不 フ <まるくふくらむ> 改訂しました。
果実(くだもの)はふつう花のなかにある子房がふくらんで大きくなるが、リンゴやバラなどバラ科の花の果実は、花びらと萼ガクを支えている花托の部分がふくらんで果実になる。不は、こうしたバラ科の実がふくらみ始めたさまを描いた字とされている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7e/20/be1544a761c69de40773bbee7baa3d7d.jpg)
リンゴの摘果前の花(「りんご屋さん 弐七農園」より)
上の写真は、リンゴの摘果(果実を大きくするため間引く)前の状態で、右の花は雄しべや雌しべ、花萼がついた状態、左は花托がふくらみ花萼が残っている状態で、雄しべや雌しべは落ちている。
観賞用のバラ(ルゴサ)の実。(ブログ「野に草」より)
観賞用のバラの実は花托がふくらみ、下へ垂れさがり、実の先に萼がついており、不の甲骨文字に似ている。
不 フ・ブ 一部 bù・fǒu
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7d/dc/4d9330433302359952d332293ff27cdc.jpg)
解字 甲骨文字の不は、バラ科の実がふくらみかけた時を描いたものとされ、上の三角形がふくらみかけた実、下へ垂れた数本の曲線が残って付いている萼を表している。花が散って、実がふくらんできたさまの象形。この字が基になって金文以降、形の変遷をかさね現代字の不になった。
本来の意味で使われることはなく、不の音(フ・ブ)を借りて否定の意味を表す。
意味 (1)~でない。よくない。「不可フカ」「不安フアン」「不作フサク」「不利フリ」
イメージ
「打ち消す(仮借)」(不・否・歪)
原義から「まるくふくらむ」(杯・盃・坏・丕・胚)
音の変化 フ:不 ハイ:杯・盃・坏・胚 ヒ:否・丕 ワイ:歪
打ち消す
否 ヒ・いな・いや 口部 fǒu・pǐ
解字 「口(くち)+不(打ち消す)」 の会意形声。「不」の意志を口で示すこと。
意味 (1)いな(否)・いや(否)。打ち消す。同意しない。「否定ヒテイ」「否決ヒケツ」「否応いやオウ」(いやいや。決してそうでない)
歪 ワイ・ゆがむ・ひずむ・いびつ 止部 wāi
解字 「正(ただしい)+不(打ち消す)」の会意。正しくないこと。真っすぐでないこと。転じて、ゆがむ意味になる。
意味 ゆがむ(歪む)。ひずむ(歪む)。正くない。「歪形ワイケイ」(小判形)「歪曲ワイキョク」(曲げてゆがめる)「歪(いびつ)」(「飯櫃いいびつ」の略。楕円形であることから、ゆがむさま)
まるくふくらむ
杯 ハイ・さかずき 木部 bēi
解字 「木(き)+不(まるくふくらむ)」 の会意形声。液体をいれる、まるくふくらんだ木の器で、さかずきの意。
意味 (1)さかずき(杯)。酒をうける器。「乾杯カンパイ」「玉杯ギョクハイ」(玉でつくった杯。さかずきの美称)「苦杯クハイ」(苦い液をいれた杯。つらい経験のたとえ) (2)賞として与える金属製のさかずき。カップ。「金杯キンパイ」「賞杯ショウハイ」(賞として与える杯)(3)器に入ったもの、また船を数える言葉。「一杯イッパイ」
盃 ハイ・さかずき 皿部 bēi
解字 「皿(まるみをおびた器)+不(まるくふくらむ)」の会意形声。ほぼ同じ意味の字を重ねた形。まるくふくらんだ器で、さかずきの意。杯の俗字。皿は日本では底が平らで丸い器だが、本来は、まるみをおびた器の意。
意味 (1)さかずき(盃)。杯の俗字。(2)日本では婚礼などお祝い用にもちいる底の浅い皿のような盃(さかずき)をいう。
お祝い用朱盃(販売広告から)
坏 ハイ・つき 土部 huài・pī・pēi・péi
解字 「土(つち)+不(まるくふくらむ)」の会意形声。まるくふくらんだ丘や、積み上げた土のやま。日本では「杯」に対し土製の食物を盛る器(つき)の意で使われる。
意味 (1)おか(丘)。積み上げた土の山。(2)しらじ(白土)。陶磁器を作る素地の土。「坏土ハイド」(3)[国]つき(坏)。食物を盛る器。「高坏たかつき」(食物を盛る脚付きの台)
高坏 「文化遺産オンライン」より
丕 ヒ・おおきい 一部 pī
解字 「一(最初)+不(まるくふくらむ)」の会意形声。ふくらみはじめた最初の段階で、はじめ・もとの意。はじめ・もとの意から転じて天子の意となったため、おおきい・さかんの意味ともなる。
意味 (1)はじめ。もと。(2)天子。「丕子ヒシ」(天の元子の意から天子。また天子の長男)「丕祚ヒソ」(天子の位)「丕命ヒメイ」(天子の命令)(3)おおきい(丕きい)。さかん。「丕基ヒキ」(大きな基礎)「丕業ヒギョウ」(大きな事業)「丕顕ヒケン」(大いにあきらか)
胚 ハイ・はらむ 月部にく pēi
解字 「月(からだ)+丕 ヒ」の会意形声。丕 ヒは、「一(最初)+不(ふくらむ)」で、ふくらみはじめた最初の段階、胚は、人がみごもる意。
意味 (1)はらむ(胚む)。みごもる。きざす。「胚胎ハイタイ」(みごもること。きざすこと)(2)はい(胚)。発生初期の個体。「胚芽ハイガ」(種子の中で芽となって生長する部分)「胚子ハイシ」(受精後、発生しはじめた卵細胞)
<紫色は常用漢字>
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果実(くだもの)はふつう花のなかにある子房がふくらんで大きくなるが、リンゴやバラなどバラ科の花の果実は、花びらと萼ガクを支えている花托の部分がふくらんで果実になる。不は、こうしたバラ科の実がふくらみ始めたさまを描いた字とされている。
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リンゴの摘果前の花(「りんご屋さん 弐七農園」より)
上の写真は、リンゴの摘果(果実を大きくするため間引く)前の状態で、右の花は雄しべや雌しべ、花萼がついた状態、左は花托がふくらみ花萼が残っている状態で、雄しべや雌しべは落ちている。
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観賞用のバラ(ルゴサ)の実。(ブログ「野に草」より)
観賞用のバラの実は花托がふくらみ、下へ垂れさがり、実の先に萼がついており、不の甲骨文字に似ている。
不 フ・ブ 一部 bù・fǒu
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7d/dc/4d9330433302359952d332293ff27cdc.jpg)
解字 甲骨文字の不は、バラ科の実がふくらみかけた時を描いたものとされ、上の三角形がふくらみかけた実、下へ垂れた数本の曲線が残って付いている萼を表している。花が散って、実がふくらんできたさまの象形。この字が基になって金文以降、形の変遷をかさね現代字の不になった。
本来の意味で使われることはなく、不の音(フ・ブ)を借りて否定の意味を表す。
意味 (1)~でない。よくない。「不可フカ」「不安フアン」「不作フサク」「不利フリ」
イメージ
「打ち消す(仮借)」(不・否・歪)
原義から「まるくふくらむ」(杯・盃・坏・丕・胚)
音の変化 フ:不 ハイ:杯・盃・坏・胚 ヒ:否・丕 ワイ:歪
打ち消す
否 ヒ・いな・いや 口部 fǒu・pǐ
解字 「口(くち)+不(打ち消す)」 の会意形声。「不」の意志を口で示すこと。
意味 (1)いな(否)・いや(否)。打ち消す。同意しない。「否定ヒテイ」「否決ヒケツ」「否応いやオウ」(いやいや。決してそうでない)
歪 ワイ・ゆがむ・ひずむ・いびつ 止部 wāi
解字 「正(ただしい)+不(打ち消す)」の会意。正しくないこと。真っすぐでないこと。転じて、ゆがむ意味になる。
意味 ゆがむ(歪む)。ひずむ(歪む)。正くない。「歪形ワイケイ」(小判形)「歪曲ワイキョク」(曲げてゆがめる)「歪(いびつ)」(「飯櫃いいびつ」の略。楕円形であることから、ゆがむさま)
まるくふくらむ
杯 ハイ・さかずき 木部 bēi
解字 「木(き)+不(まるくふくらむ)」 の会意形声。液体をいれる、まるくふくらんだ木の器で、さかずきの意。
意味 (1)さかずき(杯)。酒をうける器。「乾杯カンパイ」「玉杯ギョクハイ」(玉でつくった杯。さかずきの美称)「苦杯クハイ」(苦い液をいれた杯。つらい経験のたとえ) (2)賞として与える金属製のさかずき。カップ。「金杯キンパイ」「賞杯ショウハイ」(賞として与える杯)(3)器に入ったもの、また船を数える言葉。「一杯イッパイ」
盃 ハイ・さかずき 皿部 bēi
解字 「皿(まるみをおびた器)+不(まるくふくらむ)」の会意形声。ほぼ同じ意味の字を重ねた形。まるくふくらんだ器で、さかずきの意。杯の俗字。皿は日本では底が平らで丸い器だが、本来は、まるみをおびた器の意。
意味 (1)さかずき(盃)。杯の俗字。(2)日本では婚礼などお祝い用にもちいる底の浅い皿のような盃(さかずき)をいう。
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坏 ハイ・つき 土部 huài・pī・pēi・péi
解字 「土(つち)+不(まるくふくらむ)」の会意形声。まるくふくらんだ丘や、積み上げた土のやま。日本では「杯」に対し土製の食物を盛る器(つき)の意で使われる。
意味 (1)おか(丘)。積み上げた土の山。(2)しらじ(白土)。陶磁器を作る素地の土。「坏土ハイド」(3)[国]つき(坏)。食物を盛る器。「高坏たかつき」(食物を盛る脚付きの台)
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丕 ヒ・おおきい 一部 pī
解字 「一(最初)+不(まるくふくらむ)」の会意形声。ふくらみはじめた最初の段階で、はじめ・もとの意。はじめ・もとの意から転じて天子の意となったため、おおきい・さかんの意味ともなる。
意味 (1)はじめ。もと。(2)天子。「丕子ヒシ」(天の元子の意から天子。また天子の長男)「丕祚ヒソ」(天子の位)「丕命ヒメイ」(天子の命令)(3)おおきい(丕きい)。さかん。「丕基ヒキ」(大きな基礎)「丕業ヒギョウ」(大きな事業)「丕顕ヒケン」(大いにあきらか)
胚 ハイ・はらむ 月部にく pēi
解字 「月(からだ)+丕 ヒ」の会意形声。丕 ヒは、「一(最初)+不(ふくらむ)」で、ふくらみはじめた最初の段階、胚は、人がみごもる意。
意味 (1)はらむ(胚む)。みごもる。きざす。「胚胎ハイタイ」(みごもること。きざすこと)(2)はい(胚)。発生初期の個体。「胚芽ハイガ」(種子の中で芽となって生長する部分)「胚子ハイシ」(受精後、発生しはじめた卵細胞)
<紫色は常用漢字>
バックナンバーの検索方法
※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。