漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「明メイ」<本来は星と月のあかるさ>と「盟メイ」「萌ホウ]

2024年09月14日 | 漢字の音符
 メイ・ミョウ・あかり・あかるい・あきらか・あける  日部 míng
  
解字 甲骨文字第一字(上)は「月+囧ケイ(星の光)」で、月と星明かりをあわせた星の光る月夜を表している。第二字は「月+日(太陽)」で、太陽が出た直後に月も見えている様子を表し原義は「明け方」である(「漢字字形史字典」より)。金文は「月+囧」の形が続き、篆文もほぼ同じ形であるが[説文解字]は「照る也(なり)。月に従い囧(まど)に従う」と囧を窓とする。この場合は窓から入る月明かりの意味になる。楷書になると「月+日」の明になり、甲骨文字の第二字に元返りした。
 現代字から「日と月を合わせたら明るい」と思ってしまうが、太陽が明るかったら月の姿はかすんでしまう。明るさは太陽だけで十分なのである。しかし歴史的変遷でたどると、明は晴れた夜の星と月の明るさ、または窓から入る月明かりなのである。夜の照明が十分に発達していなかった古代の人々にとって、夜の「明るさ」は月と星の光りに頼っていた。また「月+日」の明け方の明かりは、暁ギョウ(あかつき・天が白くなってきた夜明け)と成り立ちが共通している。
意味 (1)あかるい(明るい)。「明星ミョウジョウ」(金星の異称)「明暗メイアン」(2)あかり(明り)。「灯明トウミョウ」(灯火の明かり。神仏にそなえる灯火)(3)あきらか(明らか)。「明確メイカク」「明瞭メイリョウ」(4)あける(明ける)。夜があける。あす。「明朝ミョウチョウ」「明日あす」(5)(神仏にそなえる灯明から)神。神聖なもの。「神明シンメイ

イメージ 
 「あかるい」
(明・萌) 
 意味(3)の「あきらか」(盟)
音の変化  メイ・明・盟  ホウ:萌

あかるい
 ホウ・ボウ・もえる・きざす  艸部 méng
解字 「艸(草)+明(あかるい)」の会意形声。草が明るいほうへ芽を出すこと。
意味 (1)め。めばえ。芽を出す。もえる(萌える)。「萌芽ホウガ」「萌生ホウセイ」(芽生える)(2)きざす(萌す)。きざし(萌し)。「萌兆ホウチョウ」(萌も兆も、きざす意)
(3)「萌葱・萌黄もえぎ」(葱ねぎの萌え出る色を連想させる、青と黄色の中間の色)。明るい緑色は「萌黄」①、濃い緑色は「萌葱」②と書き分けることが多い。
①萌黄 ②萌葱
色見本は、「GOO字書」より。

あきらか
 メイ・ちかう  皿部 méng

解字 「皿(血を入れた器)+明(あきらか)」 の会意形声。篆文の皿は、よく見ると皿の中に一があり、皿に血が入っている形。集まった人たちが互いに犠牲獣の血を飲んでいる形で、参加者の取り決めを血を飲んで皆に明らかにすること。ちかう(盟う)意味となる。現代字は「皿+明」の盟となった。
意味 ちかう(盟う)。ちかい。神仏や人などに対し、ある事を必ず守ると約束する。「盟約メイヤク」(約束を盟うこと)「盟友メイユウ」(かたい約束を結んだ友人)「同盟ドウメイ」(同じ行動をとることを盟うこと)「連盟レンメイ」(多くの国などが連合して盟うこと)
<紫色は常用漢字>

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