「萩はぎ」と「荻おぎ」を間違う人は多い。しかし、草冠の下をよく見ていただきたい。萩の下は秋(あき)、荻の下は狄テキなのである。秋は季節の秋だからすぐわかるが、狄テキとはどんな字だろうか。この字は中国北方の異民族の呼称であるが、私は「犭(犬)+火」に着目して独自の解釈をしてみた。漢字を覚えるための工夫であるので、こじつけ的な解字であるが、ご了解いただきたい。
秋 シュウ <稲に虫がつく>
秋[穐・龝] シュウ・あき 禾部
解字 篆文第一字は、禾(いね)の下に亀のような虫を描いており、稔った稲にズイムシが付いた形。第二字は、禾(いね)の下に火が付き、稲の虫を火で焼く形。第三字はそこから虫を取った「火+禾」となった字で、現代字・秋の元になった。もともと秋は、稔りかけた穀物につく虫を焼く形から穀物が熟す意。のち、穀物が実る季節を意味するあき(秋)となった。篆文にあらわれた亀のようなズイムシを表す字が使われる穐・龝は異体字としてあり、歌舞伎などの千秋楽(最終日)に千穐楽として使われることがある。
日本でも稲の害虫を駆除しその秋の豊作を祈願するため、初秋に松明を持ってあぜ道を歩いて虫を追い払う「虫送り」の行事がある。
意味 (1)あき(秋)。稲に実が入って稔るとき。「秋天シュウテン」「秋分シュウブン」(昼と夜の長さが同じになる日。毎年9月23日ごろ)「秋風あきかぜ」「初秋ショシュウ」 (2)一年。とき。「千秋センシュウ」(千年。長い年月)「千秋楽センシュウラク」(芝居や相撲などの最終日)
イメージ
「あき」(秋・萩)
「稔った穀物に虫がつく」(愁)
音の変化 シュウ:秋・萩・愁
あき
萩 シュウ・はぎ 艸部
解字 「艸(くさ)+秋(あき)」の会意形声。秋に花が咲く草木。日本でハギの意味で使われる。
萩の花(ウィキペディアより)
意味 (1)[国]はぎ(萩)。初秋に花をつける落葉低木。秋の七草のひとつで、花期は7月から10月。 「萩市はぎし」(山口県の日本海側にある市)「萩城はぎじょう」(山口県萩市にあった日本の城)「萩野はぎの」(姓)「萩原はぎはら」(姓) (2)[中国古書]かわらよもぎ。ヨモギの一種。
稔った穀物に虫がつく
愁 シュウ・うれい・うれえる 心部
解字 「心(こころ)+秋(稔った穀物に虫がつく)」の会意形声。稔った穀物に虫がついて収穫が減るのを心配すること。
意味 うれえる(愁える)。うれい(愁い)。心細くなる。「愁色シュウショク」(うれいを含んだ顔色)「愁心シュウシン」「愁眉シュウビ」(心配そうな表情。眉は、まゆげ)
狄 テキ <野焼きして狩りをする>
狄 テキ・えびす 犭部
解字 「犭(いぬ)+火(ひ)」の会意。草原に火を放ち、野焼きをして獣を追い出し、犬を伴にして狩りをすること。野焼きは牛馬の牧草地の維持にも必要であった。草原地帯に居住している異民族をさす。(この解字は私見です)
意味 えびす(狄)。北方の異民族。「北狄ホクテキ」(北方の異民族)「夷狄イテキ」(野蛮な異民族。夷は東方の異民族)
イメージ 「野焼きする」 (狄・荻)
音の変化 テキ:狄・荻
野焼きする
荻 テキ・おぎ 艸部
荻の穂(ウィキペディアより)
屋根材料の荻の刈り取り(岐阜県大垣市)
解字 「艸(くさ)+狄(野焼きする)」の会意形声。野焼きして管理する草。野焼きは屋根材料の確保などのため河原の草むらでも行なわれる。ススキに似た多年草のおぎ(荻)をいう。
荻は中国では、黒竜江、吉林、遼寧、河北、山西、河南、山東、甘及び陕西など北方の各省に分布し、山地や草地・平原・丘陵、また河岸の湿地に生育する。
意味 (1)おぎ(荻)。イネ科ススキ属のススキに似た多年草。水辺などに自生し群落をつくる。かつては、茅葺屋根の材料として用いられた。日本では現在もススキやアシ原の野焼きが行われるが、荻も地名や姓に荻原・荻野が多いことから、かつては野焼きが行われたと思われる。(2)地名。姓。「荻原おぎはら」「荻野おぎの」「荻生おぎう」
<紫色は常用漢字>
秋 シュウ <稲に虫がつく>
秋[穐・龝] シュウ・あき 禾部
解字 篆文第一字は、禾(いね)の下に亀のような虫を描いており、稔った稲にズイムシが付いた形。第二字は、禾(いね)の下に火が付き、稲の虫を火で焼く形。第三字はそこから虫を取った「火+禾」となった字で、現代字・秋の元になった。もともと秋は、稔りかけた穀物につく虫を焼く形から穀物が熟す意。のち、穀物が実る季節を意味するあき(秋)となった。篆文にあらわれた亀のようなズイムシを表す字が使われる穐・龝は異体字としてあり、歌舞伎などの千秋楽(最終日)に千穐楽として使われることがある。
日本でも稲の害虫を駆除しその秋の豊作を祈願するため、初秋に松明を持ってあぜ道を歩いて虫を追い払う「虫送り」の行事がある。
意味 (1)あき(秋)。稲に実が入って稔るとき。「秋天シュウテン」「秋分シュウブン」(昼と夜の長さが同じになる日。毎年9月23日ごろ)「秋風あきかぜ」「初秋ショシュウ」 (2)一年。とき。「千秋センシュウ」(千年。長い年月)「千秋楽センシュウラク」(芝居や相撲などの最終日)
イメージ
「あき」(秋・萩)
「稔った穀物に虫がつく」(愁)
音の変化 シュウ:秋・萩・愁
あき
萩 シュウ・はぎ 艸部
解字 「艸(くさ)+秋(あき)」の会意形声。秋に花が咲く草木。日本でハギの意味で使われる。
萩の花(ウィキペディアより)
意味 (1)[国]はぎ(萩)。初秋に花をつける落葉低木。秋の七草のひとつで、花期は7月から10月。 「萩市はぎし」(山口県の日本海側にある市)「萩城はぎじょう」(山口県萩市にあった日本の城)「萩野はぎの」(姓)「萩原はぎはら」(姓) (2)[中国古書]かわらよもぎ。ヨモギの一種。
稔った穀物に虫がつく
愁 シュウ・うれい・うれえる 心部
解字 「心(こころ)+秋(稔った穀物に虫がつく)」の会意形声。稔った穀物に虫がついて収穫が減るのを心配すること。
意味 うれえる(愁える)。うれい(愁い)。心細くなる。「愁色シュウショク」(うれいを含んだ顔色)「愁心シュウシン」「愁眉シュウビ」(心配そうな表情。眉は、まゆげ)
狄 テキ <野焼きして狩りをする>
狄 テキ・えびす 犭部
解字 「犭(いぬ)+火(ひ)」の会意。草原に火を放ち、野焼きをして獣を追い出し、犬を伴にして狩りをすること。野焼きは牛馬の牧草地の維持にも必要であった。草原地帯に居住している異民族をさす。(この解字は私見です)
意味 えびす(狄)。北方の異民族。「北狄ホクテキ」(北方の異民族)「夷狄イテキ」(野蛮な異民族。夷は東方の異民族)
イメージ 「野焼きする」 (狄・荻)
音の変化 テキ:狄・荻
野焼きする
荻 テキ・おぎ 艸部
荻の穂(ウィキペディアより)
屋根材料の荻の刈り取り(岐阜県大垣市)
解字 「艸(くさ)+狄(野焼きする)」の会意形声。野焼きして管理する草。野焼きは屋根材料の確保などのため河原の草むらでも行なわれる。ススキに似た多年草のおぎ(荻)をいう。
荻は中国では、黒竜江、吉林、遼寧、河北、山西、河南、山東、甘及び陕西など北方の各省に分布し、山地や草地・平原・丘陵、また河岸の湿地に生育する。
意味 (1)おぎ(荻)。イネ科ススキ属のススキに似た多年草。水辺などに自生し群落をつくる。かつては、茅葺屋根の材料として用いられた。日本では現在もススキやアシ原の野焼きが行われるが、荻も地名や姓に荻原・荻野が多いことから、かつては野焼きが行われたと思われる。(2)地名。姓。「荻原おぎはら」「荻野おぎの」「荻生おぎう」
<紫色は常用漢字>
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