五月の風に、シイ・樫・くすのきなど常緑樹の葉も
世代交代ではらりはらはらと落ちる。
家の前に重なりたるそれらは、裏庭に集めて
虫の隠れ場、保湿、肥料として放ってある。
裏庭ときけば、北側が多く 蔭に湿っている印象があるが
塀をへだてた隣家は、コンクリートのみの乾いた庭だもんで
裏庭のそのまた裏には、生き物が逃げ込む居場所はない。
棲み家の環境に異変があっても、周りに代わりとなる居場所と
逃げ道があれば、生き物はむざむざ死に絶えはしない。
そのためにも、生き物の居場所スペースを残した庭が
近所にせめて点在し、舗装のない細道さえあればよいのだが
ハウスメーカーは、そんな人情は持ち併せていないだろう。
現代の住宅は、昔なら死ぬほどではなかった
火災や地震でも命を落とす。
有害な煙を吸って倒れ、打ちぱなしのもろいコンクリートで生き埋め。
そういう直接の事変がなくても、有害化学物質や
水分の多いコンクリートからくる冷えや湿氣で命は縮まりやすい。
家は、直接大工や建築士と協同して、自ら中心となって
建てるべきだ。
通常の2階建ての全経費は1坪あたり25万円で足りるところが、
メーカーの建て売りはその3倍で売られ、
言うまでもなく本来の心身に優しい機能性に欠き、
長持ちもしない。短期で組み立てるプラモデル。
極端にいえば、6月~10月までは
地元の杉を組んで竹で編んでヨシを葺いた
手作りの家に住み、
残りの寒い季節は周りにフェルトを巻いて
モンゴルのゲルのようにして住んだほうが
よほど心身に優しいだろう。
ただ、羊を飼うと生態系が壊れそうなので
毛のフェルトではなく土に藁をまぜて納豆菌でねばねばにして
土壁を塗ったらいい。
昔に戻るつもりがなくても、理想を煮詰めると
竪穴住居、高床倉庫に落ち着いてしまうものなのか。
話は変わり、昨日出かける前に
うちの手作りパンをひとかけ食べたら、ぐんと元氣に充ちた。
食べ応えはしっかりしているが、胸元から
全身にすうと広がって
これがまさしく、歩き、背負い、思考する
エネルギーに直結する、
糧(かて)と呼ぶにふさわしい、宝のパンだ。
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