トシ子さんよ~
は~い
なんですか?
ワシ
ちょっと悩みがあるがやけんど。
あら
そんなこと言うなんてめずらしい。
アホ
ワシかて悩みぐらいあるわい。
ハイハイ
ハイは1回
ハイハイ
おちょくっとんか(笑)
ハイハイ(笑)
もうええわ。
(といって部屋を出ようとする)
ちょっと待ってください。
終わったらダメですよ。
いや
「もうええわ」
って言うたら舞台から下がらないかんやろ。
マンザイか!
あのね。
悩みっちゅうのはね。
ワシ64歳やんか。
はいな。
で
ここで使う口調も年寄りっぽくね
「ナントカナントカじゃあ」
とかいう感じにした方がえいかなぁ
どうしようかなぁ
って悩みゆうがよ。
なんですかそれしょうもない。
真剣にきいて損した。
いやいやマジメやき。真剣。
そんなんどっちでもいいですから。
じゃあ仕事に戻りますね。
(といって部屋を出ようとする)
あ、そうや、
この前のつづきやる?
次は林道とはなんぞや。
いいんですか?
そしたらおねがいします。
よっしゃ。
ワシがこの会社に入ったときね。
つまり、はじめて土木の仕事をしたときよ。
それが林道工事の現場でね。
一日作業員の仕事をして
な~んもわけわからんで
何をしたらえいか、だ~れもほとんど指示もしてくれんし
ぐったり疲れはててクルマの助手席に乗って山から降りるときね
運転をしてたAさんが声をかけてくれたが。
なんて?
「あしたも来いよ」
・・・・・
たぶん、なんか場違いなヤツやったし、
「コイツはつづかんのじゃないか」と思うたがやないろかねえ。
なんかその言葉が胸に染みてね。
思わず泣きそうになった。
という思い出があってね。
だから、なんか林道っていうのには思い入れがあるわけよ。
Aさんって
あのAさんですか?
そうそう。
この話をすると本人は嫌がるけどね。
なんちゅうか
忘れられんのよねえ。
それってどれぐらい前のことですか?
31年前。
じつはワシ、この世界に入ったのが遅くてね。
そのとき33歳で妻ひとり子どもふたり。
それまで県外で別の業界の仕事をしてて
いろいろさまざま紆余曲折あって
実家に身を寄せて。
身を寄せてって
自分の実家でしょう?
実家っていえばそうやけど
そこは生まれただけでね
ワシャ暮らしたことはないがよ。
で
親父が退職してそこに家を建てて
ワシら家族は古い方の家におったおばあさんといっしょに暮らしはじめたわけ。
で
さあ仕事を見つけないかんな
というところにちょうど今の社長から声がかかって
スカウトされた?
そう。
っていうか
実質は拾ってもろうたがやけんどね。
そんなシチュエーションで
さっきの話が出社初日よ。
きますね。
来るやろ?
きます。
それを考えると、余計にきます。
あれ?
泣いてるんじゃないですか?
バカ
泣いてなんかないやい!
(爆)
ところがその前
じつを言うと
最初は社長からの勧誘をことわってたんやね。
えーーー
なんですかそれ。
ドカタか・・・
オレには向いてない
と思ってね。
そうですか?
むちゃくちゃ向いてるように見えますけど。
そうよ。
それよ。
おかげで今では一流のプロフェッショナルドカタやもん。
自分で「一流」って言いますか(笑)
言う。
ワシは言う。
ま、なんにしても「おかげ」やね。
感謝してます。
あらあら
とんだ寄り道をしてしもうた。
時間がなくなったキ、また次にしようか?
そうですね。
次の機会にしましょう。
あ
最後にひとこと。
礒部組は土木の仕事を経験したことがない人もどしどし採用しております。
ぼく経験ないし
とか
わたし未経験だから
とか・・
そんなの関係ねえこともないんですが
たしかに経験は大きなアドバンテージですけど
それは入った当初だけ
あとは
それぞれのヤル気と努力でどうとでもなります。
それに
土木の仕事は総合力
それまでの他業種での経験がまったく役に立たないかといえば
そんなことはありません。
むしろ
大いに役立つことだってよくあります。
かつて
あるラジオで中島みゆきはこう言いました。
******
どういうところを通ってきたかっていうことよりもね、
そこで何をアンタが吸収してきたかっていうことだと思うわけよね。
理想論かもしれないけど。
******
まさに。
みゆき姉さんのおっしゃるとおり。
ということで
未経験者
大歓迎です。
え?
それって誰に言ったんですか?
お、スマンスマン。
ついつい熱うなってしもうた。
じゃあまた次ね。
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ということで
今回の『トシ子さんの疑問に答える』は番外編。
「おじさん、ついつい過去を白状してしまう。」の巻でした。
お次はまたの機会に。
では。
(宮内)
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