漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「矞イツ」<矛を台座に立てる>と「鷸イツ」「橘キツ」「譎ケツ」

2015年01月06日 | 漢字の音符
 イツ・キツ・ケツ  矛部

解字 「矛(ほこ)+冏ケイ(穴のある台座)」の会意。台座の穴に矛を立てて武威を示した形[字統]。武威を示すことをいう。
意味 (1)ただす。 (2)おそれおののく。

イメージ 
 「矛を立てて武威を示す」
(譎・鷸・橘)
音の変化  イツ:鷸  キツ:橘  ケツ:譎

矛を立てて武威を示す
 ケツ・キツ・いつわる  言部
解字 「言(いう)+矞(武威を示す)」の会意形声。相手に武威を見せつけて作りごとを言うこと。
意味 (1)いつわる(譎る)。あざむく。「譎詐ケッサ」(いつわりあざむく=譎詭ケッキ)「奸譎カンケツ」(わるがしこく、いつわりが多いこと) (2)あやしい。「譎怪ケッカイ」(譎も怪もあやしい意)
 イツ・しぎ  鳥部

シギ科の水鳥(大杓鷸)
解字 「鳥(とり)+矞(矛を立てる)」の会意形声。矛のような長いくちばしを持つ鳥。
意味 しぎ(鷸)。鴫とも書く。シギ科の鳥の総称。くちばしや脚が長く、水辺にすみ、水棲の小動物を餌にする。「鷸蚌イツボウの争い」(シギと蚌どぶがいが争い漁夫が利を占める話)
 キツ・たちばな  木部  

橘たちばな(「季節の花300」より)
解字 「木(き)+矞(矛を立てる=トゲがある)」の形声。広い意味での橘は、枝にトゲをもち葉に芳香があるのが特徴の低木をさす。柑橘属(ミカン(橘子)・レモン・ユズ)・金橘属(キンカン)・枸橘からたち属(=枳殻。カラタチ)の3属があるが、多かれ少なかれトゲがあり、特にカラタチやユズのトゲはよく知られる。実は黄色で酸っぱい味がする。食用になるものが多い。日本では、固有種の柑橘属であるタチバナにこの字を当てた。その実は食用にならないが、きれいな白い花をつけ、その花から清らかな香りが立つので、タチバナ(香りの立つ花)と言われる。
意味 (1)[国]たちばな(橘)。日本固有のミカン科の常緑小高木。樹高2~4m。若い幹にはトゲがある。果実は酸っぱくて食べられない。香りのある白い花をつける。「橘紋たちばなもん」(橘の実と葉を図案化した家紋) (2)[国]姓。「橘氏たちばなシ」「源平藤橘ゲンペイトウキツ」(日本における貴種名族の源氏・平氏・藤原氏・橘氏をまとめた言い方) (3)ミカン類の総称。「柑橘類カンキツルイ」(①ミカン類の常緑樹、特に果樹・果実の総称。②分類上は、ミカン属・キンカン属・カラタチ属からなる)「金橘キンカン・キンキツ」「枸橘クキツ」(カラタチ・枳殻キコクとも書く)

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