【凡例】☆印は共選作。①、②以下丸文字は一席、二席等。
<長谷川櫂選>
②朝顔を自由の空へみちびきぬ(相馬市)根岸浩一
⑤道元に耳を傾け長き夜を(名古屋市)青島ゆみを
【評】(前略)二席。「自由の空」とはすばらしい。朝顔にとって、たとえ幻想だとしても。(後略)
<大串章選>
①一行の詩となり雁の渡りけり (いわき市)坂本玄々
⑤流星や平和を願ふには速し (村上市)鈴木正芳
⑥運不運菜を間引きつつ思ひけり (知多市)岩崎光子
⑩終に来しひとりの暮らし秋刀魚焼く (一宮市)岩田一男
【評】第一句。雁の列を「一行の詩」と言ったところにポエムがある。(後略)
<稲畑汀子選>
①阿蘇の空閉ぢ込めてゐる芋の露 (神戸市)池田雅かず
②懐しや母の御萩(おはぎ)の秋彼岸 (木更津市)本郷政信
③千畳の波よせ崩る大夕焼 (西宮市)黒田國義
④見えてゐる魚影は釣れぬ根釣かな (浜田市)田中静龍
【評】一句目。広い阿蘇の空を仰ぐ作者。目の前の芋の葉に結ばれた露の玉。そこに映った大景を発見した感動。二句目。母上の手作りのお萩を懐かしむ心に誘われた秋の彼岸。三句目。どっと寄せてくる大海の波を染める大夕焼を描いて妙。
<金子兜太選>
①豊の秋パンツの上にまはしして (大分県日出町)松鷹久子
②虫の音が聞こえぬ耳に秋の風 (洲本市)輔老絢子
③かぎりなき廃炉の空を鳥渡る (敦賀市)村中聖火
⑩手話ひとつ覚えて帰る敬老日(宍粟市)宗平圭司
【評】松鷹さん。子供たちの草相撲。「豊の秋」は四股名(しこな)か。輔老(すけたけ)さん。肌で感じる秋。豊穣(ほうじょう)の予感。村中さん。原発所在地敦賀。福島の出来事は他人ごとではない。廃炉を。十句目宗平氏。また新しい対話が生まれる期待感。
□「朝日俳壇」(朝日新聞 2017年10月16日)
「朝日俳壇」
↓クリック、プリーズ。↓
【参考】
「【朝日俳壇抄】短足は校長ひとり運動会 ~10月9日~」
「【朝日俳壇抄】帰省の子大人になりて寄りがたし ~10月2日~」
「【朝日俳壇抄】人間も桃もおほかた皮と水 ~9月25日~」
「【朝日俳壇抄】君以外覚えず高二の文化祭 ~9月18日~」
「【朝日俳壇抄】渾身のバックホームや雲の峰 ~9月10日~」
「【朝日俳壇抄】つむじ風空蝉そらを飛びにけり ~9月4日~」
「【朝日俳壇抄】蟻地獄あなたの帰り待つてます ~8月28日~」
「【朝日俳壇抄】八月や骨で還れの骨さへも ~8月21日~」
「【朝日俳壇抄】戦争の滴り落つる日本かな ~8月14日~」
「【朝日俳壇抄】渾渾と泉湧きくる日野原忌 ~8月7日~」
「【朝日俳壇抄】天の川鳴門の渦に流れ入る ~7月31日~」
「【朝日俳壇抄】ヒアリ来る地球はますます炎えてくる ~7月24日~」
「【朝日俳壇抄】為政者の驕り露見や青嵐 ~7月10日~」
「【朝日俳壇抄】叩かれて叩かれてなほ油虫 ~7月3日~」
「【朝日俳壇抄】政権も徒党に堕すや走り梅雨 ~6月26日~」
「【朝日俳壇抄】妻はヨガ吾は吟行風薫る ~6月19日~」
「【朝日俳壇抄】あの人も人間失格桜桃忌 ~6月5日~」
「【朝日俳壇抄】地響きに滝の重さのありにけり ~5月29日~」
「【朝日俳壇抄】聖五月人には青の時代あり ~5月22日~」
「【朝日俳壇抄】戦後よりまた戦前へ四月馬鹿 ~5月15日~」
「【朝日俳壇抄】空爆の次は花見のニュースかな ~5月7日~」
「【朝日俳壇抄】鞦韆は蹴るべし愛は返すべし ~5月1日~」
<長谷川櫂選>
②朝顔を自由の空へみちびきぬ(相馬市)根岸浩一
⑤道元に耳を傾け長き夜を(名古屋市)青島ゆみを
【評】(前略)二席。「自由の空」とはすばらしい。朝顔にとって、たとえ幻想だとしても。(後略)
<大串章選>
①一行の詩となり雁の渡りけり (いわき市)坂本玄々
⑤流星や平和を願ふには速し (村上市)鈴木正芳
⑥運不運菜を間引きつつ思ひけり (知多市)岩崎光子
⑩終に来しひとりの暮らし秋刀魚焼く (一宮市)岩田一男
【評】第一句。雁の列を「一行の詩」と言ったところにポエムがある。(後略)
<稲畑汀子選>
①阿蘇の空閉ぢ込めてゐる芋の露 (神戸市)池田雅かず
②懐しや母の御萩(おはぎ)の秋彼岸 (木更津市)本郷政信
③千畳の波よせ崩る大夕焼 (西宮市)黒田國義
④見えてゐる魚影は釣れぬ根釣かな (浜田市)田中静龍
【評】一句目。広い阿蘇の空を仰ぐ作者。目の前の芋の葉に結ばれた露の玉。そこに映った大景を発見した感動。二句目。母上の手作りのお萩を懐かしむ心に誘われた秋の彼岸。三句目。どっと寄せてくる大海の波を染める大夕焼を描いて妙。
<金子兜太選>
①豊の秋パンツの上にまはしして (大分県日出町)松鷹久子
②虫の音が聞こえぬ耳に秋の風 (洲本市)輔老絢子
③かぎりなき廃炉の空を鳥渡る (敦賀市)村中聖火
⑩手話ひとつ覚えて帰る敬老日(宍粟市)宗平圭司
【評】松鷹さん。子供たちの草相撲。「豊の秋」は四股名(しこな)か。輔老(すけたけ)さん。肌で感じる秋。豊穣(ほうじょう)の予感。村中さん。原発所在地敦賀。福島の出来事は他人ごとではない。廃炉を。十句目宗平氏。また新しい対話が生まれる期待感。
□「朝日俳壇」(朝日新聞 2017年10月16日)
「朝日俳壇」
↓クリック、プリーズ。↓
【参考】
「【朝日俳壇抄】短足は校長ひとり運動会 ~10月9日~」
「【朝日俳壇抄】帰省の子大人になりて寄りがたし ~10月2日~」
「【朝日俳壇抄】人間も桃もおほかた皮と水 ~9月25日~」
「【朝日俳壇抄】君以外覚えず高二の文化祭 ~9月18日~」
「【朝日俳壇抄】渾身のバックホームや雲の峰 ~9月10日~」
「【朝日俳壇抄】つむじ風空蝉そらを飛びにけり ~9月4日~」
「【朝日俳壇抄】蟻地獄あなたの帰り待つてます ~8月28日~」
「【朝日俳壇抄】八月や骨で還れの骨さへも ~8月21日~」
「【朝日俳壇抄】戦争の滴り落つる日本かな ~8月14日~」
「【朝日俳壇抄】渾渾と泉湧きくる日野原忌 ~8月7日~」
「【朝日俳壇抄】天の川鳴門の渦に流れ入る ~7月31日~」
「【朝日俳壇抄】ヒアリ来る地球はますます炎えてくる ~7月24日~」
「【朝日俳壇抄】為政者の驕り露見や青嵐 ~7月10日~」
「【朝日俳壇抄】叩かれて叩かれてなほ油虫 ~7月3日~」
「【朝日俳壇抄】政権も徒党に堕すや走り梅雨 ~6月26日~」
「【朝日俳壇抄】妻はヨガ吾は吟行風薫る ~6月19日~」
「【朝日俳壇抄】あの人も人間失格桜桃忌 ~6月5日~」
「【朝日俳壇抄】地響きに滝の重さのありにけり ~5月29日~」
「【朝日俳壇抄】聖五月人には青の時代あり ~5月22日~」
「【朝日俳壇抄】戦後よりまた戦前へ四月馬鹿 ~5月15日~」
「【朝日俳壇抄】空爆の次は花見のニュースかな ~5月7日~」
「【朝日俳壇抄】鞦韆は蹴るべし愛は返すべし ~5月1日~」