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語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【南雲つぐみ】春の睡眠健康週間

2018年03月18日 | 医療・保健・福祉・介護
 (前略)3月18日は睡眠健康機構が定めた「すいみんの日」。3月11日から25日は、「春の睡眠健康週間」。全国で睡眠に関する市民講座やイベントなどが行われる。
 夜更かしや朝寝坊など、睡眠リズムにズレがあると、どうしても睡眠不足に陥ってしまう。この状況を改善するためには、夜早く寝るよりも朝早く起きるほうが効果が高いとされる。(後略)

□南雲つぐみ(医学ライター)「春暁 ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2018年3月18日)を引用

【南雲つぐみ】女性の睡眠不足と便秘

2018年03月18日 | 医療・保健・福祉・介護
 よく「人は1日の3分の1は眠っている」といわれる。1日8時間が理想の睡眠時間とされるが、実際にはもう少し短くても良いようだ。
 国立精神・神経医療研究センターの三島和夫医師(睡眠障害外来)らが多くの脳波測定から算出したデータによれば、8時間睡眠には根拠がないという。必要な睡眠時間は30代で6時間後半、40~50代が6時間前半と年々下回り、70代で6時間を切るようになる。1日の3分の1ではなく、4分の1を眠れば十分ということだ。
 一方で、特に女性においては、睡眠時間が非常に短い人や入眠障害や中途覚醒など、睡眠に障害のある人は便秘がちなことも分かっている。
 睡眠中に、胃や小腸はほぼ90分周期で活動し、消化しきれなかった食物のかすや腸内細菌の死骸などを大腸に送って便を作る。人間の便は夜に作られるのだ。朝食を取ると、空の胃に食べ物が入ることで大腸にも蠕動(ぜんどう)運動が起こり、便が押し出される。
 日中に強い眠気や疲労がなくても、治りにくい便秘【注】は睡眠不足の症状かもしれない。

 【注】「【南雲つぐみ】慢性便秘の悩み ~新しい薬~

□南雲つぐみ(医学ライター)「女性の睡眠不足と便秘 ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2018年3月14日)を引用

【佐藤優】出世教、学歴教、etc. ~宗教と資本主義・国家~

2018年03月18日 | ●佐藤優
 <拝金教だけではないですね。ほかにもわれわれの多くが信じている宗教として、例えば出世教があります。
 (中略)
 私が知るどの新聞社でも、若い頃に「生涯一記者でいたい」といっていた人でも、政治部長や国際部長への出世話が出たとき、断った人は一人も見たことがありません。
 私は外務省という会社にいましたが、ここなどは、もし課長を全員集めて「来月から給料を一割下げるが局長になりたい奴はいるか」と尋ねたら、全員手を挙げるでしょう。
 (中略)
 まだあります。お受験教や学歴教です。合理的に見て、志望大学のことだけを考えれば、大変な試験を受けていわゆる難関附属小学校や中学校、あるいは極端に偏差値の高い高校に入ってから一流私立大学に進むより、公立高校を出てその私立大学を受験するほうが、はるかに楽です。それでも、大変な競争になっても難関校の枠の中に入りたい、入ったら何かが違うと感じる人が大勢いるわけです。そうした競争がGDPを押し上げている側面は、あるにはあるわけですが。
 このような意味では、われわれの周辺にはあちらこちらに「宗教的なもの」が転がっています。ただし転がっているけれども、「宗教的なもの」だとは感じないようになっている、それこそが問題だと思います。

□池上彰・佐藤優・松岡正剛・碧海寿広・若松英輔『宗教と資本主義・国家 激動する世界と宗教』(KADOKAWA、2018)の「第Ⅰ部 対論」の「出世教、学歴教・・・・、周囲は「宗教的なもの」ばかり」から一部引用

 【参考】
【佐藤優】お金という神さま ~宗教と資本主義・国家~
【佐藤優】人間の思考と魂の根底に迫る ~宗教と資本主義・国家~
【佐藤優】『宗教と資本主義・国家 激動する世界と宗教』の目次

 

【南雲つぐみ】慢性便秘の悩み ~新しい薬~

2018年03月17日 | 医療・保健・福祉・介護
 便秘の悩みは、単に便が出ないことだけではない。「コロコロとした固い便は出るが、排便感がない」「便意はあるのに排便されない」「おなかの張りが気になり、仕事や趣味に集中できない」なども「排便困難」という便秘の一症状とされている。
 しかし、市販の便秘薬によく含まれるセンナ(センノイド)などは大腸を刺激して、ぜん動運動を促すため、強い腹痛や下痢が起こることもあるそうだ。
 「便秘ぐらいで病院に行くのは・・・・」とためらう人も多いようだが、各地の病院に便秘外来が増えている。
 また、新しい薬も登場している。「リナクロチド(商品名リンゼス)」は、内臓疾患がなく、腹痛を伴う慢性便秘(便秘型慢性過敏性腸症候群)の治療薬として、初めて健康保険が適用された。腸管粘膜に作用して便の水分量を調節し、便を排せつしやすくするもので、同時に腹痛を起こしにくくする。木下芳一医師(島根大学医学部内科学)は、「薬の作用が腸管粘膜に限定され、胃のムカムカなどが起きにくい」と話している。

□南雲つぐみ(医学ライター)「慢性便秘の悩み ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年5月22日)を引用

【佐藤優】お金という神さま ~宗教と資本主義・国家~

2018年03月17日 | ●佐藤優
 <今、マルクス経済学というと、「何? そんな古びたものを」と感じる人が多いでしょうが、私も池上さんも一応はマルクスの『資本論』に影響を受けた世代です。なおかつ、そこに書かれている資本についての理屈--お金の使い方についての理屈--は、それなりに説得力があると私は思っています。
 お金というのは、人間と人間の関係から生まれてくる。つまり何かを交換するときに物々交換では間に合わなくなったので、いったんお金に換えてからモノとモノを交換するようになった。しかし、モノがいつもお金に換わるわけではない。ところがお金があれば、いつもそれはモノに換わる。ここから、お金に力が生まれてしまう。さらにそのお金はお金自身をどんどん増やしていき、資本という形での運用が可能になる、といった理屈です。
 『資本論』には、うんと乱暴にいうと、そのようなことが書かれているわけです。革命のための論理を備えた本という側面も、確かに少しはありますが、どちらかといえば、『資本論』は資本主義がどのように機能しているかについて書かれた本なのです。
 (中略)
 日本社会では、特定の宗教を信じていない、あるいは自分は無神論者だ、無宗教だと積極的にいう人も多いと思います。ところが、もし誰も見ていない場所で、落ちている一万円札を見つけたらどうするでしょうか? これを拾ってそのままポケットに入れるとしたら、それはカネに力があると認めていることになるわけです。一万円札を一枚刷るのには、23~24円ほどしか掛かっていないはずです。冷静に考えれば、24円で一万円分の商品やサービスを買えるのはおかしいわけですが、その価値を信じているからこそ、黙って自分のものにするという行為が成り立ってしまう。
 これはつまり、みな実は拝金教という宗教を信じている、ということになります。
 ただ、私自身はあまり札の価値を信じていません。というのは、1991年1月にモスクワで、ある日突然、高額紙幣である50ルーブル、100ルーブルの流通が禁止されるという事態を目の当たりにしているからです。カネというのは、ある日を境に本当に価値がなくなることを実感したのです。>

□池上彰・佐藤優・松岡正剛・碧海寿広・若松英輔『宗教と資本主義・国家 激動する世界と宗教』(KADOKAWA、2018)の「第Ⅰ部 対論」の「お金という神さま」から一部引用

 【参考】
【佐藤優】人間の思考と魂の根底に迫る ~宗教と資本主義・国家~
【佐藤優】『宗教と資本主義・国家 激動する世界と宗教』の目次

 

【保健】片頭痛持ちは脳・心血管に注意 ~特に診断後の数年間は節制を要す~

2018年03月16日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)日本の片頭痛人口はおよそ840万人、1対3で女性に多い。発症年齢は男性20~30代、女性30~40代が最も多く、慢性的な片頭痛に悩む現役世代は少なくない。また、女性はホルモンの関係で10代の発症率が男性のおよそ3倍にもなる。10代の少女が「頭が痛い」としょっちゅう訴えるようなら、学業に支障がでる前に頭痛外来を受診するとよい。

 (2)現役世代の片頭痛持ちは、脳・心血管疾患に気をつけよう。
 デンマークのオーフス大学からの報告を参照すると「片頭痛持ちは、一般集団に比べて心筋梗塞や脳卒中になりやすい」のだ。
 調査は、全国規模の患者登録調査データを使い、デンマーク在住の片頭痛患者5万1,032例と一般集団51万320例を比較している。診断時の年齢は35歳(中央値)、男女比は3:7だった。追跡調査期間は19年間である。
 解析の結果、心筋梗塞の発生件数は1,000人あたり、片頭痛群25件、一般集団では17件で、脳血管が詰まって生じる脳梗塞はそれぞれ45件と25件、出血性脳卒中は11件と6件だった。
 補正したリスク比では、片頭痛群は一般集団よりもおよそ1.5倍心筋梗塞になりやすく、脳梗塞は2.3倍、出血性脳卒中はおよそ2倍と、それぞれ有意にリスクが高いことが判明している。
 特に片頭痛と診断後、早期の発症率が高く、診断後1年以内の脳梗塞の累積発症リスクは実に8.37倍、出血性の脳卒中は7.89倍にもなることが示された。

 (3)大きな疾患以外にも、静脈血栓塞栓症(いわゆるロングフライト症候群)や、心臓の上半分にあたる「心房」の筋肉が小刻みにけいれんし、血液をうまく送り出せない「心房細動」のリスクも上昇。心房細動は良性疾患だが、心房にたまった血液のよどみが血栓になり、脳動脈を詰まらせ致死的な「心原性脳塞栓症」を引き起こす。
 何にせよ、片頭痛持ちは男女を問わず、血圧・血糖・中性脂肪管理と禁煙、適度な運動を心がけよう。頭痛は、身体が発する注意報なのだ。

□井出ゆきえ(医学ライター)「片頭痛持ちは脳・心血管に注意/特に診断後の数年間は節制を ~カラダご医見番・ライフスタイル編 No.390~」(「週刊ダイヤモンド」2018年3月17日号)
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 【参考】
【保健】高い平熱は1年死亡リスクと関連? ~男性も基礎体温を測ってみよう~
【保健】急性虫垂炎の治療は手術か、薬か? ~外科医が選ぶのは~

【保健】シリコンバレーの贖罪? ~元役員らがネット依存警鐘団体~
【保健】花粉症シーズン始まる ~今年の飛散量は多いか、少ないか~
【保健】トマト2個で肺機能を守る ~「前」喫煙者にも効果~
【保健】ナッツを食べて心疾患を予防 ~1日30グラムのお手軽健康法~
【保健】ついに薬もIoT ~胃液センサーで服薬管理~
【保健】犬を飼うと長生きする ~特に、一人暮らしにお勧め~
【保健】何年禁煙したら帳消しになるか ~女性は11年、男性は~
【保健】食後の血糖値スパイク ~カーボ・ラストでまったり改善~
【保健】米砂糖業界の苦々しいお話 ~不利なデータを半世紀も隠蔽?~
【保健】対人過敏は早く老ける? ~遺伝子レベルに影響~
【保健】慢性便秘に「考える人」 ~全国1,000万人のお悩みに~
【保健】ストレスでがんリスク上昇 ~ただし、男性に限る~
【保健】死亡率が最大5倍超に ~がん代替療法の選択で~
【保健】認知症と性格の関係 ~責任感は予防的に働く~
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【保健】何を食べていましたか? ~認知良好な69~71歳の場合~
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【保健】歯周病と全身疾患との関係
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【保健】飲む抗癌剤で生存率改善へ ~膵臓癌の再発を抑制~
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【保健】ADHDに「ゲーム療法」?/2製品が臨床試験へ
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【保健】眼底検査で何がわかるか ~眼疾患だけではない~
【保健】弾性ストッキングが効果的 ~エコノミークラス症候群対策~
【保健】マインドフルネスで腰痛改善 ~認知行動療法と同じ効果~
【保健】歯磨きが心血管疾患を予防 ~毎食後で発症リスクを軽減~
【保健】ガン=生存時代の就労支援 ~治療と仕事の両立に指針~
【保健】糖尿病患者の降圧目標値 ~140mmHgでよい?~
【保健】睡眠不足でスナック菓子を渇望、体重増加 ~大麻並みの快楽
【保健】コーラ1缶で薬の吸収率がアップ ~抗癌剤の薬効~
【保健】その一言で妻の2型糖尿病リスクが減少 ~「先に寝ていて」~
【保健】先進国では認知症が減少? ~予防の鍵は生活習慣の改善~
【保健】生活設計は長期戦か短期決戦か ~癌の臓器別・病期別生存率~
【保健】イチゴとオレンジはEDに効く ~米国の研究報告~
【保健】高齢者の服薬適正化にGL ~容易な多剤併用に警鐘~
【保健】朝食抜きに脳卒中リスク 阪大など調査 大規模調査で1.18倍高
【保健】下剤は脳・心血管疾患リスク> ~背景にストレスや運動不足~
【保健】高脂肪食でシナプスが消失? ~動物実験~
【保健】2型糖尿病とフライド・ポテトとの関係 ~ポテトは煮物で~
【保健】世帯の所得と健康リスクの関係 ~食習慣と飲酒習慣~
【保健】抗がん剤の価格差は最大4倍以上 ~WHOの調査~
【保健】より危険な睡眠時無呼吸 ~脳・心疾患のリスク増~
【保健】初日の出の心身的効果 ~鬱対策は光を浴びて~
【保健】日本人肥満男性の食事と運動 ~糖尿病予防~
【保健】適性な「降圧目標値」 ~120未満で関連疾患が3割低下~
【保健】自由な裁量権でスリムに ~ストレスでメタボ~
【保健】目の老化には赤と緑と橙色 ~加齢黄斑変性症の予防~
【保健】早期発見のためにエコーと併用 ~乳がん検診~
【保健】骨折予防はカルシウムのほかに・・・・
【保健】前糖尿病患者は食習慣の改善を ~全国糖尿病週間~
【保健】糖質制限より脂質制限? ~体脂肪を減らす~
【保健】受動喫煙が歯周病リスクに ~ただし男性のみ~
【保健】貧乏ゆすりが命を救う? ~マナーより健康~
【保健】「高収入の勝ち組」の健康リスク? ~50歳以上の有害な飲酒~
【保健】照明用白色LEDのブルーライトは安全か?
【保健】目の愛護デー ~緑内障による失明を予防~
【保健】長時間労働は脳卒中リスク ~週41~48時間でも上昇~
【保健】ほぼ毎日食べると、死亡リスクが14%減少 ~唐辛子~
【保健】水族館でリラックス効果 ~血圧・心拍数に好影響~

【片山善博】安倍一強政権のもとで壊れゆくもの

2018年03月15日 | ●片山善博
 (1)第193回国会を通じて、財務省、文部科学省、内閣府などの官庁とそこの官僚に対する信頼が激しく揺らいだ。
 これらの府省の官僚たちの国会答弁には乱暴さが目立った。この官僚は一人前の大人だろうか、果たして正気か、質問者を舐めたり茶化したりしているのか・・・・こんな疑問を抱かせる場面がしばしば登場した。
 〈例〉森友学園に対する超安値での国有地払下げについて答弁する官僚は、「適切に処理した」と言い張るだけで、それを裏付ける証拠や資料を一切出そうとしない。資料は作成していない、あった資料も既に廃棄した旨を繰りかえしていた。
 この種の案件で、きちんと資料を整理し、保存しておかないわけがない。「この種の」というのは、不動産の売買のように後々まで尾を引くことが多い案件だ、ということだけでなく、政治がらみでもあるということだ。森友学園の経営者夫妻は、この問題が明るみに出るまでは総理夫人とことのほか親密な間柄だったのだから、関係官庁にしてみれば政治がらみそのものだ。
 財務省は、「適切に処理した」と言うなら、論より証拠、それがわかる資料をさっさと出せばよいのに、それを出さない。敢えて棄てたとまでいうのは、それ相応の事情があるのだろう。出すと自分の役所にとってまずいことになる、あるいは誰かを気遣って出すことが憚られるのか、と誰もが勘繰ることになる。

 (2)およそ政治や行政には説明責任が求められる。説明責任とは、自らが決めたことについては、国民や納税者の納得が得られるよう説明できる、ということだ。決めたことに疑義を抱く人がいたとしても、説明することによって、「なるほど」と了解してもらえばそれでよし。たとえ十全な了解は得られないにしても、「たしかに一理ある」というぐらいの理解は得られなければならない。
 このたびの国有地超安値払下げに係る財務省の国会答弁を説明責任という観点で見ると、まるでなっていない。
 なぜこんな安値で売ったのか、という質問に何も答えていない。適切に計算したことを納得してもらうには、その計算根拠となる資料を示さなければならないのに、それをまったく示していないからだ。説明責任の観点からは、答弁は失格だ。

 (3)不思議なのは、こうした失格答弁を、その場に居合わせている首相も直属の上司である財務大臣も他の閣僚たちも誰一人咎めようとしていないことだ。こんな失格答弁をする部下がいたら、その場でさっさと引き取り、自らが代わって答弁してしかるべきではないか。それは、当該部下だけにとどまらず、組織全体および組織のトップの見識と品格まで疑われかねないからだ。
 ところが、現政権は、説明責任を無視した官僚の失格答弁をそのまま受け入れている。ニヤニヤ笑いながら聞いている閣僚はいても、ムッとしたり、首を傾げたりしてその答弁に不快感や不満を示す閣僚はいない。この光景は国民だけでなく霞が関の各省の官僚もじっと見ている。

 (4)霞が関の官僚たちの持つ資質はよく語られる。権限への拘りや前例踏襲主義などの弊害が見られるとの指摘は、当たらずとも遠からず。ただ、それと裏腹の関係になるのだが、説明責任への拘りという正の資質があることはあまり指摘されてこなかった。
 久しい間、政府が決めることの多くは、国民の代表である政治家ではなく、実質的に官僚たちが決めてきた。善し悪しは別にして、これが官僚主導といわれる政治の流儀だった。ただ、官僚たちは単に実質的に決めるだけではなく、決めたことに対する説明責任も一手に引き受けさせられていた。
 そこで官僚たちは、後で自分たちが説明できないおそれのあることはできるだけ避けようとし、また新しいことに取り組むにしても何とかぎりぎり説明できる範囲に留めようとする。権限への拘りや前例踏襲主義はそんな官僚たちの心性と密接に関係している。裏を返せば、それだけ説明責任に拘りを持っているということでもある。

 (5)ところが今、国会の国有地超安値払下げ問題についての実に無責任で投げやりな答弁が罷り通っているのを見た各省の官僚たちは、「ははーん、これでいいんだな」と妙に得心したことだろう。
 これまではそうは言っても一応筋の通った答弁を心掛けていた各省の官僚たちも、今後は失格答弁で逃げることを敢えて辞さなくなるのではないか。

 (6)その後国会で取り上げられた加計学園問題でも、政治家だけでなく内閣府や文部科学省の官僚たちから不誠実な答弁が繰りかえされた。
 文部科学省に対して獣医学部設置をめぐってあれこれと働きかけをしたと指摘された内閣府の官僚は、「記憶にない」などと誠に不誠実な答弁をしていた。
 ひと昔前、政治家ならばともかく、官僚が「記憶にない」などと答弁することは決してなかった。今やさほど高位にあるわけでもない官僚がそんなふざけた答弁をするのを耳にするのは隔世の感がある。

 (7)ふざけた答弁には、こんな答弁もあった。文科省内から出てきたと思われる電子メールでの送信文の真偽が問題になっている時、その送信先として表記されていた名前の人物が省内に実在するのではないか、と問われた文科省の官僚は、「同姓同名の職員はいます」と、しれっと答えていた。
 人を小馬鹿にするのもいい加減にした方がいい。当人は野党議員の質問を少々おちょくったぐらいにしか考えていないのかもしれないが、勘違いも甚だしい。それは、国会とその国会の背後にいる国民を小馬鹿にし、おちょくっていることを意味するからだ。
 ここでも不思議なことに、こんなふざけた答弁を閣僚たちや与党議員たちが笑ってやり過ごした。
 おそらく彼らは、小憎らしい野党の追及を、官僚が小気味よくかわした、というぐらいの受け取り方なのだろうが、これまた甚だしい勘違いだ。たとえ野党議員に対してであれ、官僚が国民の代表である国会議員をおちょくったり、愚弄したりするようなことがあってはならないからだ。その場で笑って済まされたとは、国権の最高機関も随分軽い存在に成り下がったものだ。

 (8)このたびの国会の会期末近くに、参議院では共謀罪法案について委員会での審議と採決を飛ばして、一気に本会議で議決した。加計学園問題の幕引きを図りたかった、東京都議選を控えて会期の延長が憚られた、など、あれこれ事情の解説をする向きもあるが、これは参議院の自殺行為だ。
 衆参両院制のもとで、参議院は良識の府として身長真偽を心掛ける。衆議院とは違った観点から法案をチェックする。とりわけ行政監視機能が大切だ。参議院の機能や存在意義についてはかねてあれこれと説かれてきた。
 しかし、今回の一件からすると、もはや参議院は不要だ。これだけ国民の関心が高く、かつ、多くの国民が不安に思っている法案なのに、参議院は普段誇っているそれらの機能をすべてかなぐり捨てたからだ。もはや、参議院の存在意義などと言っても、誰も信用しないだろう。もし、憲法改正が具体化するなら、いの一番に参議院の廃止が検討されてしかるべきだ。
 安倍一強政権のもとで、霞が関のよい資質や国会の存在感が次々と毀損されている。

□片山善博(慶應義塾大学教授)「安倍一強政権のもとで壊れゆくもの ~日本を診る第93回~」(「世界」2017年8月号)
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 【参考】
【片山善博】図書館の可能性を考える
【片山善博】「東京大改革」とは何か ~小池知事への疑問~
【片山善博】「男子の本懐」を遂げるには ~浜口雄幸『随感録』~
【片山善博】古今の政治を“透徹”する ~マキャヴェッリ『ディスコルシ「ローマ史」論』~
【片山善博】小池都政を「一輪車」にしてはならない ~都議会の無責任を示す一例~
【片山善博】【豊洲】市場問題 ~都議会のなすべきこと~
【片山善博】今も変わらぬ社会の病理 ~福翁自伝~
【片山善博】都議会改革は都庁改革 ~都の政策に責任を持つのは誰か~
【片山善博】情報公開が首長を守る ~舛添都知事辞任の教訓~
【片山善博】大切なことに時間を使う ~セネカ『人生の短さについて』~
【片山善博】二度も続いた東京都知事の失脚-その教訓を都政の改革に生かす
【片山善博】参議院選、鳥取島根ほかの「今回の合区は憲法違反」
【片山善博】教育、図書館、議会の力 ~カーネギー自伝~
【片山善博】らの鼎談 違法性がなくても知事の適性がない ~舛添は日本の恥(2)~
【片山善博】&増田寛也&上脇博之 舛添知事は日本の恥だ ~辞任勧告~
【片山善博】舛添都知事問題は自治システム改善の教材
【社会】防災体制の点検、真剣に ~平素の備えが大切~
【片山善博】口利き政治の弊害と政治家本来の役割
【片山善博】選挙権年齢引下げと主権者教育のあり方
【片山善博】TPPから見える日本政治の悪弊 ~説明責任の欠如~
【片山善博】政権与党内の議論のまやかし ~消費税軽減税率論議~
【経済】今導入すると格差が拡大する ~外形課税=赤字法人課税~
【片山善博】【沖縄】辺野古審査請求から見えてくる国のモラルハザード
【片山善博】川内原発再稼働への知事の「同意」を診る
【片山善博】違憲と不信で立ち枯れ ~安保法案~
【片山善博】【五輪】新国立競技場をめぐるドタバタ ~舛添知事にも落とし穴~
【片山善博】「ベトナム反中国暴動」報道への違和感
【片山善博】文部科学省の愚と憲法違反 ~竹富町教科書問題~
【片山善博】都知事選に見る政党の無責任 ~候補者の「品質管理」~
【片山善博】JR北海道の安全管理と道州制特区
【政治】地方議会における口利き政治の弊害 ~民主主義の空洞化(3)~
【政治】住民の声を聞こうとしない地方議会 ~民主主義の空洞化(2)~
【政治】福島県民を愚弄する国会 ~民主主義の空洞化(1)~
【社会】教育委員は何をなすべきか ~民意を汲みとる~
【社会】教育委員会は壊すより立て直す方が賢明
【社会】「教員駆け込み退職」と地方自治の不具合
【政治】何事も学ばず、何事も忘れない自民党 ~公共事業~



【佐藤優】人間の思考と魂の根底に迫る ~宗教と資本主義・国家~

2018年03月15日 | ●佐藤優
 <人間の思考において理性が中心的な地位を占めるようになった啓蒙主義の時代以降、「宗教は時代遅れになった。人間は宗教なしに生きていくことができる」というようなことが何度もいわれた。しかし、その後も宗教はしぶとく生き残っている。これは過渡的現象で宗教はいずれ死滅するのか、あるいは、人類の文明、科学技術がいくら発達しても宗教は残るのであろうか。このような基本的問題について、根源的に考えてみたい。
 近過去の歴史を振り返ってみよう。科学的無神論を掲げたソ連も、世俗化された形態で終末論的希望を保全していた。ナチズムの世界観の背後にもドイツ・プロテスタンティズムの影響があった。宗教には、宗教を否定する人々の思考の枠組みですらつくる特別な力がある。東西冷戦が終結し、アトム(原子)的人間観を基礎とする新自由主義が地球的規模で広がっても、宗教は解体されない。
 宗教が絡んだ問題が、世界の現実に対して無視できない影響を及ぼしている。例えば国際テロリズムだ。プレモダンな表象を掲げつつも、サイバー空間を最大限に活用して地球規模での混乱を引き起こしている過激派「イスラム国」(IS)の内在的論理を理解するためにも宗教に関する知識が不可欠だ。
 自然科学と宗教の関係も古くて新しいテーマだ。遺伝子組み換え、再生医療、AI(人工知能)が提起する問題も宗教と深く関係している。
 われわれが生きている世界には、三つのパラダイムが並存している。自由、民主主義、市場経済、啓蒙的理性などわれわれが親しんでいるモダン(近代)とともに、イスラム原理主義者のようにプレモダンな価値を重視する人々、また国家や民族の枠組み、制度化された知の枠組みを超克するポストモダンな思考をする人々がいる。宗教は、モダン、プレモダン、ポストモダンのすべての状況に適応する力を持っている。それだから宗教についての理解を深めることが、複雑な世界を解釈する上でとても役に立つ。
 世界の理解だけでなく、われわれ一人一人の生き方においても、宗教に関する知識は重要だ。その大きな理由は、人間は、例外なく、死ぬからだ。死んだ世界から帰還した人はいない。それだから、死について考えるときには、どうしても啓蒙的理性の外側に出なくてはならない。これも宗教が得意とする領域だ。
 今回のシンポジウムで私は「二時間でわかる宗教」というような即効性のある話はしない。すぐには役に立たないが、しかし、人間の思考と魂の根底に迫るテーマについて語ろうと思っている。このシンポジウムに参加された皆さんに、二十年後にも私たちが話したことを覚えていてもらえる内容にするための努力をしたい。> 

□池上彰・佐藤優・松岡正剛・碧海寿広・若松英輔『宗教と資本主義・国家 激動する世界と宗教』(KADOKAWA、2018)の「開会の辞」の「人間の思考と魂の根底に迫る」を引用

 【参考】
【佐藤優】『宗教と資本主義・国家 激動する世界と宗教』の目次
 

【佐藤優】『宗教と資本主義・国家 激動する世界と宗教』の目次

2018年03月14日 | ●佐藤優
 

 開会の辞
  宗教の正体に迫りたい・・・・松岡正剛(せいごう)
  いま宗教とは・・・・池上彰
  人間の思考と魂の根底に迫る・・・・佐藤優
  人間中心ではなく、見えないものへの多層的視座をもつこと・・・・若松英輔(えいすけ)
  近代仏教からマインドフルネスへ・・・・碧海寿広(おおみ・としひろ)

 第Ⅰ部 対論
  宗教は資本主義を超えられるか・・・・池上彰・佐藤優

 第Ⅱ部
  近代日本における霊性の系譜・・・・若松英輔
  日本の近代仏教を紐解くと中世より面白い・・・・碧海寿広

 第Ⅲ部
  現代社会で宗教を考えることが困難な理由・・・・松岡正剛
  パネルディスカッション・・・・松岡正剛・池上彰・若松英輔・碧海寿広・佐藤優

 おわりに・・・・佐藤優

□池上彰・佐藤優・松岡正剛・碧海寿広・若松英輔『宗教と資本主義・国家 激動する世界と宗教』(KADOKAWA、2018)

【南雲つぐみ】目で見て分かる病気 ~フランク徴候、黄色腫~

2018年03月14日 | 医療・保健・福祉・介護
 「フランク徴候」と呼ばれるしわがある。これは、耳たぶに斜めにできる深いしわのことだ。心筋梗塞や狭心症、脳卒中など、冠動脈の病気のサインとされ、特に60歳までの中高年世代での動脈硬化の診断の補助に使われる。
 耳たぶには、毛細血管が多く通っている。動脈硬化が進むと血行が悪くなり、細部に栄養が行き届きにくくなると耳の脂肪部分が縮んでしわになると考えられている。
 こうした見た目に現れる変化は、医療現場でも活用されている。例えば、貧血が疑われるとき、下のまぶたをめくって診断することがある。手や指、顔が白っぽいのも、貧血気味のサインだという。
 皮膚の脂肪の塊が小さく盛り上がる「黄色腫」は、高脂肪血症のサインとされている。コレステロールが高い状態が長く続いたために、余分な脂肪が皮膚にこびりついてできるという。ひじやまぶたにでき、ダヴィンチの名画「モナ・リザ」の左目のまぶたのふちにある小さいしこりも、黄色腫だといわれる。

□南雲つぐみ(医学ライター)「目で見て分かる病気 ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2018年3月12日)を引用

【時事】報道の自由を守るのは報道しかない ~ペンタゴン・ペーパーズ~

2018年03月13日 | 社会
 真珠湾攻撃から1年たった1942年、「大本営記者日記」という本が出版された。
 筆者は軍国日本の司令塔を取材していた記者。大本営報道部課長(海軍大佐)の推薦の辞も掲載されている。
 「帝国海軍の作戦に関して正確なる報道と詳細なる解説を以(も)って、(中略)思想戦宣伝戦の第一線に日夜奮闘しているのは(中略)新聞記者諸君である」
 言論や報道の自由が圧殺されていた時代。軍人たちはメディアの役割を「思想戦宣伝戦」と位置付け、「帝国海軍の作戦に関して正確なる報道と詳細なる解説」が新聞の任務だと断じた。
 日本側の決定的な敗北に終わった同年6月のミッドウェー海戦も、大本営は「勝利」と発表した。新聞が翌日の朝刊で「正確なる報道」により「思想戦宣伝戦」に貢献したのは言うまでもない。

◇政府と戦い勝利
 古本屋で知人が見つけたこの本のことを思い出したのは、間もなく全国各地で公開される映画「ペンタゴン・ペーパーズ」の試写を見たからだ。
 71年、ベトナム戦争に関する秘密報告書の掲載をめぐり、ワシントン・ポスト紙は米政府との間で法廷闘争に入り、最終的に最高裁で勝利判決を得る。
 米メディア史に残る有名な事件を題材にした映画。主役の一人は当時ポスト紙編集主幹だったベン・ブラッドレー氏だ。ニクソン大統領を辞任に追いこんだウォーターゲート事件でも取材指揮を執った著名人で、93歳で亡くなるまで積極的な発言を続けた。
 ペンタゴン・ペーパーズの時も、「国防上重大な損害を与える」と主張する政府と真っ正面から戦う氏の姿が、同僚たちを奮い立たせる。映画の中ではこんなせりふも。
 「政府の顔色を見ろというなら、ポスト紙はもう消滅したも同じだ」
 戦前の日本でも、メディアはいきなり「思想戦宣伝戦」の先兵に堕したわけではなく、さまざまな歴史的事実の積み重ねがあった。しかし、多くの新聞人が軍部の顔色を見て行動したため、最終的にジャーナリズムは消滅してしまった。

◇「報道守るは報道」
 現在の米国ではトランプ大統領が都合の悪い報道を「フェイク(偽の)ニュース」とののしり続けている。メディアは打撃を受けているか。
 最近日本で「権力者とメディアが対立する時代」という本を出版した前ニューヨーク・タイムズ東京支局長のマーチン・ファクラー氏にメールで話を聞いたら、こんな答えが返ってきた。
 「トランプ大統領の出現は良質なジャーナリズムを発表報道から調査報道へと向かわせている。そして読者もそれを歓迎している。調査報道は意見ではなく、ファクト(事実)に基づくからだ。
 たしかに米各紙は、独自の取材でトランプ政権内部に隠されたさまざまな事実をスクープし続けている。
 これだと思う。
 日本でも今年に入って、ある保守系紙の偏見に満ちた報道が地元紙によるファクトに基づく検証でひっくり返されたし、森友学園問題で政府の重大な隠蔽工作の可能性を引きずり出してきたのもある全国紙だった。
 映画の中でブラッドレー氏はこう言う。
 「報道の自由を守るのは、報道しかない」
 首相が国会答弁で特定の新聞社名を挙げて批判する時代だ。ファクト重視の報道で対抗していかねば、向かう先は大本営の言うような「思想戦宣伝戦」のお先棒担ぎだろう。
 映画を見ながら、改めてそう思った。 

□軽部謙介(時事通信解説委員)「ペンタゴン・ペーパーズ ~炉辺解説~」(「日本海新聞」 2018年3月12日)を引用
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【佐藤優】よりましなポピュリスト、「普通の人」が豹変するストーカー、規格外のトランプ米大統領

2018年03月12日 | ●佐藤優
 ①筒井清忠『戦前日本のポピュリズム』(中公新書 920円)
 ②小早川明子『ストーカー 「普通の人」がなぜ豹変するのか』(中公新書ラクレ 800円)
 ③マイケル・ウォルフ(関根光宏、藤田美菜子、ほか・訳)『炎と怒り トランプ政権の内幕』(早川書房 1,800円)

 (1)①によれば、ポピュリズムが普通選挙後の日本政治における主流であった。
 <政党政治は、議院内閣制においては、政党が政策を実現するために、議会における多数の獲得を目指し、政策を選挙民に訴えつつ、反対党と政争を行う政治である。それは政策を実現するために他派と不可避的に闘争・競争・合従連衡などを行う。ところが、日本社会ではこれらをすべて「党利党略」として忌避し、批判する傾向が強い。これは、「徒党」を組むことを禁じ、競争を嫌った江戸時代以来の政治文化に由来する面もあるが、明らかに普選期政党政治への批判から現れた近衛的な昭和十年代型ポピュリズムの生み出したものと言えよう。
 「出たい人より出したい人」とは大政翼賛会の選挙のスローガンであったが、今日でも無党派層的なものの希求にはこうした傾向が強い>
 現下の日本政治では、よりましなポピュリストを選ぶしか選択肢がないのかもしれない。

 (2)②は、著者自身がストーカー被害に苦しみ、その後、この問題に具体的に取り組んでいるだけあって、説得力に富んだ内容になっている。
 <たとえストーカーを取り締まっても、内面までは取り締まれません。ストーカーが被害者にとって有害な思考と感情を持ったままでは問題は解消したとは言えません。警告や禁止命令を出されたり、逮捕されたりした加害者には、必ず、心を方向転換させることが必要です。そのためには、常識が受け入れられることを意図した会話(認知療法)ができ、内面にもともとある問題性にも着眼し(心理療法)、衝動性を制御する指導(行動療法)にも前向きに取り組む相談員との出会いが必要です>
 取り締まりだけではストーカー対策にならないのである。

 (3)③によれば、トランプ米大統領がいかに規格外の人間であるかが分かる。
 <トランプ政権のスタッフは全員、基本的に「これはうまくいく。我々が手を貸せばきっとできる」という意識を共有しているはずだった。ところが、まだ任期一年目の四分の三しか過ぎていない段階で、トランプ陣営の幹部でこの言葉をいまだに確信している者など一人もいなかった。最近では上級スタッフの多くが、トランプ政権の一員でいて唯一よいことといえば、「さらに悪いことが起こるのを防ぐ」ことにあると信じているぐらいだ>
 この記述には説得力がある。こういう大統領を生み出す米国政治の病理がよく分かる。日本政府もトランプ政権とは距離を置いた方が、中長期的な日米同盟の深化にかなうと思う。

□佐藤優「よりましなポピュリスト ~知を磨く読書 第239回~」(「週刊ダイヤモンド」2018年3月17日号)
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 【参考】
【佐藤優】人工知能は意味をまったく理解できない/数学者が説く「シンギュラリティ」の不可能
【佐藤優】トップリーダーの孤独、紛争地域や犯罪組織への武器拡散、精神科医と諜報工作員の共通点
【佐藤優】混乱する現代との類似性 ~『応仁の乱』~
【佐藤優】自死した保守派論客の思想の根源 ~『保守の真髄』~
【佐藤優】「当事者にとって」と「学理的反省者として」の二重の視座 ~『世界の共同主観的存在構造』~
【佐藤優】テロ対策に関する世界最高レベルの教科書、宇野弘蔵の経済学を取り入れたユニークな社会学演習書、シンギュラリティ神話の脱構築
【佐藤優】憲法改正は見せ球に終わるか
【佐藤優】日本と米国の社会病理
【佐藤優】消費者金融のインテリジェンス
【佐藤優】官僚を信用していない国民
【佐藤優】中国が台頭しつづけたら、仏教の末法思想と百王説、時計の歴史
【佐藤優】子どもや孫の世代への重荷
【佐藤優】日本のレアルポリティーク
【佐藤優】巨大さを追求する近代的思考
【佐藤優】アナキズムという思考実験
【佐藤優】AIとの付き合い方を知る手引、宗教と国体論の危険な関係、若手官僚の思想の底の浅さ」
【佐藤優】伊藤博文の天皇観と合理主義、歴史の戦略的奇襲から得る教訓、「知の巨人」井筒俊彦
【佐藤優】教育費の財源問題で政局化か
【佐藤優】ホワイトカラーの労働者化
【佐藤優】指導者たちの内在的論理を知る
【佐藤優】世界規模のポストモダン現象
【佐藤優】宗教改革の物語 ~近代、民族、国家の起源~
【佐藤優】カネとの付き合い方の秘訣、野外で生きる雑種ネコの魅力、前科者に冷たい日本社会
【佐藤優】着目すべき北極海の重要性、日本の政治文化に構造的に組み込まれている「甘え」、文明論と地政学を踏まえた時局評論
【佐藤優】リーダーが知るべき文明観、資本主義後の社会構想、刑務所暮らし経験者の本音
【佐藤優】地図から浮かぶ歴史のリアル、平成不況は金融政策のミス、実証的データに基づく貧困対策
【佐藤優】ケータイによる日本語の乱れ、翻訳の技術、ロシア人の内在的論理
【佐藤優】武蔵中高の教育、ルター宗教改革の根幹、獣医師にもっと競争原理を導入
【佐藤優】社会に活力をもたらす政策、具体的生活の上に立つ民族国家、開発至上主義が破壊する永久凍土の生態系
【佐藤優】日本のフリーメイソン陰謀論、ユニークな働き方改革、自衛隊元陸将によるリーダーシップ論
【佐藤優】ハプスブルク帝国史の「もし」、最新の進化論、神童の軌跡
【佐藤優】知識を本当に身に付けるには、テロ戦争におけるドローンの重要な役割、帰宅恐怖症
【佐藤優】北朝鮮との緊張の高まりに対して必要な姿勢、時間管理と量子力学、時間がかかるのは損
【佐藤優】川喜田二郎『発想法』 ~総合的思考と英国経験論哲学~
【佐藤優】日本の思想状況の貧しさ、頑丈にできている戦闘機、東方正教会に関する概説書
【佐藤優】資本主義の根底にある「勤勉さ」という美徳の淵源 ~『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』~
【佐藤優】手ごわいフェイクニュース、国を動かす政治エリートの意志、欧州内部における紛争
【佐藤優】×奥野長衛『JAに何ができるのか』
【佐藤優】『戦争論』をビジネスに活かす、現実社会の悪と闘う、ロシア人の意識と使命感
【佐藤優】面白い数学啓発書、日本人の思考の鋳型、攻める農業への転換
【佐藤優】総合的思考と英国経験論哲学(2) ~川喜田二郎『発想法』~
【佐藤優】総合的思考と英国経験論哲学 ~川喜田二郎『発想法』~
【佐藤優】保守論客が見た明治憲法、軍事産業にシフトしていく電機メーカー、安全と安心を強化する過程に入り込む犯罪者
【佐藤優】就活におけるネット社会の落とし穴、裁判官の資質、象徴天皇制と生前退位問題
【佐藤優】痛みを無視しない、前大戦で「前線」と「銃後」の区別がなくなった、情報を扱う仕事の最大の武器
【佐藤優】海上権力を維持するために必要な要素 ~イギリスの興亡の歴史を通して~
【佐藤優】女性の貧困を追跡したノンフィクション、師弟関係こそ教育の神髄、イランは国際基準から逸脱した国
【佐藤優】2000年の時を経て今なお変わらないインテリジェンスの「真髄」 ~孫子~
【佐藤優】財政から読みとく日本社会、ラジオの魅力、高校レベルの基礎の大切さ
【佐藤優】嫌韓本と一線を画す韓国ルポ、セカンドパートナーの実態、日本人の死生観
【佐藤優】人間にとって「影」とは何か ~シャミッソー『影をなくした男』~
【佐藤優】文部省の歴史と現状、経済実務家のロシア情勢分析、中国の対日観
【佐藤優】学習効果が上がる「入門書」、応用地政学で見る日本、権力による輿論のコントロールを脱構築
【佐藤優】大川周明『復興亜細亜の諸問題』 ~イスラーム世界のルール~
【佐藤優】女性と話すのが怖くなる本、ネット情報から真実をつかみ取る技法、ソ連とロシアに共通する民族問題
【佐藤優】ヨーロッパ宗教改革の本質、相手にわかるように説明するトレーニング、ロシア・エリートの欧米観
【佐藤優】なぜ神父は独身で牧師は結婚できるのか? 500周年の「革命」を知る ~マルティン・ルター『キリスト者の自由』~
【佐藤優】政界汚職を描いた古典 ~石川達三『金環蝕』~
【佐藤優】生きた経済の教科書、バチカンというインテリジェンス機関、正しかった「型」の教育
【佐藤優】誰かを袋だたきにしたい欲望、正統派の書評家・武田鉄矢、追い込まれつつある正社員
【佐藤優】発達障害とどう向き合うか、アドルノ哲学の知的刺激、インターネットと「情報犯罪」
【佐藤優】後醍醐天皇の力の源 「異形の輩」とは--日本の暗部を突く思考
【佐藤優】実用的な会話術、ユーラシア地域の通史、宇宙ロケットを生んだ珍妙な思想
【佐藤優】キブ・アンド・テイクが成功の秘訣、キリスト教文化圏の悪と悪魔、理系・文系の区別を捨てよ
【佐藤優】企業インテリジェンス小説 ~梶山季之『黒の試走車』~
【佐藤優】中東複合危機、金正恩の行動を読み解く鍵、「型破り」は「型」を踏まえて
【佐藤優】後世に名を残す村上春樹新作、気象災害対策の基本書、神学の処世術的応用
【佐藤優】地学の魅力、自分の頭で徹底的に考える、高等教育と短期の利潤追求
【佐藤優】日本人の特徴的な行動 ~日本礼賛ではない『ジャパン・アズ・ナンバーワン』~
【佐藤優】知を扱う基本的技法、ソ連人はあまり読まなかった『資本論』、自由に耐えるたくましさ
【佐藤優】後知恵上手が出世する? ~ビジネスに役立つ「哲学の巨人」読解法~
【佐藤優】トランプ政権の安保政策、「生きた言葉」という虚妄、キリスト教の開祖パウロ
【佐藤優】「暴君」のような上司のホンネとは? ~メロスのビジネス心理学~
【佐藤優】物まね芸人とスパイの共通点、新版太平記の完成、対戦型AIの原理
【佐藤優】トランプ側近が考える「恐怖のシナリオ」 ~日本も敵になる?~
【佐藤優】弱まる日本社会の知力、実践的ディベート術、受けるより与えるほうが幸い
【佐藤優】トランプの「会話力」を知る ~ワシントンポスト取材班『トランプ』~
【佐藤優】「不可能の可能性」に挑む、言語の果たす役割の大きさ、NYタイムズ紙コラムニストの人生論
【佐藤優】人生は実家の収入ですべて決まる? ~「下流」を脱する方法~
【佐藤優】ソ連崩壊後の労働者福祉軽視、現代も強い力を持つ観念論、孤独死予備軍と宗教
【佐藤優】米国のキリスト教的価値観、サイバー戦争論、日本会議
【佐藤優】『失敗の本質』/日本型組織の長所と短所
【佐藤優】世界を知る「最重要書物」 ~クラウゼヴィッツ『戦争論』~
【佐藤優】現代ロシアに関する教科書、ネコ問題はヒト問題、トランプ氏の顧問が見る中国
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【佐藤優】国際人になるための教科書、ストレスが人間を強くする、日本に易姓革命はない
【佐藤優】ロシアでも愛された知識人の必読書 ~安部公房『砂の女』~
【佐藤優】トランプ当選予言の根拠、猫の絵本の哲学、人間関係で認知症を予防
【佐藤優】モンロー主義とトランプ次期大統領、官僚は二流の社会学者、プロのスパイの手口
【佐藤優】トランプを包括的に扱う好著、現代日本外交史、独自の民間外交
【佐藤優】デモや抗議活動のサブカルチャー化、グローバル化に対する反発を日露が共有、グローバル化に対する反発が国家機能を強化
【佐藤優】国際社会で日本が生き抜く条件、ルネサンスを準備したもの、理系情報の伝え方
【佐藤優】人生を豊かにする本、猫も人もカロリー過剰、度外れなロシア的天性
【佐藤優】テロリズム思想の変遷を学ぶ ~沢木耕太郎『テロルの決算』~
【佐藤優】住所格差と人生格差、人材育成で企業復活、教科書レベルの知識が必要
【佐藤優】数学嫌いのための数学入門、西欧的思考にわかりやすい浄土思想解釈、非共産主義的なロシア帝国
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【佐藤優】訳・解説『貧乏物語 現代語訳』の目次
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【佐藤優】第三次世界大戦の可能性、現代東欧文学、世界連鎖暴落
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【佐藤優】著名神学者のもう一つの顔 ~パウル・ティリヒ~
【佐藤優】総理が靖国参拝する理由、NPO活動の哲学やノウハウ、テロ対策の必読書
【佐藤優】今後、起こりうる財政破綻 ~対応策を学ぶ~
【佐藤優】社会の価値観、退行する社会
【佐藤優】夫婦の微妙な関係、安倍政権の内在的論理、警察捜査の正体
【佐藤優】情緒ではなく合理と実証で ~社会の再構築~
【佐藤優】中曽根康弘、21世紀の資本主義分析、北樺太の石油開発
【佐藤優】日本人の思考の鋳型、死刑問題、キリスト教と政治
【佐藤優】中国株式市場の怪しさ、イノベーションの障害、ホラー映画の心理学
【佐藤優】普天間基地移設問題の本質、外務省犯罪黒書、老後に快走!
【佐藤優】シリア難民が日本へ ~ハナ・アーレント『全体主義の起源』~

【知覚】の現象学 ポール・セザンヌ「風景」、1879年頃 ~ビュールレ・コレクション~

2018年03月11日 | 批評・思想
 <現象学はバルザックの作品、プルーストの作品、ヴァレリーの作品、あるいはセザンヌの作品とおなじように、不断の辛苦である--おなじ種類の注意と驚異をもって、おなじような意識の厳密さをもって、世界や歴史の意味の生まれ出づる状態において捉えようとするおなじ意志によって。こうした関係のもとで、現象学は現代思想の努力と合流するのである。>

□モーリス・メルロー=ポンティ(竹内芳郎、小木貞孝訳)『知覚の現象学』(みすず書房、1967)の「序文」の末尾を引用
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【南雲つぐみ】胸が痛いとき ~最初に心臓疾患のチェック~

2018年03月11日 | 医療・保健・福祉・介護
 「胸のあたりが苦しい」「心臓をぐっとつかまれているような痛みがある」・・・・。こんな症状があったときに、どの科を受診したらいいのだろう。胸部には心臓、肺、食道、胃、咽頭、大動脈、骨などのいろいろな器官があるが、気になるのは心臓だ。
 狭心症や心筋梗塞など、心臓に酸素を送り込む血管が細くなったり、詰まったりする症状があれば、生命にもかかわる。
 ある循環器専門医は、「『胸が痛い』との訴えで来院する人の多くは、逆流性食道炎など消化器の病気によるものだ」という。一方で、最初に心臓疾患ではないことをしっかり調べておくことが重要だという。なぜなら、きちんとした検査をしないまま、内科で狭心症の発作を抑えるニトログリセリンを処方されている場合があるからだ。すると、「やめると発作が起きるのでは」という不安から、ニトログリセリンが手放せなくなってしまう。もともと必要ではない薬を、長期間服用することになりかねないというのだ。

□南雲つぐみ(医学ライター)「胸が痛いとき ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年9月7日)を引用
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【南雲つぐみ】つまずかない工夫 ~転倒は住宅内で7割~

2018年03月10日 | 医療・保健・福祉・介護
 転倒など不慮の事故が起こる場所は、住宅内が7割以上という。65歳以上の高齢者では、それ未満の人よりも住宅内の事故発生が多い。
 内閣府「高齢社会白書」(平成28年)によれば、高齢者の不慮の事故の発生場所は、「居室」45%、「階段」18.7%、「台所・食堂」17%となっている。
 玄関やキッチンでのマットは、つまずきの原因になるので使用の際は気を付けてほしい。マットは、小さな子どもが走り回っても滑りやすいので、使用する際は最新の注意を払おう。
 カーペットなど大きな敷物は、両面テープやピンなどを使って固定しておこう。
 つまずかない対策として廊下と居室の多少の段差をスロープにできる「段差スロープ」や「段差マット」が市販されている。1.5センチメートルの段差から対応できるそうだ。
 階段はすべりやすいだけでなく、足元が見えにくいことも転落の原因になる。手すりはもちろん、目立つ色のすべり止めを貼ったり、足元を照らす照明をつけたりするのも事故の予防になる。

□南雲つぐみ(医学ライター)「つまずかない工夫 ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2018年3月5日)を引用
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