語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【南雲つぐみ】足湯の効用 ~疲労困憊のとき・風邪気味のときは~

2018年03月23日 | 医療・保健・福祉・介護
 疲れて風呂に入る気がしない時や、足の冷えを感じる時、風邪気味で背中がぞくぞくする時は、室内で服を着用したまま足湯がお勧めだ。
 バケツの中に、いつも浴槽に張るよりも熱めのお湯を入れ、足を入れる。ふくらはぎの真ん中ぐらいまで漬かる深さがあれば十分で、湯に少し塩を入れておくと、冷めにくい。
 しばらくするとじわじわと全身が温まってくる。血行が末梢から良くなるので頭がのぼせない。まだ、三寒四温の季節で血圧が乱高下するヒートショックも心配だが、服を着たままなので体温が大きく上下しない。背中に汗をかくぐらいまで温まるといい。
 足湯のあとにすぐにふとんに入るのではなく、入浴後15~30分はゆったりとくつろいでほしい。時間がたち、体温が徐々に下がると、交感神経が鎮まって体がリラックスする。そして汗を出し切って体温部の体温(深部体温)が下がった頃が、眠りにつきやすい時間帯となるからだ。 

□南雲つぐみ(医学ライター)「足湯の効用 ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2018年3月13日)を引用
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【佐藤優】死生観の変化が私たちにもたらすもの ~宗教と資本主義・国家~

2018年03月23日 | ●佐藤優
 <しかし、日本の仏教が強いところは、葬式を押さえているところです。
 「葬式仏教」などと揶揄されますが、人生の節目を宗教がしっかり押さえることには変わりありません。日本人の人生に関わる宗教的な儀式を考えてみると、多くは神社でも、せいぜい生まれたときと七五三のお宮参りに行くぐらいです。キリスト教では結婚式を、多い人で三回するぐらいです。私も結婚を二回していますが、二回目は式を挙げていません。
 (中略)
 一方、葬式を押さえれば、人生の大事なところを捕まえたことになります。最近の葬式は初七日法要を合わせて行い、お経を二回読んだりします。お布施は二倍ではなく1.5倍で構わないようですが。しかし、そうやって一回捕まえてしまえば、三回忌も七回忌も十三回忌も捕まえられることになります。
 やはり死を押さえるということは、宗教にとっては決定的に重要です。日本におけるキリスト教は、葬式を押さえられないうちは、やはりまだ弱いといえるでしょう。
 それは、死の場面になるとわれわれは宗教が必要になってくる、ということだと思うのです。最近は無縁仏や病院から火葬場にご遺体を直送する形、お墓のないケースも増えているようですが、われわれの死生観がどのように変化しているのかも、宗教と大きな関係があると思います。
 (中略)
 私は先般、京都学派の哲学者・田邊元(たなべはじめ)(1885~1962)に関する『学生を戦地に送るには 田辺元「悪魔の京大講義」を読む』(新潮社)という本を出しました。田邊には『歴史的現実』という本がありますが、これは戦争が始まる少し前に京都大学で講演した内容をまとめたものです。悠久の大義のために生きれば永遠に生きることになる、と説いて、結論としては「国のために死ね」ということになってしまいます。当時の哲学や神学におけるさまざまな議論を用いながら、京大の優秀な学生たちに「お国のために死ぬのだ」という気構えを持たせてしまう、とても良くできた悪魔の講義録です。
 その田邊の本について講義をしてまとめたのですが、彼がいっている「よく生きることとはよく死ぬことである」とか「生きることと死ぬことの境界線はどこなのか」というテーマは、実は今でも解決されていないのです。
 (中略)
 これは連続シンポジウムの先のテーマになりますが、例えば終末医療や尊厳死、安楽死をどう考えたらいいのかといった問題も出てきます。ただ、これらの問題のどこに根源があるかといったら、それは、われわれは必ず死ぬということです。これをどう受け止めるか、ということです。人が必ず死ぬことと宗教の問題は、密接に関係していると思います。>

□池上彰・佐藤優・松岡正剛・碧海寿広・若松英輔『宗教と資本主義・国家 激動する世界と宗教』(KADOKAWA、2018)の「第Ⅰ部 対論」の「死生観の変化が私たちにもたらすもの」から一部引用

 【参考】
【佐藤優】独身であることと権力 ~宗教と資本主義・国家~
【佐藤優】個別性と普遍性 ~宗教と資本主義・国家~
【佐藤優】宗教に関する訳語 ~宗教と資本主義・国家~
【佐藤優】宗教が土着化するということ ~宗教と資本主義・国家~
【佐藤優】沖縄における魂観 ~宗教と資本主義・国家~
【佐藤優】国が追悼施設をつくるべきではない(靖国問題) ~宗教と資本主義・国家~
【佐藤優】「国家主義教」 ~宗教と資本主義・国家~
【佐藤優】出世教、学歴教、etc. ~宗教と資本主義・国家~
【佐藤優】お金という神さま ~宗教と資本主義・国家~
【佐藤優】人間の思考と魂の根底に迫る ~宗教と資本主義・国家~
【佐藤優】『宗教と資本主義・国家 激動する世界と宗教』の目次
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【南雲つぐみ】二の腕のたるみ対策のツボ ~「臂臑」と「肱中」~

2018年03月22日 | 医療・保健・福祉・介護
 普段の生活ではなかなか鍛えにくい、二の腕(上腕部)。脂肪がつきやすく、年齢とともにたるみが出て、半袖やノースリーブを着ると気になってしまう。
 このたるみ対策によく使われる「臂臑(ひじゅ)」と「肱中(こうちゅう)」という二つのつぼ【注】がある。臂臑は、ひじをV字に曲げたときに盛り上がる上腕外側の三角筋のすぐ下のやや内側。肱中は、腕のつけ根とひじを結んだ線の中央で、親指をあてるとやや痛みを感じるところだ。
 まずは親指を肱中に当てたまま、残りの指を臂臑に当てて、同時に適度な強さで押しもみしてみよう。リンパの流れをよくし、たるみの原因でもある老廃物の排出を促すとされる場所なので、腕のコリやだるさを感じているときのリフレッシュにもなるのではないか。
 両方のつぼを押さえながら腕を前に伸ばし、手首を直角に上げてゆっくりと内側、外側に回すエクササイズも効果的だという。腕のたるみはすぐには改善されるわけではないが、ふだん動かしにくい筋肉を動かすことで新陳代謝が促されるはずだ。

 【注】
【南雲つぐみ】急な歯痛への対応 ~歯痛に効くツボ~
【南雲つぐみ】ツボで眠気覚まし ~太衡、井穴~
【南雲つぐみ】会合のツボ ~頭痛、歯痛、目の充血、耳鳴り、風邪のひき始めの喉~
【南雲つぐみ】頭痛にツボ押し ~疲れ、イライラの改善、ストレス解消~
【南雲つぐみ】目の疲れ取り ~目の負担を和らげるとされるツボ~
【南雲つぐみ】二日酔いへの対策 ~手のツボ~
【南雲つぐみ】肩凝りに肩井のツボ
【南雲つぐみ】WHOが認めた耳のツボ ~耳鳴りの東洋医学療法~

□南雲つぐみ(医学ライター)「二の腕のたるみ対策 ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年6月28日)を引用
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【佐藤優】独身であることと権力 ~宗教と資本主義・国家~

2018年03月22日 | ●佐藤優
 <実は、哲学者で歴史学者のアーネスト・ゲルナー(1925~95)の著書『民族とナショナリズム』(岩波書店)を読んで、私は初めて「独身制といはこういうことだったのか」とわかりました。それは、権力を抑制するために独身制をとる、ということです。
 権力を持つと、その権力を子どもに継がせたくなる。だから去勢して、物理的に権力を子どもに継げないようにするのですが、この独身制は社会的な去勢をも含みます。仮に実の子がいても、子どもであることを公にできないようにして権力を抑える仕組みが独身制だ、というわけです。
 (中略)
 近代国家においては、独身制も去勢も採用できないでしょう。そこで何を採用するかというと、きわめて難しい公務員選抜試験です。この公務員制度によって事実上の去勢を行っていくのが近代国家だ、というのがゲルナーの見方です。
 (中略)
 逆に、(日本のように)宗教で妻帯が認められるようになるということは、その宗教があまり力を持たなくなったということかもしれません。>

□池上彰・佐藤優・松岡正剛・碧海寿広・若松英輔『宗教と資本主義・国家 激動する世界と宗教』(KADOKAWA、2018)の「第Ⅰ部 対論」の「独身であることと権力」から一部引用

 【参考】
【佐藤優】個別性と普遍性 ~宗教と資本主義・国家~
【佐藤優】宗教に関する訳語 ~宗教と資本主義・国家~
【佐藤優】宗教が土着化するということ ~宗教と資本主義・国家~
【佐藤優】沖縄における魂観 ~宗教と資本主義・国家~
【佐藤優】国が追悼施設をつくるべきではない(靖国問題) ~宗教と資本主義・国家~
【佐藤優】「国家主義教」 ~宗教と資本主義・国家~
【佐藤優】出世教、学歴教、etc. ~宗教と資本主義・国家~
【佐藤優】お金という神さま ~宗教と資本主義・国家~
【佐藤優】人間の思考と魂の根底に迫る ~宗教と資本主義・国家~
【佐藤優】『宗教と資本主義・国家 激動する世界と宗教』の目次
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【佐藤優】個別性と普遍性 ~宗教と資本主義・国家~

2018年03月22日 | ●佐藤優
 <宗教という問題は同時に、個別性と普遍性の問題も提起します。例えば私は朝鮮半島との、特に日韓併合以降の問題では、宗教の問題が実は大きかったと思っています。日本は韓国を併合しましたが、これは単に政治的に併合したというだけではありません。同時に、例えば朝鮮大神宮をつくり、神社参拝を韓国に押しつけるということもしているわけです。韓国の人びとにとっては、アマテラス信仰はまったく関係ないものです。彼ら彼女らには、自分たちのルーツである檀君(タングン)という神さまがいるわけですから。
 (中略)
 金日成(キムイルソン)の時代にピラミッド型の檀君の墓をつくりました。しかし、「韓国には檀君信仰による神社を建てよう」ということすら、日本政府は思いつかなかった。
 東南アジアに行くにしても太平洋の諸島に行くにしても、神社を建てることでアマテラス信仰を慣習としてその地で広めようとした。たぶん当時の日本人は、これが普遍的だと考えていたと思うのです。しかし、それは非常に個別的なものだった。そういう問題です。
 逆に、われわれは鎖国をどう考えたらいいのか、という問題もあります。もし鎖国をしていなければ、日本が西洋の植民地になった可能性は十分にあります。その意味では、イエズス会の人たちが当時考えていた「普遍的な概念」も、実は普遍的ではないことになる。日本のような国では、イエスの教えがなかなか宿らない、と作家の遠藤周作(1923~96)が『沈黙』で書いています。「この国は沼地なのだ」と。どんな苗を植えても、根腐れを起こしてしまう沼地なのだと。
 (中略)
 日本はその調子というか、私の知る外交官にも、バチカンで神父さん相手に「お父さんも神父さんでしたか?」などと尋ね、大顰蹙を買った人がいます。>

□池上彰・佐藤優・松岡正剛・碧海寿広・若松英輔『宗教と資本主義・国家 激動する世界と宗教』(KADOKAWA、2018)の「第Ⅰ部 対論」の「個別性と普遍性」から一部引用

 【参考】
【佐藤優】宗教に関する訳語 ~宗教と資本主義・国家~
【佐藤優】宗教が土着化するということ ~宗教と資本主義・国家~
【佐藤優】沖縄における魂観 ~宗教と資本主義・国家~
【佐藤優】国が追悼施設をつくるべきではない(靖国問題) ~宗教と資本主義・国家~
【佐藤優】「国家主義教」 ~宗教と資本主義・国家~
【佐藤優】出世教、学歴教、etc. ~宗教と資本主義・国家~
【佐藤優】お金という神さま ~宗教と資本主義・国家~
【佐藤優】人間の思考と魂の根底に迫る ~宗教と資本主義・国家~
【佐藤優】『宗教と資本主義・国家 激動する世界と宗教』の目次


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【スウェーデン】学費は無料

2018年03月21日 | □スウェーデン
 ピア・ルンデルさん(58歳)は、28歳、26歳、23歳の3人の子どもを育てあげた。日本では、3人の子どもがいると、教育費などに悩まされる親も多いが、ルンデルさんが支払ったのは長男がオーストラリアへ留学した際の費用のみ。
 スウェーデンでは、大学を卒業するまでの学費は無料で、親が教育費の心配をする必要はないのだ。
 むろん教育ローンはあるが、学費ではなく、子ども自身の生活費に充てるために組むのが一般的だ。というのは、大学に入る時点で子どもは独立しているからだ。

□「北欧人に聞いてみた「本当に幸せなの?」 ~特集【Part3】高福祉国家の実像~」(「週刊ダイヤモンド」2015年3月14日号)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【南雲つぐみ】春分の日 ~自然をたたえ生物を慈しむ日~

2018年03月21日 | 医療・保健・福祉・介護
 春夏秋冬という四季の移り変わりは、地球が自転しながら太陽の周りを1年間に1周(公転)することが1回となる。その中で、昼と夜の長さがほぼ同じになるのが春分と秋分だ【注】。
 今年の春分の日は3月21日。太陽が真東から登り、真西に沈む。
 仏教における極楽浄土は、西方にあると考えられている。彼岸と此岸がもっとも通じやすくなるということでこの日の周辺が先祖をしのぶ「お彼岸」になった。
 この時期の東京の朝晩の最低気温は5度前後、日中の最高気温は15度前後。「暑さ寒さも彼岸まで」というように、「冷える」わけでも「暑い」わけでもないから、お墓参りにも行きやすい。
 この時期は激しく気温が変化する。年間でも3月から4月、9月から10月にかけては1カ月で5度以上の気温変動がある。この寒暖差によって血圧や自律神経が刺激されるので、心疾患の危険性は高くなる。
 春分の日は、国民の休日としては「自然をたたえ生物を慈しむ日」とされている。人体も自然の一部。自分も家族の体も慈しもう。

 【注】「【南雲つぐみ】お彼岸 ~その心~

□南雲つぐみ(医学ライター)「春分の日 ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2018年3月21日)を引用
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【佐藤優】宗教に関する訳語 ~宗教と資本主義・国家~

2018年03月21日 | ●佐藤優
 <緩いことの良さはもちろんありますが、例えば明治期につくられた訳語には大きな失敗がありました。例えば「法王」です。
 (中略)
 教会関係の文書では全て「教皇」になっています。日本カトリック中央協議会のホームページで確かめれば、正しくは「教皇」です。ところが明治時代に当時の定訳の「法王」で登録してしまったため、いまだに日本では公式名称として使う際に「教皇」と書けない。
 そのため、カトリックの人が外務省に「ローマ法王庁大使館」を「ローマ教皇庁大使館」に変えてくれと頼んだそうです。そうしたら、「クーデターや政変があったわけではないから変更できない」と返答されたそうです。
 「法」というのは、仏教の「ダルマ」を指します。「法王」は「ダルマの王さま」になるから、どちらかというと本願寺の最高幹部のようなイメージで、キリスト教のニュアンスとは明らかに違っているのですが、いまだに直せません。
 だから私は、安倍政権に近い人に「『法王庁』から『教皇庁』への名称変更は一銭もお金を掛けずにバチカンとの関係改善ができるからすごくいいですよ」といっているのですが・・・・。「グルジア」から「ジョージア」への国名変更も日本政府は認めたわけですから、「教皇」についてもできるはずです。
 (中略)
 キリスト教の立場で考えると、「法」という言葉に根源的な問題があるわけです。「ダルマ」は仏教の理論で用いられる言葉なので、やはり抵抗があります。>

□池上彰・佐藤優・松岡正剛・碧海寿広・若松英輔『宗教と資本主義・国家 激動する世界と宗教』(KADOKAWA、2018)の「第Ⅰ部 対論」の「宗教に関する訳語」から一部引用

 【参考】
【佐藤優】宗教が土着化するということ ~宗教と資本主義・国家~
【佐藤優】沖縄における魂観 ~宗教と資本主義・国家~
【佐藤優】国が追悼施設をつくるべきではない(靖国問題) ~宗教と資本主義・国家~
【佐藤優】「国家主義教」 ~宗教と資本主義・国家~
【佐藤優】出世教、学歴教、etc. ~宗教と資本主義・国家~
【佐藤優】お金という神さま ~宗教と資本主義・国家~
【佐藤優】人間の思考と魂の根底に迫る ~宗教と資本主義・国家~
【佐藤優】『宗教と資本主義・国家 激動する世界と宗教』の目次

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【佐藤優】宗教が土着化するということ ~宗教と資本主義・国家~

2018年03月21日 | ●佐藤優
 <ただ、一神教にもいろいろあります。キリスト教は一神教ですが、ヨーロッパのキリスト教には、ゲルマン的なものや、ケルト的な季節の祭礼に根ざした感覚が相当入ってしまっていますから。
 (中略)
 12月25日は冬至の祭りからきていますね。私はクリスマスツリーが大嫌いで立てませんが、あれもつい最近、1950年代にアメリカで始まった商業主義由来です。そもそも一神教とはいっても、キリスト教は父なる神、子なる神、聖霊なる神という三位一体論をとっているので、何となくフワッとしていい加減なところがあるのです。
 【「神の子がいるなら、それも神だろう。神は唯一絶対のはずなのに、イエスという神の子がいるなら、神が唯一絶対ではなくなるだろう、というイスラムの立場からの批判もあります」という池上彰の指摘に対して】 
 そうです。ただ、それは人間の知で神を捉えようとしている議論だ、その議論自体が間違えている、というのがキリスト教神学の立場になります。その議論では、キリスト教は基本的に反知性主義ですから、この反知性主義というのは無知蒙昧という意味ではありません。人間の知性には限界がある、だから超越的なものを認めないといけないという立場です。それで「一であって三であり、三であって一なのだ」と平気でいうわけです。
 (中略)
 【「本来の保守主義者の考え方に」】親和性が高いといえます。そのため、キリスト教的な神学を学ぶと、だいたい保守的な発想にはなっていきます。ただ、その国の文脈による、ということはある。日本の場合はクリスチャン、特にプロテスタントというと、政府に対して批判的で云々という文脈があります。これは左翼や右翼であるかはあまり関係ないと思います。なぜなら内村鑑三(1861~1930、クリスチャンの思想家)は二つのJ--ジャパンとジーザス--が好きだといい、新島襄(1843~90、クリスチャンの教育者)は日本万歳といいましたから。
 日本のキリスト教徒の特徴はむしろ、薩摩と長州が嫌いだという点にあります。薩摩と長州の支配下で上昇できなかった若者たち--旧佐幕派--がキリスト教に向かった。自分の殿さまに対する忠誠心を、イエス・キリストに対する忠誠心と重ね合わせた、ということです。だから日本のキリスト教徒には親分・子分関係がすごく厳しいところや、リゴリスティックなところ--私、そういうところが嫌いなのですが--、今の社会を斜めに見るという体質があります。だからこそ、日本ではクリスチャンが人口の1%を超えられないのだ、と私は見ています。
 (中略)
 やはり大事なのは、今キーワードになっている「土着化」です。土着できなければ、それは生きた宗教にはならないわけです。

□池上彰・佐藤優・松岡正剛・碧海寿広・若松英輔『宗教と資本主義・国家 激動する世界と宗教』(KADOKAWA、2018)の「第Ⅰ部 対論」の「宗教が土着化するということ」から一部引用

 【参考】
【佐藤優】沖縄における魂観 ~宗教と資本主義・国家~
【佐藤優】国が追悼施設をつくるべきではない(靖国問題) ~宗教と資本主義・国家~
【佐藤優】「国家主義教」 ~宗教と資本主義・国家~
【佐藤優】出世教、学歴教、etc. ~宗教と資本主義・国家~
【佐藤優】お金という神さま ~宗教と資本主義・国家~
【佐藤優】人間の思考と魂の根底に迫る ~宗教と資本主義・国家~
【佐藤優】『宗教と資本主義・国家 激動する世界と宗教』の目次

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【南雲つぐみ】治療目標を話し合う ~関節リウマチ~

2018年03月21日 | 医療・保健・福祉・介護
 関節リウマチは40代以降に多く、圧倒的に女性に多い病気といえる。特徴的な症状は朝のこわばりや関節の腫れ、関節痛が知られているが、全身の倦怠感や疲労感も強く、生活の妨げになる場合も少なくないそうだ。
 公益社団法人日本リウマチ友の会がまとめた「2015年リウマチ白書」によれば、リウマチ患者は治療に対し、「関節破壊が止まる」「関節の腫れや痛みがなくなる」という症状の治療(寛解)を期待している。さらに、「日常生活が送りやすくなる」「社会生活が健康な人と同じようにできる」なども強く願っているそうだ。
 こうした治療目標を患者と医師がよく話し合い、合意の上で治療が行われることが重要であるとする報告が、このほど行われた。
 「関節リウマチ診療ガイドライン2014作成のための患者の価値観の評価」によれば、「主治医と治療目標について話し合ったことがある」という患者は42.7%にすぎない。また、治療目標について話し合った場合の医療の満足度は3.6倍だったそうだ。

□南雲つぐみ(医学ライター)「治療目標を話し合う ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年5月25日)を引用
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【南雲つぐみ】ウド ~漢方的効果~

2018年03月20日 | 医療・保健・福祉・介護
 山ウドは、野山や雑木林に自生する旬の山菜だが、市場に出回っているのは、暗所で柔らかく栽培された白いウドがほとんど。
 皮をむき、短冊切りにして、酢水につけてアクを抜き、さっとゆでる。するとシャキシャキしたさわやかな歯ごたえが、少しの苦みとともに味わえる。くせがないので、酢みそもいいが、みそとマヨネーズをあえてサラダにするのも良い。
 食品成分表で見ると、カリウムは含まれているが、マグネシウム、カルシウム、葉酸は若干量で、あとはほとんどが水分だ。その分、エネルギーも少ないので、ダイエット中でも気にしないで食べられる。また、香り成分であるジテルペンアルデヒドに血液循環を良くする作用があるといわれている。
 一方、漢方ではウドの根の部分は「独活(どっかつ)」といって、血液循環を良くして肩凝りなどの痛みを和らげる漢方薬の素材として使われている。市販薬では、「独活葛根湯」や「独活寄生丸」がある。「独活葛根湯」は、マウスでの研究では関節リウマチへの効果が確認されている。

□南雲つぐみ(医学ライター)「ウド ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2018年3月16日)を引用
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【佐藤優】沖縄における魂観 ~宗教と資本主義・国家~

2018年03月20日 | ●佐藤優
 <同時に、母親にも私にも日本の神道に対する沖縄的なアンビバレントな感覚もあります。沖縄にはいわゆる神道的な発想ではなく、ニライカナイという発想があるのです。海のはるか向こう側に異郷があり、良いことも悪いことも両方そこからやってくる、という発想です。そこは地獄であるとともに楽園であるような、不思議な場所です。物事を二元的に理解する背景には、そういう発想もあるように思います。
 (中略)
 沖縄では魂を「マブイ」と言いますが、マブイは六つあるといわれています。
 去年、二十歳の女性が米軍属(元海兵隊員)に殺された事件がありました。彼女のお父さんは私と同年ですが、娘の白骨の死体が出たとき、彼が「ここにはマブイがない。いくつか欠けている」といったという記事を琉球新報で読みました。大怪我をしたり怖い目に遭うと、マブイはその人から落ちてしまいます。だから彼は、娘がひどい目に遭い、殺された現場で落ちたマブイを探し、もう一回娘に魂を込めないといけないといって歩いている、と。
 魂をもう一回その人に込める儀式を「マブイグミ(魂込め)」というのですが、沖縄にはそういう魂観があるから、たぶん私の母親も、靖国神社を思っているときの魂と、教会に行って聖書を読んでいるときの魂は違う魂だったのでしょうね。>

□池上彰・佐藤優・松岡正剛・碧海寿広・若松英輔『宗教と資本主義・国家 激動する世界と宗教』(KADOKAWA、2018)の「第Ⅰ部 対論」の「沖縄における魂観」から一部引用

 【参考】
【佐藤優】国が追悼施設をつくるべきではない(靖国問題) ~宗教と資本主義・国家~
【佐藤優】「国家主義教」 ~宗教と資本主義・国家~
【佐藤優】出世教、学歴教、etc. ~宗教と資本主義・国家~
【佐藤優】お金という神さま ~宗教と資本主義・国家~
【佐藤優】人間の思考と魂の根底に迫る ~宗教と資本主義・国家~
【佐藤優】『宗教と資本主義・国家 激動する世界と宗教』の目次

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【佐藤優】国が追悼施設をつくるべきではない(靖国問題) ~宗教と資本主義・国家~

2018年03月20日 | ●佐藤優
 <例えば、閣僚による靖国神社公式参拝は、特定宗教と国家の癒着で良くないとする論者の中には、靖国神社に代わる宗教的に中立な追悼施設をつくるべきだと主張する人がいます。私はこの考えには反対です。なぜなら、追悼行為自体が、必ず宗教性を孕むからです。もし宗教的に中立な国立の追悼施設をつくったら、かえって国教的な性格の強い場所になってしまうはずです。これは政教分離の原則からしてもおかしいと思います。
 何をもっって宗教とするかという問題は、結構難しいものです。英語の religion、ラテン語の religio という語には「結びつける」という意味もあります。宗教学の教科書には、いろいろなものを結びつけるものを宗教という、と書いてあります。しかし例えば神学者のオットー・キルン(1857~1911)などは「そうではない、 religio は畏敬の念を持つところから生まれたのだ」といいます。別のラテン語の語源から定義する人もいます。ただ、「畏敬の念を持つ」でも「結びつける」でも、宗教の語源には必ず合理性を超えた要素が含まれるのです。
 そのような要素を持つ宗教と国家をどう結びつけていくのか。これは、たいへん難しい問題です。
 (中略)
 何かの施設をつくるという形で国家にできることはあまりないのではないか、と私は思います。だから、靖国神社に英霊がいると思う人は靖国神社に行けばいい。英霊がいないと思う人は行かなければいい。そういう多元的な形で、社会の中で解決していく問題ではないでしょうか。>

□池上彰・佐藤優・松岡正剛・碧海寿広・若松英輔『宗教と資本主義・国家 激動する世界と宗教』(KADOKAWA、2018)の「第Ⅰ部 対論」の「靖国問題。国が追悼施設をつくるべきではない」から一部引用

 【参考】
【佐藤優】「国家主義教」 ~宗教と資本主義・国家~
【佐藤優】出世教、学歴教、etc. ~宗教と資本主義・国家~
【佐藤優】お金という神さま ~宗教と資本主義・国家~
【佐藤優】人間の思考と魂の根底に迫る ~宗教と資本主義・国家~
【佐藤優】『宗教と資本主義・国家 激動する世界と宗教』の目次

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【南雲つぐみ】急な歯痛への対応 ~歯痛に効くツボ~

2018年03月19日 | 医療・保健・福祉・介護
 突然歯痛が起こり、かかりつけの歯科が休診の場合など、痛みを抑える応急措置を知っておくと便利だ。
 特に歯痛に効くツボ【注】として知られているのは、あごにある「下関(げかん)」「頬車(きょうしゃ)」と、手の歯痛点(しつうてん)の三つ。
 下関は、ほお骨の下のくぼみで、口を閉じた時くぼむところ。特に上の歯が痛い時は、口を閉じた状態で、指の腹でこの部分を円を描くようにして押しもむ。
 頬車は、あごのえらから1センチほど内側にあるくぼみで、歯をかみ締めると、ほおの肉が盛り上がる場所。下の歯の痛みには、この部分を口を軽く閉じた状態で、親指をゆっくり押してもむようにする。
 歯痛点は、手のひらの中指と薬指の付け根の間にある。親指と人さし指ではさむようにして、強めに押しもみをする。または、強く押してパッと離すという刺激を繰り返してもいい。これらのツボは抜歯の麻酔がさめた後の痛みを和らげるのにも有効とされている。
 これらはあくまでも応急措置なので、痛みが治まっても歯科受診をしよう。

 【注】
【南雲つぐみ】ツボで眠気覚まし ~太衡、井穴~
【南雲つぐみ】会合のツボ ~頭痛、歯痛、目の充血、耳鳴り、風邪のひき始めの喉~
【南雲つぐみ】頭痛にツボ押し ~疲れ、イライラの改善、ストレス解消~
【南雲つぐみ】目の疲れ取り ~目の負担を和らげるとされるツボ~
【南雲つぐみ】二日酔いへの対策 ~手のツボ~
【南雲つぐみ】肩凝りに肩井のツボ
【南雲つぐみ】WHOが認めた耳のツボ ~耳鳴りの東洋医学療法~

□南雲つぐみ(医学ライター)「急な歯痛への対応 ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年5月18日)を引用
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【佐藤優】「国家主義教」 ~宗教と資本主義・国家~

2018年03月19日 | ●佐藤優
 <気づいていない「宗教的なもの」には、「国家主義教」というのもあります。国家が宗教の機能を果たしている、ということです。
 1945年の8月15日までの約10ヵ月、日本では多くの若者が、特攻隊でアメリカの艦船に突っ込んでいきました。この行為などは、やはり国家という宗教に殉じる行為だったといえるでしょう。
 (中略)
 森友学園問題というものがありました。森友学園の元園長・籠池(かごいけ)さんに対して「幼稚園児に教育勅語を読ませるのはおかしい」云々という批判がありました。
 私はそのことよりも、もっと根源的な問題があると思っています。大意を述べると、神道教育の趣旨は「神道は宗教ではない」という教育を行うことだ、と彼はいっていました。私はここに強く引っ掛かると同時に、怖いな、と思ったのです。それは、この発言に対する批判がどこからも出なかったからです。
 戦前は、伊勢神宮にしても、氷川(ひかわ)神社や日枝(ひえ)神社にしても、「神社は宗教にあらず」といっていました。神社は宗教ではなく、日本国民(当時は臣民)の慣習だ、と。慣習だから、誰もがみな神社に行き二礼二拍一礼をしないといけない、神社が出す神札は取らないといけない、といわれた時代でした。
 つまり、国家が宗教を国民に押しつけるときは、必ず慣習という形で現れてきます。「宗教ではない」という形で、特定の宗教が国教になって現れてくるのです。だから、ことさら「宗教ではない」ということは、かえって宗教的意味合いが大きいことを逆説的に示してしまう。さらに、その言葉への批判がないというのは、かえって国教的な性格を補強してしまうという意味で、怖いのです。

□池上彰・佐藤優・松岡正剛・碧海寿広・若松英輔『宗教と資本主義・国家 激動する世界と宗教』(KADOKAWA、2018)の「第Ⅰ部 対論」の「「国家主義教」」から一部引用

 【参考】
【佐藤優】出世教、学歴教、etc. ~宗教と資本主義・国家~
【佐藤優】お金という神さま ~宗教と資本主義・国家~
【佐藤優】人間の思考と魂の根底に迫る ~宗教と資本主義・国家~
【佐藤優】『宗教と資本主義・国家 激動する世界と宗教』の目次

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする