーティング・スキャンダル」などという不名誉な見出しが紙面やインターネット上を席巻。かつては日本の技術や厳格さを信じていたアジアの人々に、「もはや日本の大手企業も信用できない」という負のイメージが刷り込まれ続けている。
 三菱自動車、タカタ、東芝などの不祥事の記憶が新しい(まだ終わっているわけではない)中、アジアで事業展開する日本企業の人々からは、「いい迷惑だ」「もううんざりだ」との声が上がる。一方で、「他人事ではない」との不安も垣間見える。

 (2)スキャンダル性が高いがゆえにニュース性が高くなる。実直で生真面目だとみられている人が世界中の人たちをまんまと騙せば、その対比・乖離ゆえに衝撃的なストーリーになりやすい。日本のビッグネームによる不祥事が海外メディアで大きく取り上げられる理由の一つは、その「意外性」だ。
 シンガポールにいるさまざまな国籍の実業家やジャーナリストから、「日本企業は一体どうしたのか?」という質問をよく受ける。技術的欠陥、データ改ざん、ルール違反、粉飾決算など問題の現れ方に違いはあるものの、これだけ矢継ぎ早に大企業の大不祥事が起こり、謝罪会見の様子が頻繁に流れると、もはや個別企業による単発的な問題というふうには見てくれない。
 突き詰めれば、ちまたで言われている通り個別の企業統治の問題なのだろう。だが、海外においては、「果たして日本企業、日本人は信用できるのか?」という疑念を抱かれる。

 (3)いま日本企業は、モノやサービスを成長著しいアジア市場にも積極的に販売しようと四苦八苦している最中だ。自動車、家電、食品などの消費者向けにせよ、機械、部品、素材などの企業向けにせよ、日本や欧米市場と比べて価格や仕様の水準が総じて低いアジア市場での販売は楽ではない。
 日本企業が政府と共に戦略的に売り込もうと躍起になっているインフラ建設にしても然り。価格が少々(あるいは相当)高くても日本が選ばれるとすれば、それは技術水準もさることながら、品質・工程管理やアフターケアがしっかりしていて、安心して任せられると信じているからだろう。
 ところが、日本企業全体のイメージに傷が付けば、アジア市場での闘いはますます厳しくなる。日本が強調したい優位性に対して、疑いの目が向けられかねないからだ。

 (4)日本企業が設定する基準や目標が多くの面で厳し過ぎる、現実的ではない、という意見もある。そうなのかもしれない。東京大学工学部卒のマレーシア人経営者が、日本企業がアジア企業のようにもう少し「柔軟」「いいかげん」であれば、多くの問題は問題とならない、と語っていた。アジアの空気を長く吸っていると、不思議と納得してしまう。
 しかし、いずれにせよ、何とかしなければいけない。個別企業の努力も必要だろうが、日本の産業界全体の問題である。この正念場を乗り越えなければ、アジア市場はさらに遠のく。

□矢野暁(シンガポール在住企業アドバイザー)「度重なる不祥事で日本企業のイメージ失墜/アジア商戦にも逆風」(「週刊ダイヤモンド」2017年11月4日号)
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 【参考】
【中国】で日本の「どら焼き」や「カステラ」が売れない理由 ~風土で違う味覚~
【中国】ユニコーンが55社、加速する起業ブーム ~課題は人材確保~
【欧州】ドイツ議会選挙で極右政党が大躍進 ~危機感強める経済界~
【米国】サンオノフレ原発の核廃棄物移転を訴えた地域住民が“勝った”理由
【欧州】カタルーニャ独立は正しい選択なのか? ~住民投票で9割支持~
【米国】トランプ大統領のころころ変わる政策に振り回される不法移民
【中国】信用情報システム「芝麻信用」とは? ~個人の信用力を点数化~
【米国】北朝鮮問題の深刻化で浮上する開戦シナリオ ~1937年不況の再来?~
【欧州】英国のEU離脱選択で中東欧からの移民が激減 ~人手不足で農業は窮地に~
【欧州】ドイツ自動車業界を襲うディーゼル締め出し判決 ~EV普及の契機となるか~
【欧州】身近で頻発するテロで苦境に陥る欧州の観光業 ~ISが戦術を転換~
【中国】住宅を入手しやすい「新一線都市」が人気 ~地方の生活水準が向上~
【欧州】総工費8兆円超の英高速鉄道プロジェクト ~高まる期待と漂う懸念~
【欧州】スペイン経済は大打撃、欧州金融危機の再来か ~カタルーニャ独立~
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【後藤謙次】5連勝を呼び込んだ「進次郎節」 ~内容的には「薄氷の勝利」に近い~

2017年10月29日 | 社会
 (1)「手を合わせて拝みたいぐらいの数字だ。希望の党に感謝したい」
 衆院選の開票が進んだ10月22日深夜、自民党の最高幹部は思わず本音を漏らした。
 首相の安倍晋三が繰り出した“禁じ手”ともいえる「奇襲解散」。だが、選挙戦序盤ではそれをはるかに凌ぐ勢いが東京都知事、小池百合子の希望の党にはあった。安倍が受けた衝撃は半端ではなかった。多くの自民党議員が下野を覚悟したはずだ。
 「総理が自公で過半数の233議席を目指すと言ったのは掛け値なしの本心だ」
 前記の幹部はこう語る。

 (2)ところが、逆転大勝利。振り返って最大の功労者として小泉進次郎の名前を前記の幹部は挙げた。
 自民党で今や発信力と好感度で彼の右に出る者はいない。その小泉の発信力が「小池劇場」の崩壊を呼び込んだというのだ。小泉は9月28日昼の衆院本会議で解散が断行されると、国会議事堂の廊下で記者や多くのテレビカメラに向かって小池を挑発した。
 「小池さんに出てきていただき、夢と希望を語る自民党と、希望を語る希望の党、希望対決でいいじゃないですか。(小池は)いつ出馬表明するのか。もう都議会に心はないんじゃないか」
 小池は希望の党の結党と党代表への就任を宣言していたものの、衆院選への出馬については言葉を濁す。小泉はそこを突いた。小池も反論せざるを得なくなった。
 「進次郎さんが(出馬しろと)キャンキャンはやし立てるが、お父さん(元首相の小泉純一郎)と約束しているから出馬はない。知事としてやっていく」
 ここから小池は出口のない迷路に入り込んでいく。そこに「排除の論理」が飛び出す。小池の勝ちパターンはジャンヌ・ダルクのように強い敵にたった独りで立ち向かうことにあったが、小池の誤算が始まった。

 (3)逆に小池の上から目線、おごりが元官房長官の枝野幸男を中心とする立憲民主党を誕生させた。選挙の主役は完全に枝野に移った。小池とタッグを組んだ前原誠司・民進党代表がもくろんだ「1対1の与野党対決」の構図は音を立てて崩れ落ちた。選挙の意味合いも「政権選択選挙」から「安倍信任選挙」に大きく変わった。しかも大都会はともかく、地方の有権者には「安倍1強」に不満があっても受け皿がない。今回の衆院選を総括すれば「敵失による自民大勝」ということに尽きる。
  (a)現に、スキャンダルで民進党を離党して無所属で立候補した山尾志桜里が僅差で勝ち残れたのは、山尾以外に野党が候補者を立てずに自民党の鈴木淳司(比例復活当選)との「1対1」の戦いになったからだった。
  (b)新潟で自民党が苦戦したのにも、共産党を巻き込んだ野党共闘の成立が背景にあった。

 (4)小池と前原の思惑は無残に砕け散った。前原は失敗を認め代表辞任の意向を示し、小池には希望の党内から代表更迭の声が上がる。都知事としての職務遂行すら危ぶまれる事態に追い込まれた。

 (5)確定議席で自民党は選挙公示前の議席と全く同じ284。だが、比例代表での得票率を見ると自民約33%に対して立憲民主約20%、希望約18%。これに無所属当選者の得票を加えると自民党を大きく上回る。外見上は「大勝」とはいえ、内容的には「薄氷の勝利」に近い。「選挙に負けて勝負に勝った」というのが実態に近い。選挙中にも内閣支持率が下がっていたことがそれを証明する。
 確かに安倍はこの衆院選の結果、2012年12月の衆院選で政権復帰を果たして以来、衆院3回、参院2回の選挙5連勝を成し遂げた。近く発足する内閣は「第4次政権」。戦後では「第4次」を冠した政権を担ったのは吉田茂だけ。
 しかし、選挙に大勝したものの次の政策目標が見えてこない。安倍の宿願ともいえる憲法改正も議席数から見れば可能性は高いように思えるが、それほど単純なことではない。「自民独り勝ち」が逆に、改憲の阻害要因になる可能性が高いからだ。
  (a)足元の公明党の動向だ。公明党は今度の選挙で公示前議席の34から5議席も減らして29議席。7月の東京都議選で公明は小池と組んで勝利して都政与党の座を占め、一方で国政では安倍連立政権の一翼を担う。代表の山口那津男は「国政は国政、都政は都政」と語るが、有権者の目には「いいとこ取り」としか映らない。自民党の首相経験者の一人も「やがて都政では小池知事と距離を置き始める」と指摘する。
  (b) 改憲勢力として「安倍応援団」とみられる日本維新の会も議席を減らした。

 (6)自民党内でも、今回の衆院選で自公の選挙協力が円滑に行われなかったことを認める幹部が多い。1999年10月に自公連立が始まってから既に18年。「制度疲労」が起きても不思議はない。
 憲法改正をめぐっても微妙な温度差がある。とりわけ安倍が目指す9条改正でその差が浮き彫りになる。公明党には憲法改正について一貫した考えがある。衆院選後も山口は繰り返した。
 「幅広い合意形成が大事だ。野党第1党の理解を得て合意できることが望ましい。国民の理解が伴うことも重要だ」

 (7)山口が危惧した、野党第1党に改憲に反対する立憲民主党が躍り出たことが大きな意味を持つ。その立憲民主党が選挙後の野党再編の中核になるのは確実だろう。
 立憲民主党にも希望の党にも行かず、無所属で当選した野田佳彦・前首相、岡田克也・元外相、玄葉光一郎ら実力者をブリッジに希望の党の一部と再結集を目指す動きが早くも表面化している。玄葉はこう語る。
 「立憲民主が左に行き過ぎず、希望が右に行き過ぎなければ政権の大きな受け皿ができる」

 (8)加えて安倍にとっての最大の敵は目に見えない国民世論の動向だろう。
 憲法改正も国会の発議まで持ち込んでも、国民投票という最大のハードルが待ち構える。英国のEU離脱をめぐる国民投票で国論が二分され、キャメロン政権が吹き飛んだことは記憶に新しい。国民投票の怖さを安倍も十分知っている。つまり安倍が高い内閣支持率を維持し続けなければとても改憲はおぼつかない。なおかつ、その前に来年9月の自民党総裁選が立ちはだかる。
 自民党幹事長の二階俊博は「ポスト安倍は安倍」と明確に安倍の3選を支持しているが、安倍自身は「全く白紙」を繰り返す。その一方で今回の選挙戦を通じて「次の顔」が明確になってきたのも事実だ。
  (a)筆頭は石破茂(60)・元自民党幹事長
  (b)岸田文雄(60)・政調会長
  (c)野田聖子(57)・総務相
  (d)新顔といってもいいかもしれない河野太郎(54)・外相

 (9)そして安倍にとって思わぬ「落とし穴」が潜む。
  (a)長期政権に対する「飽き」だ。安倍がどんなに優れたリーダーであったとしても、これだけはコントロールできない人間の感情が支配する領域に属するからだ。しかも具体的な処方箋があるわけではない。さらにこの選挙を機に前総裁の谷垣禎一ら党の“重し”が次々と政界を去ったことも安倍にとって目に見えない不安材料といっていいだろう。
  (b)不透明感を増す外交も安倍にとって重い。とりわけ国家主席の習近平への権力集中が進んだ中国とどう向き合うのか。11月5日には米大統領のドナルド・トランプが初来日する。
  (c)日米同盟の強化はともすると日本外交の自由を奪うことにもなりかねない。安倍を教科書のない政権運営が待ち構える。安倍は支え棒のない不安定な高いはしごの上にいるような状況に身を置くことになった。

□後藤謙次「5連勝を呼び込んだ「進次郎節」/吉田政権以来の第4次内閣発足 ~永田町ライブ!No.362」(「週刊ダイヤモンド」2017年11月4日号)
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 【参考】


【後藤謙次】安倍首相が描く改憲スケジュール ~高村正彦・党副総裁の続投表明~
【後藤謙次】自民党優位、希望の党苦戦の裏で注目高まる無所属ネットワーク
【後藤謙次】「希望の党」の失言が引き起こした民進党解体 ~政治は一言で動く~
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