改訂しました。
丂 コウ・キョウ 一部 kǎo・qiǎo・yú
解字 甲骨文は丅(示の初形)をゆがめた形。単独では原義の用例がなく、地名・祭祀名として出てくる[甲骨文字字典]。金文は考コウの代わりに父親としての意味、孝コウの代わりに孝順(親につかえる)の意味で用いられている[簡明金文詞典]。[説文解字]は「気のびて出んと欲し、上の一にさまたげられるなり」としているが、理解できる説明ではない。以上の結果、この字独自の意味はないことから、この字をコウ・キョウの発音を表す字と解釈したい。
イメージ
「形声字」(丂・巧・攷・朽・号(號)・饕)
「その他」(兮)
音の変化 コウ:丂・巧・攷 ゴウ:号(號) キュウ:朽 ケイ:兮 トウ:饕
形声字
巧 コウ・たくみ 工部 qiǎo
解字 「工(工具)+丂(コウ)」の形声。工具を用いるたくみな「わざ」を巧コウという。[説文解字]は「技わざ也(なり)。工に従い丂コウ聲(声)」とする。
意味 (1)たくみ(巧み)。手のこんだわざ。うまい(巧い)。「技巧ギコウ」「巧手コウシュ」(巧みな手腕、またその人) (2)たくみに(巧みに)。うわべを飾る。「巧言コウゲン」「巧舌コウゼツ」(ものいい。弁舌)
攷 コウ・かんがえる 攵部 kǎo
解字 「攵(うつ)+丂(コウ)」の形声。[説文解字]は「敂(たた)く也。攴ボク(攵)に従い丂の聲(声)」とし、うつ・たたく意。また、たたいてその反応をさぐることから、ためす・しらべる・かんがえる意味に広がった。なお、宋代の[集韻]は「考、古くは攷に作る」とし、攷の意味が考に伝わっているとする。
意味 (1)うつ。たたく。「攷撃コウゲキ」(せめる)(2)しらべる。「攷異コウイ」(=考異。異文を校訂する)「攷訂コウテイ」(=校訂。しらべてなおす)(3)かんがえる(攷える)。「攷究コウキュウ」(=考究。考えきわめる)
朽 キュウ・くちる 木部 xiǔ
解字 「木(き)+丂(キュウ)」の形声。木がくちることを朽キュウという。[説文解字]は「腐(くさ)る也(なり)」とする。
意味 (1)くちる(朽ちる)。草木がくさる。「朽木キュウボク」「腐朽フキュウ」(くさりくちること)(2)すたれる。ほろびる。「不朽フキュウ」
号[號] ゴウ・コウ・さけぶ 口部 hào・háo
解字 号は「口(くち)+丂(コウ⇒ゴウ)」の形声で、口からゴウと出す大きな声をいう。旧字の號は、虎がゴウと声を出して、ほえる・さけぶ意。号は號から虎を省いた字。さけぶ意のほか、呼び名、呼ぶ順番、記号などに意味がひろがった。
意味 (1)さけぶ(号ぶ)。大声を出す。「号泣ゴウキュウ」(なきさけぶ)「号令ゴウレイ」(命じる言葉)「号砲ゴウホウ」(大砲・鉄砲の大きな音)(2)名をつける。名称。「称号ショウゴウ」「雅号ガゴウ」(3)しるし。「記号キゴウ」(4)数字にそえて順序や等級を表わす。「三月号」(5)乗り物や馬・犬の名などにそえる。「こだま号」
饕 トウ・むさぼる 食部 tāo
饕餮(とうてつ)文
解字 「食(たべる)+號(さけぶ⇒大きく口をあける)」 の会意形声。虎が大きく口をあけて食べること。むさぼる意となる。発音は號ゴウ・コウ⇒トウに変化。この変化は、南方では虎を「於兔オト」というので南方の発音と関係があるとする[字統]。
意味 (1)むさぼる(饕る)。食らう。「饕貪トウタン」(饕も貪も、むさぼる意)「饕戻トウレイ」(むさぼって人の道にそむく)(2)悪い獣の名。「饕餮トウテツ」(饕も餮もむさぼる意。人をむさぼり食うという悪い獣。後代には魔除けの意味をもった。模様化したものが青銅器などの装飾に用いられている)
その他
兮 ケイ 八部 xī
解字 甲骨文字辞典は「祭祀机である示(丅)と八(ハ)に従い、祭祀机の上に切り分けた供物を置いた形。字形は金文で丅が丂に変えられ、ハと合わせて兮の字体になった。甲骨文字の意味は地名。神名(詳細は不明)」とする。意味の変遷は明らかでないが、現代字は句末や句中にあって調子を整える助字として用いる。訓読しないことが多い。
意味 (1)歌末の余声。「実際に歌を歌ったとき、あとにくっつける「調子」と考えればよい。漢詩は本来、歌と切っても切れない関係にあった。唐詩も歌う調子で作られたわけである。「兮」というのは、そういう歌末の調子づけとして考えるが、余声という意味がつけ加わっている。余声とは引っぱる、という気持ちである。前の句を歌い、歌い終わるとき、この「兮」をつけ加えて、前の句の意味を引っぱるわけである」(加地伸行著「漢文法基礎」より)「大風は起こり兮雲は飛揚ヒヨウす」(兮は読まない)(2)強調や感嘆を表す。「巧笑倩センたり兮」(にっこりとした笑顔はなんともかわいい。兮は読まない)
音符字「考コウ」
考 コウ・かんがえる 耂部おいかんむり kǎo
上は考コウ、下は老ロウ
解字 下の甲骨文の老は、杖をついた長髪の老人の姿。金文は杖のかたちが、Fの字が左へ回転したような形になり最終的にヒに変化した老となった。上の考コウは金文からできた字。老の杖の部分が初形の丂(コウ)になっており、コウという老人の意で死去した父親を指して用いられた。次の篆文で[説文解字]は「老也(なり)。老の省略形に従い丂コウの聲(声)」とし老人の意味があるとする。また、宋代の[集韻]は「考、古くは攷コウに作る」とし、攷の意味が考に伝わっているとし、考える・調べる意は攷コウに由来している。
意味 (1)亡父。「先考センコウ」(亡くなった父)「考妣コウヒ」(亡き父と母。妣は亡き母の意)(2)おいる(老)。老人。「寿考ジュコウ」(長生きの老人。長寿)(3)かんがえる(考える)。「思考シコウ」「長考チョウコウ」「考究コウキュウ」(深く考えきわめる)「論考ロンコウ」(論じ考察する)(3)調べる。「考訂コウテイ」(しらべ正す)」「考古学コウコガク」(古い時代の遺跡・遺物をしらべ研究する学問)(4)比較検討する。試験。「考査コウサ」(①考えしらべる。②学校の試験。テスト)
イメージ
「形声字」(考・拷・栲・烤)
音の変化 コウ:考・栲・烤 ゴウ:拷
形声字
拷 ゴウ・コウ・うつ 扌部 kǎo
解字 「扌(手)+考(コウ⇒ゴウ)」の形声。罪を白状させるため手に棒などを持ち、たたくことを拷ゴウという。
意味 (1)うつ(拷つ)。うちすえる。「拷問ゴウモン」(体に苦痛を加えて問う=拷責ゴウセキ)「拷打ゴウダ」(打ちすえる)(2)かすめとる。「拷掠ゴウリャク」(かすめとる)
栲 コウ・たえ・たく 木部 kǎo
解字 「木(き)+考(コウ)」の形声。コウという名の落葉樹の名をいう。日本では藤などの繊維で織った白布をいう。
意味 (1)樹木の名前。ミツバウツギ科の落葉小高木。(2)「栲栳コウロウ」とは、柳の枝をまげて編んだいれもの。(3)[国]たえ(栲)。梶の木・藤などの繊維で織った白布。「白栲しろたえ」「春過ぎて夏来るらし白栲たへの衣乾したり天の香具山(万葉集)」[国]たく(栲)「楮(こうぞ)の皮を剥いで灰汁で煮、繊維をとり織物の糸とし、これを栲(たく)といっていました。古事記や万葉集には「栲衾(たくぶすま。衾は夜具)」「栲縄(たくなわ)「栲綱(たくづな)」などの名で呼ばれたものが登場している」(小泉武夫『灰と日本人』中公文庫)
烤 コウ・あぶる 火部 kǎo
解字 「火(ひ)+考(コウ)」の形声。火であぶって焼くことを烤コウという。
北京ダック(販売広告から)
意味 (1)あぶる。軽く焼く。また、あぶって焼く。「烤薯コウショ」(やきいも)「烤鴨子カオヤーズ」(アヒルのまるやき料理)「北京烤鴨ペキンダック」(北京名物のアヒルのまるやき料理)「烤羊肉カオヤンロウ」(ジンギスカン料理)(2)あたたまる。暖をとる。「烤火コウカ」(火にあたる)「烤手コウシュ」(手をあたためる)
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丂 コウ・キョウ 一部 kǎo・qiǎo・yú
解字 甲骨文は丅(示の初形)をゆがめた形。単独では原義の用例がなく、地名・祭祀名として出てくる[甲骨文字字典]。金文は考コウの代わりに父親としての意味、孝コウの代わりに孝順(親につかえる)の意味で用いられている[簡明金文詞典]。[説文解字]は「気のびて出んと欲し、上の一にさまたげられるなり」としているが、理解できる説明ではない。以上の結果、この字独自の意味はないことから、この字をコウ・キョウの発音を表す字と解釈したい。
イメージ
「形声字」(丂・巧・攷・朽・号(號)・饕)
「その他」(兮)
音の変化 コウ:丂・巧・攷 ゴウ:号(號) キュウ:朽 ケイ:兮 トウ:饕
形声字
巧 コウ・たくみ 工部 qiǎo
解字 「工(工具)+丂(コウ)」の形声。工具を用いるたくみな「わざ」を巧コウという。[説文解字]は「技わざ也(なり)。工に従い丂コウ聲(声)」とする。
意味 (1)たくみ(巧み)。手のこんだわざ。うまい(巧い)。「技巧ギコウ」「巧手コウシュ」(巧みな手腕、またその人) (2)たくみに(巧みに)。うわべを飾る。「巧言コウゲン」「巧舌コウゼツ」(ものいい。弁舌)
攷 コウ・かんがえる 攵部 kǎo
解字 「攵(うつ)+丂(コウ)」の形声。[説文解字]は「敂(たた)く也。攴ボク(攵)に従い丂の聲(声)」とし、うつ・たたく意。また、たたいてその反応をさぐることから、ためす・しらべる・かんがえる意味に広がった。なお、宋代の[集韻]は「考、古くは攷に作る」とし、攷の意味が考に伝わっているとする。
意味 (1)うつ。たたく。「攷撃コウゲキ」(せめる)(2)しらべる。「攷異コウイ」(=考異。異文を校訂する)「攷訂コウテイ」(=校訂。しらべてなおす)(3)かんがえる(攷える)。「攷究コウキュウ」(=考究。考えきわめる)
朽 キュウ・くちる 木部 xiǔ
解字 「木(き)+丂(キュウ)」の形声。木がくちることを朽キュウという。[説文解字]は「腐(くさ)る也(なり)」とする。
意味 (1)くちる(朽ちる)。草木がくさる。「朽木キュウボク」「腐朽フキュウ」(くさりくちること)(2)すたれる。ほろびる。「不朽フキュウ」
号[號] ゴウ・コウ・さけぶ 口部 hào・háo
解字 号は「口(くち)+丂(コウ⇒ゴウ)」の形声で、口からゴウと出す大きな声をいう。旧字の號は、虎がゴウと声を出して、ほえる・さけぶ意。号は號から虎を省いた字。さけぶ意のほか、呼び名、呼ぶ順番、記号などに意味がひろがった。
意味 (1)さけぶ(号ぶ)。大声を出す。「号泣ゴウキュウ」(なきさけぶ)「号令ゴウレイ」(命じる言葉)「号砲ゴウホウ」(大砲・鉄砲の大きな音)(2)名をつける。名称。「称号ショウゴウ」「雅号ガゴウ」(3)しるし。「記号キゴウ」(4)数字にそえて順序や等級を表わす。「三月号」(5)乗り物や馬・犬の名などにそえる。「こだま号」
饕 トウ・むさぼる 食部 tāo
饕餮(とうてつ)文
解字 「食(たべる)+號(さけぶ⇒大きく口をあける)」 の会意形声。虎が大きく口をあけて食べること。むさぼる意となる。発音は號ゴウ・コウ⇒トウに変化。この変化は、南方では虎を「於兔オト」というので南方の発音と関係があるとする[字統]。
意味 (1)むさぼる(饕る)。食らう。「饕貪トウタン」(饕も貪も、むさぼる意)「饕戻トウレイ」(むさぼって人の道にそむく)(2)悪い獣の名。「饕餮トウテツ」(饕も餮もむさぼる意。人をむさぼり食うという悪い獣。後代には魔除けの意味をもった。模様化したものが青銅器などの装飾に用いられている)
その他
兮 ケイ 八部 xī
解字 甲骨文字辞典は「祭祀机である示(丅)と八(ハ)に従い、祭祀机の上に切り分けた供物を置いた形。字形は金文で丅が丂に変えられ、ハと合わせて兮の字体になった。甲骨文字の意味は地名。神名(詳細は不明)」とする。意味の変遷は明らかでないが、現代字は句末や句中にあって調子を整える助字として用いる。訓読しないことが多い。
意味 (1)歌末の余声。「実際に歌を歌ったとき、あとにくっつける「調子」と考えればよい。漢詩は本来、歌と切っても切れない関係にあった。唐詩も歌う調子で作られたわけである。「兮」というのは、そういう歌末の調子づけとして考えるが、余声という意味がつけ加わっている。余声とは引っぱる、という気持ちである。前の句を歌い、歌い終わるとき、この「兮」をつけ加えて、前の句の意味を引っぱるわけである」(加地伸行著「漢文法基礎」より)「大風は起こり兮雲は飛揚ヒヨウす」(兮は読まない)(2)強調や感嘆を表す。「巧笑倩センたり兮」(にっこりとした笑顔はなんともかわいい。兮は読まない)
音符字「考コウ」
考 コウ・かんがえる 耂部おいかんむり kǎo
上は考コウ、下は老ロウ
解字 下の甲骨文の老は、杖をついた長髪の老人の姿。金文は杖のかたちが、Fの字が左へ回転したような形になり最終的にヒに変化した老となった。上の考コウは金文からできた字。老の杖の部分が初形の丂(コウ)になっており、コウという老人の意で死去した父親を指して用いられた。次の篆文で[説文解字]は「老也(なり)。老の省略形に従い丂コウの聲(声)」とし老人の意味があるとする。また、宋代の[集韻]は「考、古くは攷コウに作る」とし、攷の意味が考に伝わっているとし、考える・調べる意は攷コウに由来している。
意味 (1)亡父。「先考センコウ」(亡くなった父)「考妣コウヒ」(亡き父と母。妣は亡き母の意)(2)おいる(老)。老人。「寿考ジュコウ」(長生きの老人。長寿)(3)かんがえる(考える)。「思考シコウ」「長考チョウコウ」「考究コウキュウ」(深く考えきわめる)「論考ロンコウ」(論じ考察する)(3)調べる。「考訂コウテイ」(しらべ正す)」「考古学コウコガク」(古い時代の遺跡・遺物をしらべ研究する学問)(4)比較検討する。試験。「考査コウサ」(①考えしらべる。②学校の試験。テスト)
イメージ
「形声字」(考・拷・栲・烤)
音の変化 コウ:考・栲・烤 ゴウ:拷
形声字
拷 ゴウ・コウ・うつ 扌部 kǎo
解字 「扌(手)+考(コウ⇒ゴウ)」の形声。罪を白状させるため手に棒などを持ち、たたくことを拷ゴウという。
意味 (1)うつ(拷つ)。うちすえる。「拷問ゴウモン」(体に苦痛を加えて問う=拷責ゴウセキ)「拷打ゴウダ」(打ちすえる)(2)かすめとる。「拷掠ゴウリャク」(かすめとる)
栲 コウ・たえ・たく 木部 kǎo
解字 「木(き)+考(コウ)」の形声。コウという名の落葉樹の名をいう。日本では藤などの繊維で織った白布をいう。
意味 (1)樹木の名前。ミツバウツギ科の落葉小高木。(2)「栲栳コウロウ」とは、柳の枝をまげて編んだいれもの。(3)[国]たえ(栲)。梶の木・藤などの繊維で織った白布。「白栲しろたえ」「春過ぎて夏来るらし白栲たへの衣乾したり天の香具山(万葉集)」[国]たく(栲)「楮(こうぞ)の皮を剥いで灰汁で煮、繊維をとり織物の糸とし、これを栲(たく)といっていました。古事記や万葉集には「栲衾(たくぶすま。衾は夜具)」「栲縄(たくなわ)「栲綱(たくづな)」などの名で呼ばれたものが登場している」(小泉武夫『灰と日本人』中公文庫)
烤 コウ・あぶる 火部 kǎo
解字 「火(ひ)+考(コウ)」の形声。火であぶって焼くことを烤コウという。
北京ダック(販売広告から)
意味 (1)あぶる。軽く焼く。また、あぶって焼く。「烤薯コウショ」(やきいも)「烤鴨子カオヤーズ」(アヒルのまるやき料理)「北京烤鴨ペキンダック」(北京名物のアヒルのまるやき料理)「烤羊肉カオヤンロウ」(ジンギスカン料理)(2)あたたまる。暖をとる。「烤火コウカ」(火にあたる)「烤手コウシュ」(手をあたためる)
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