漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「拝ハイ」<両手をついておがむ> と 「湃ハイ」

2015年01月31日 | 漢字の音符
[拜] ハイ・おがむ  扌部

解字 篆文は、「手(て)+一(床面)+手(て)」の会意。両手を一(床面)につき神をおがむこと。また頭を深くさげて、おじぎをすること。一は右の手の下についた拜となり、新字体は手⇒扌に変化した拝になった。※金文も存在するが、字形のつながりが薄いので省略した。
意味 (1)おがむ(拝む)。おじぎをする。「伏し拝む」(両手を地面について拝む)「礼拝レイハイ」(礼をして拝する。神仏などを拝むこと)「拝殿ハイデン」(神社で本殿の前に設けられた礼拝をするための社殿) (2)つつしんで~する。「拝謁ハイエツ」(お目にかかる)「拝観ハイカン」 (3)自分の行為に冠して相手に敬意を示す語。「拝啓ハイケイ」「拝見ハイケン」「拝読ハイドク

イメージ 
 「深くおじぎをする」
(拝・湃)
音の変化   ハイ:拝・湃

深くおじぎをする
 ハイ  氵部
解字 「氵(みず)+拜(深くおじぎをする)」の会意形声。何回も両手をついて、おじぎをするように波が上から下に落ちてさかまくこと。
意味 水の勢いの盛んなさまをいう。「澎湃ホウハイ」(水のみなぎり、さかんなさまから、転じて物事が盛んな勢いで起こるさま)
<紫色は常用漢字>

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※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。
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音符「手シュ」<て> と 「看カン」

2015年01月31日 | 漢字の音符
 シュ・て・た  手部

解字 五本の指のある手を描いた象形。手は、甲骨文字では三本指を描いた「又」(音符「又ユウ」 を参照)が用いられた。五本指の手が出現するのは金文からである。手は部首となり、拳ケン・挙キョ・撃ゲキ・摯・掌ショウ・拿・摩などの字で、下について手の働きを表している。また、手が左辺に付いたとき「扌」に変化し、部首「扌てへん」となる。手は部首としての用途がほとんどで音符にならない。手の意味で会意文字を作る。そのため発音はバラバラである。
意味 (1)て(手)。「手相てソウ」「手綱たづな」 (2)てなみ。うでまえ。「手段シュダン」「妙手ミョウシュ」 (3)てずから。「手記シュキ」 (4)てにする。「入手ニュウシュ」 (5)ある仕事をする人。「歌手カシュ」 (6)技芸にすぐれた人。「名手メイシュ
参考 部首の手は下につくときは手のままだが、左辺(偏)につくとき扌のかたちに変化する。意味は手および手の動作を表す。常用漢字で手部は9字、扌部てへんは87字(第3位)、約14,600字を収録する『新漢語林』では手部34字、扌部470字が収録されている。
 手部・扌部とも音符と大変なじみがよく、手部・扌部と組み合わさる字はほとんど音符である。また、拝ハイと折セツは、この字がさらに音符となる。例外は形が似ているため便宜的に扌部に含めている才サイだが、この字も音符となる。

イメージ  「手」(手・看・承)
音の変化   シュ:手  カン:看  ショウ:承 
 
て(手) 
 カン・みる  目部
解字 「目(め)+手(て)」の会意。手を目のうえにかざしてよく見ること。
意味 (1)みる(看る)。じっと見つめる。観察する。「看破カンパ」(見破る)「看過カンカ」(見過す) (2)見守る。見張る。「看護カンゴ」「看病カンビョウ」「看守カンシュ
 ショウ・うけたまわる  手部
 
解字 甲骨・金文は両手で、ひざまずいた人を持ち上げている形の会意。篆文ではさらに中央にもう一つ手が描かれ、三つの手で持ち上げている。いずれも尊者を奉(たてまつ)る形であるが、字の意味は尊者を持ち上げている側にある。持ち上げている側にとって、尊者の言うことを、受ける・受け入れる意となり、また受けたものを「ひきついでゆく」意となる。現代字の承は、三つの手が「水の両側+手」に、ひざまずいた人は「了(手と一部重複する)」に変化した。
意味 (1)うける。受け入れる。「了承リョウショウ」「承認ショウニン」 (2)つぐ。ひきつぐ。「継承ケイショウ」「口承コウショウ」 (3)[国]うけたまわる(承る)。聞くの敬語。
<紫色は常用漢字>

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