漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符 「春シュン」 <はる>

2017年10月27日 | 漢字の音符
 シュン・はる  日部

解字 甲骨文第一字は、「多くの木+屯トン・チュン(木の芽の象形)」の会意形声で、木々の中で木の芽が伸びるかたち。第二字は「木木+日(太陽)+屯(木の芽)」で、春に日の光が強まり木木の芽が伸びるさまを表し春の意。発音は、屯チュン⇒シュンに変化。[甲骨文字辞典]。金文と篆文は、「艸(くさ)+屯(木の芽)+日(太陽)」の形で、木々⇒艸に変化した。草が日の光を受け芽吹いて生ずるさま。季節の春の意味を表わす。現代字は「艸+屯」⇒「三+人」に変化した春になった。
意味 (1)はる。「早春ソウシュン」「春眠シュンミン」 (2)年のはじめ・正月。「賀春ガシュン」「迎春ゲイシュン」 (3)活動の盛んな年頃。「青春セイシュン」 (4)とし。「春秋シュンジュウ
覚え方  さんにん(三人)で、ひ()なたぼっこする

イメージ  「はる」 (春・椿・鰆・蠢)
音の変化  シュン:春・鰆・蠢  チン:椿

はる
椿 チン・つばき  木部
解字 「木(き)+春(はる)」の会意形声。日本で、はる(新春から春)に咲く花である椿をいう。めずらしい意は、珍チン(めずらしい)の仮借カシャ(当て字)。
意味 (1)[国]つばき(椿)。ツバキ科の常緑高木の総称。「椿油つばきあぶら」(椿の種子からとった油。頭髪用、また、食用とする) (2)チャンチン(香椿)。センダン科の落葉高木。 (3)思いがけない事。「椿事チンジ」(珍しいこと)
 シュン・さわら  魚部
解字 「魚(さかな)+春(はる)」の会意形声。日本では、春に産卵のために沿岸へ寄るため人目に付きやすく、「春を告げる魚」という意味のサバ科に属する海水魚をいう。。
意味 [国]さわら(鰆)。サバ科に属する海水魚。細長い体の大型肉食魚で、成長に従って呼び名が変わる出世魚。回遊魚で、春に瀬戸内海を産卵場としている。
 シュン・うごめく  虫部
解字 「虫虫(多くのむし)+春(はる)」の会意形声。虫たちが春に動き始めること。
意味 (1)うごめく(蠢く)。「蠢動シュンドウ」(虫がうごめくこと。つまらない者が騒ぎたてること) (2)おろか。無知な。「蠢愚シュング」(おろかなこと。蠢も愚も、おろかな意)
<紫色は常用漢字>

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